17 遅まきながら、再開おめでとうございます。

いわゆる「軍縮条約」の内容に関する疑問なのですが、
ワシントン軍縮条約
榛名:条約での上限「3,000トン」を大きく超える「4,000トン弱」での改装
レキシントン:上限「33,000トン」での空母への改装を「36,000トン」で竣工
ロンドン軍縮条約
比叡:練習戦艦への改装条件の「18ノット以上発揮に要する缶等の撤去」を缶に限れば25ノット発揮可能な状態での改装
 など例を挙げればキリがなく、素人考えでは「自己申告での遵守」「守れないだろうけど一応決めてみました」的なイメージが強いのですが、各国が互いに疑ったりしてクレームを付け合ったりしたことはあったのでしょうか?
 勿論、表向きは「遵守してますよ」としか回答しなかったと思いますが、遵守か違反かを判断する手段(組織)はなかったのでしょうか?

よろしくお願いします。


ひよっ子

  1.  とりあえず呼び水ですので、回答の精度はご容赦を。

     平賀造船官が渡英したさいに、ネルソン級戦艦の設計図を提供した代償として(要求したわけではありませんが)、妙高型の設計について問い合わせがありましたが、日本海軍は機密を理由に断っています。
     しかし「日本が答えられぬのは、妙高型が軍縮条約違反だからに違いない」とペナルティを課してきたということは(私の知る限り)ありません。
     ですから、疑いはするでしょうけど、違反を判断する組織なるものは実質的に存在しないものと思います。
     
     ぶっちゃけた話をするなら、小規模な違反はほとんどの国がやっています。ですから「ならお前の国はどうなんだ」と細かく調査されたらやぶ蛇ですし、違反が露骨に判明しないレベルなのであれば、どの国も横並びの制限を受けているという意味で、質的平等に思います。
     基準排水量10,000トンの制限で、例えば実質17,000トンのフネを作れば、問題にされるでしょうけど、10,500トンとかであるなら、お目こぼしの範囲というような話ですけど。イタリアも海軍要求では15,000トンになる重巡洋艦を設計したけど、問題となって妥協し、11,000トンになってますし、条約を露骨に違反していいと思ったいたわけではないと思います(とはいえ、ヴェネト級戦艦の時には、条約排水量を遵守できそうにないという理由もあって、第二次ロンドン条約に同意しなかったという話もありますが)。

     実際、ドイツのビスマルク級戦艦は公称35,000トン(+20%)、アドミラル・ヒッパー級重巡洋艦は公称10,000トン(+40%)と露骨な違反ですけど、これは問題にされていないようですし、そんなに大した問題と見なされていなかったのかもしれません(隻数はなかなか誤魔化せませんし)。

     軍縮条約の理念は、乱暴に言うなら軍事費の削減にありますから、こっそり条約違反して高い軍艦を作るということは、どの国もあまり得策でないでしょうし、ごまかせる程度の違反であれば砲や装甲が圧倒的に強力になったりもしませんから、対抗不能にはならないという考えがあるのでは?
    高村 駿明


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