38 非常に愚問かと思いますが第二次世界大戦の艦船はどういう仕組みで船をスタートさせたのですか?


例えば車などは鍵を回してエンジンを動かしますよね…当時の艦船でも鍵などを回してボイラーだの何だのが動くのですか?

ついでにエンジンがかかってから出港するのにどのくらいの時間がかかりますか?

愚問で申し訳ないですが教えてください
大和っ子

  1. ひと口に「第二次世界大戦の艦船」と言っても、自動車と同じ仕掛けで動くのも有れば、蒸気機関車と同じ仕掛けで動くのも有りましたので、一概には申せません
    とりあえず「蒸気タービン」って知ってます?
    駄レス国務長官

  2. 蒸気タービンは…蒸気の力で動くという事ですよね?
    大和っ子

  3. とうぜんです
    第二次世界大戦の駆逐艦以上の艦船は9割以上が蒸気タービン推進です
    あと
     1. 蒸気タービンには静翼と動翼があり、蒸気の有効利用のため、両者の間隔は非常に狭い
     2. 蒸気タービンには停止中は蒸気が送られず冷えている
     3. 蒸気は冷たい金属に触れると水滴になる
     4. 蒸気タービンの翼に水滴が付くといろんな悪さをする
     5. 金属は温度が上がると膨張し、不等温度は不等膨張を起こす
    なので、蒸気タービンは自力でスタートする前に外部動力で数十分緩転し、蒸気を送って内部をまんべんなく温めつつ、凝結水(ドレン)を抜く作業が要ります
    またその蒸気はボイラーで発生しますが、
     6. ボイラーは複数搭載され、1基当たり10本前後の重油バーナーがある
     7. 重油バーナーは1本ごとに燃料量と空気量の加減が必要である
     8. 各部の熱ひずみを抑えるため、点火後は徐々に加熱する必要がある
    つーコトで季節によっても違いますケド、ボイラーで蒸気を発生(汽醸)するまでに小一時間、またその発生蒸気でタービンを暖機するのに数十分ってトコで、どれも人が付いてやる必要が有りますので、「鍵を回してハイ、スタート」ってなワケには参りません
    駄レス国務長官

  4.  第二次世界大戦当時に多く使用されていた機関形式は、蒸気タービン機関、蒸気ピストン(レシプロ)機関、ジーゼル機関、ガソリン機関あたりでしょう(他にもグローやらなにやらがありますが)。

     蒸気タービン機関(高圧水蒸気でタービンを回転させる)は、主要な戦闘艦(戦艦やら空母やら巡洋艦やら駆逐艦やら)のほとんどが装備しています。
     蒸気ピストン機関(シリンダーに高圧水蒸気を送り込むことでピストンを動かしその往復運動からエネルギーを取り出す)は、旧式の艦船や、戦時急造の輸送船、船団護衛艦艇などで使用されています(タービンよりつくるのが簡単)。
     ジーゼル機関(軽油をシリンダー内で爆発させピストンの往復運動からエネルギーを取り出す)は、ほとんどの潜水艦で使用され、また補助的な任務に就く艦艇や輸送艦船でもしばしば使用されています。(燃費がいい。ただし軽量高出力の機関をつくるのが難しいので、ドイツのポケット戦艦などの例外もありますが、潜水艦以外の主要な戦闘艦に使用されることはすくない。)
     ガソリン機関(ガソリンをシリンダー内で爆発させるほかはジーゼル機関に同じ)は、魚雷艇などの小型艦艇に使用されています。(ジーゼル機関より軽くつくれるのですが、ジーゼルより燃費が悪い。)

     このうち、蒸気タービン機関と蒸気ピストン機関は、タービンあるいはシリンダーに水蒸気を送り込めば動き出すので、原理的には自力で起動できます。
     これに対してジーゼル機関やガソリン機関の場合は、最初に軽油あるいはガソリンと空気の混合気をピストンで圧縮してやらないと爆発が起こりません。そのためジーゼル機関やガソリン機関では起動時に混合気を圧縮するための補助動力が絶対に必要となります。
     自動車のエンジンも同じで、「鍵を回す」ことでセルモーターが回転しその力でピストンを動かしてガソリン混合気を圧縮し、その混合気が爆発することでエンジンが起動するわけです。

     なお、船舶用のジーゼル機関は大型になることが多いので、最初はモーターで小型の補助機関を起動し、補助機関の動力を使って航行用の主ジーゼル機関を動かすといった方法が取られることがしばしばです。

     また、蒸気タービン機関や蒸気ピストン機関は自力で起動できるといいましたが、19世紀の蒸気船ならともかく、この時期の船ですとボイラーに重油を注ぎ込むポンプや、燃焼用の空気の送風機など動力を必要とする部分があちこちにありますから、この場合もまず補助機関を動かして、それからボイラーに火をいれるということになるでしょう。

     なお、蒸気にしろジーゼルにしろ、停泊中は人が乗っていないような小型船を除き、通常は停泊中も補助機関を動かしています。(そうでないと、艦船内の日常業務に必要な動力が得られません。)

     というわけで、どのような状況でどんなタイプの「エンジン」をかけるかで話は大分違ってきますが、一般論としては、小型のガソリン機関が一番早く動け、次がジーゼル、蒸気タービンと蒸気ピストンはボイラーが暖まって十分な高圧蒸気を作り出すようになるまで動けませんから、出港まで数時間はかかるでしょう。(これもボイラーのサイズや性能、ボイラーが完全に冷え切っているかどうかなどで大分違いが出てきますが。)

     実際の具体的な機関始動の手順についてはまったくわかりません。
     詳しい方がいらっしゃいましたらお教え下さい。
    カンタニャック

  5. 駄レスさん被りました。もうしわけない。
    カンタニャック

  6. >5.
    いへいへ、包括的なご説明で大変結構でした
    駄レス国務長官

  7. なるほど〜じゃあ急襲された時はすぐに動けず止まったまんまで対空戦闘など行っていたんですねォ


    だから終戦直前に呉の空襲で次々とやられたんですな…


    教えていただきましてありがとうございました!
    大和っ子

  8. >7.
    >だから終戦直前に呉の空襲で次々とやられたんですな…

    それ以前にすでに燃料切れで動けず、島陰に係留されて陸地に偽装されたりしたんですケド
    駄レス国務長官

  9. すべての艦が陸地偽装などじゃないですよね?


    何かの写真で伊勢だったかな?

    主砲が最大仰角のまま終戦になったのを見たんですが、偽装してるように見えませんでした


    そこらを逃げ回るくらいの燃料すらなかったという事ですかぁ…
    大和っ子

  10. >9
    戦艦「伊勢」は'45.4.20付で第4予備艦(当面使用予定なし)、'45.6.1付で「特殊警備艦」に指定され、浅海に錨を降ろし浮き砲台的に扱われていました。
    「もうお前を動かすつもりはない」と(フネとしては)引導を渡されていたのです。
    Ranchan


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