12 またお世話になります。
潜水艦による哨戒網や漸減戦術の有効性について教えてください。
ユトランド沖会戦でドイツ側の潜水艦が哨戒網や漸減戦術が全く機能しなかったこと、
日本軍の艦隊決戦構想などを上げ、潜水艦を哨戒や漸減に使用するのは無意味、その理由として
・潜水艦は艦橋が低く、見張りには向かない。
・潜水艦の視界は限られており、潜望鏡の使用も限定的
だとの批判がよくなされますが、

1・潜水艦は哨戒には向かないのでしょうか?
  長い航続距離や滞在時間は強力な武器だろうし、大和などを発見したのも潜水艦だったと思うのですが。
2・潜水艦の漸減戦術が無効である理由を教えてください。
春眩燕

  1.  一度に見張れる範囲がせまいので、広い海域を監視するには数が必要になります。潜水艦の哨戒網は目が粗く、すり抜けられる危険性が意外と高く、特定の艦船・艦隊の動向把握等に用いるには信頼性が低く、また海峡や港湾出入り口といった監視を絞り込めるポイントは敵も対戦警戒をしているのが一般的ですから、潜水艦で見張るにも困難があります。
     また潜水艦は水中ではロクに動けず、洋上航行でもあまり高速ではないので、敵艦隊の発見報告から、その予想未来位置に先回りして潜航して待ち伏せできる可能性があまり高くありません。洋上に広く散らせてると、見つけることも出来ないし、ほかの誰かからの敵艦隊情報を貰っても先回りできる艦が一隻もなかったりとかする可能性があり、更には遅いので敵艦隊に接触できる頃には、戦いの帰趨は既に定まりつつあったりといったことになってしまうわけです。
     つまりは、どっちも数が沢山ないと、一定の効果を発揮しないのです。
     例えば、ミッドウェイ海戦に於いては、機動部隊の前方海域に複数の潜水艦を配置して警戒網を形成しましたが、米空母を見つけることは出来ませんでした。そしてミッドウェイ近くで待機してたイ168は、大破したヨークタウンに接近して撃沈しましたが、この接近まで全力洋上航行が必要でした。簡単に距離を詰められるほどの速度が無かったわけですし、接近前に夜が明けてたら襲撃運動は出来なかったかもしれませんし、空母がそれなりの速度を出せてたら距離をつめることもできなかったでしょう。そもそも戦いは終わった後の落穂ひろいです。9回になって意地でスクイズ決めて完封負けは逃れたという程度のことで、スコアが4-0だろうが4-1だろうがボロ負けです。
     潜水艦は第二次大戦に於ける「艦隊戦」では、有力な一翼にはならないんです。あれば使うし上手くすれば効果的だけど、敷設した場所に敵が運良く入ってくれないと効果の無い機雷と大差なく、その理由は見張り範囲がせまくて遅いからなんです。
    SUDO

  2. 丁寧な回答有難うございます。
    潜水艦は当たれば大きいが索敵力が低い性質上ため、ある目標をねらって展開させるより
    敵の補給路上で数ある目標をの待ち伏せした方が効率的という解釈でよろしいですか?
    輸送船団側で潜水艦が待ち伏せしているだろう航路を避けて大回りに目的地に向かうようなことは行われていたのでしょうか?

    また
    センサーの発達した現在でも通常動力の潜水艦は哨戒任務には向かないのでしょうか。
    春眩燕

  3.  基本的には、ある程度決まったルートを高頻度で通る通商路に投じるほうが、何時何処を通るか判らない艦隊を待ち伏せするよりは、遭遇確率的には有効でしょう(これは潜水艦に限らず、野生動物から航空機にいたるまで当然のことですけど)
     潜水艦は見張り能力が低いだけではなく、浮上しても大して速くないということが、敵を見つけてから急行するという時に致命的な欠点です。
     また現代の潜水艦は高度な聴音機能を活用して遠距離の捜索も可能になってますが、直接聞こえる範囲は洋上艦船のレーダーや肉眼と大して変わりません。敵に見つからずにチョークポイントで見張れる(かもしれない)という点で、潜水艦は有力ですが、通常動力潜ですと潜ったまま見張れる時間はあまり長くないし、発見報告を安全に発するにも手間が掛かりますから、他に手段が無い場合(例えば飛行機や艦船を送り込むには危険とか遠い場所等)には得がたい見張り手段になりますが、行動力が貧弱な上、動くことで敵に存在を察知される懸念も高まりますから、海峡等の狭い場所なら兎も角として、広い外洋での哨戒には、あまり向いているとはいえません。
    SUDO

  4. 有難うございました。
    春眩燕


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