33 いつもご教授頂きまして有難うございます。

ドイツ重巡洋艦「リュッツオウ」はなぜ売却されたのでしょうか?

WW2開戦に伴う整理かと思いましたが、戦艦「ティルピッツ」は'39.4.1進水、'41.2.25に竣工しています。
「リュッツオウ」は'39.7.1進水なのですから、完成できなかったとも思えません。
どうして「『リュッツオウ』は不要である。売却してもかまわない」と判断されてしまったのでしょうか?また、いつ頃売却が決定されたのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
Ranchan

  1.  若干先行してたザイドリッツすら完成してませんから、リュッツオウが完成したとは思えません。
     それに、こういってはなんですが、あまり成功した艦でもないですから、わざわざ建造中止にするほどではないですが、リソースをP級装甲艦やO級巡戦に回してしまうほうが総合的には有効でしょう。買取してもらえるなら損は無いはずですし、重巡程度ならドイツが売らなくても、他の国が売るなり建造を手助けするなり、もしくは独力で作るなりで、早晩ソ連は入手してしまうのですから、売ったところで問題は特に無いのではないかと。まさか39年に英国との間に戦争が始まるとは予期してなかったわけですから。
    SUDO

  2.  1939年8月の独ソ不可侵条約締結時に決定された独側からの軍事技術移転の中に、大型艦の売却及び建造技術移転が含まれていたのが本艦売却の主要因ですが、これについては当時ソ連との貿易が独側の大赤字であったため、高額な大型艦の売却によりこの不均衡を補填するという側面もありました。

     因みにリュッツオウが売却されるのが正式決定したのは1940年2月11日ですが、売却が決定される前の段階では、当時未成の全重巡が売却対象になっており、特にリュッツオウのみが不要とされた訳でもありません。実際にザイドリッツも一旦はソ連への売却が決定していますが、総統命令によりリュッツオウのみの売却に変更されています。
     なお、この際にはソ連側の要求もあって売却対象艦にはビスマルクの名前も入っていましたが、独海軍側の強硬な反対により同級は設計図だけがソ連に売却されることになります。
    大塚好古

  3. ご回答有難うございます。「ザイドリッツ」も売却が決まっていたのですか。
    また、ソ連に設計図を売却したのは存じていましたが、戦艦「ビスマルク」本体(おそらく姉妹艦「ティルピッツ」もでしょうが)も一時は売却予定だったとは存じませんでした。

    このようなお話を拝聴致しますと、当時のドイツ海軍における水上艦艇の立場(期待度)がどんなものだったのか考えさせられてしまいます。
    Ranchan


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