141 エヴァンゲリオンというアニメの中で、アイオワ型と思しき戦艦が、水中で主砲を発射すると言うシーンがあります。

実際の戦艦は、水没させて主砲を発砲する事は出来るのでしょうか。
さしあたり1944年ぐらいの戦艦(対象が広すぎればアイオワ型に限定)して質問させて下さい。
だーくまたー

  1. これは『アイオワ型戦艦は水中で戦闘行動は可能なのか』という質問なのか、それとも『大砲の装薬を水中で点火させる事は可能なのか』という質問なのか、どちらなのでしょうか。それによって解答も変わると思いますが…
    ハインマット

  2.  条件によっていろいろ変わってくると思いますが、砲身が全部水没している(ただし砲塔及びチェンバーの水密性は保たれている)という状況を仮定して、たわむれに雑な計算をしてみました。

     アイオワのSHSは砲弾重量1225kg
     砲身が完全に水没しているとすると砲身内の水の重量が(口径40cm、砲身長50口径で計算して)2512kg。
     装薬が排除しなければならない砲身内の重量は1225kg+2512kgで約3倍になります。これに水圧を足すと、水深10mにつき1256kg、つまりおおざっぱにいえば10mごとに砲弾重量分がプラスされます。

     水深10mで重さが4倍相当になる場合を考えると、運動エネルギーは速度の二乗×質量で決まりますから、エネルギーが同じとして砲弾の速度は1/2、砲腔内圧力は火薬の燃焼速度にもよりますから一概にはいえませんが、ボイルの法則だけで考えると2倍。この程度までなら砲のセーフティマージンで腔内爆発したり尾栓が吹き飛んだりせずにすむのではないでしょうか。かなり怖いですが。
     ほかにも信管は大丈夫だろうかとか、被帽は保つだろうかとかいろいろ考えなければならない問題があるとは思いますが、それはパス。
    カンタニャック

  3. 水圧は砲身や尾栓を支える方向にもかかります。
    腔圧が減少するのと等価ではないでしょうか。
    あああ

  4. >2 訂正 腔内爆発→砲身破裂 (弁解をすれば、信管のことを考えながら書いていたたものでつい)

    >3 私もあまり(正直言えばまったく)自信がないのでツッコミは大歓迎です。

     書き終わってから、元々の1気圧分はどうなるんだろう? とは疑問に思ったのですが、ご指摘の点はまったく考えていませんでした。

     ただ、>2であげた場合で考えると、たとえば3000気圧(いい加減な数字です)だった腔圧が海水の抵抗で6000気圧になった場合に、砲身にかかる圧力が1気圧から2倍の2気圧になってもそれだけで等価とはいえないのではないかと思います。
    カンタニャック

  5. 装薬が水に濡れるのは考慮外ですか?
    駄レス国務長官

  6. 装填をどうするのか? 発火は電気火管ですか、撃発ですか?
    艦船ファン

  7.  私は逃げてます。
    >2 「(ただし砲塔及びチェンバーの水密性は保たれている)という状況を仮定して」
     お後は、皆様よろしくお願いいたします。

     エヴァンゲリオンのイリノイとケンタッキーについては、まあ、ああいう仕様に改装してあるのだと考えるしかないでしょう。最初から水中発射するつもりで弱装にすれば圧力問題は楽になりますし、「こんなこともあろうかと」水中発射用の遅燃性装薬を準備しているのだとしても驚きません。
    カンタニャック

  8. >「(ただし砲塔及びチェンバーの水密性は保たれている)という状況を仮定して」

    これが不可能である限りとうぜん発砲も不可能じゃないでしょうか
    アニメと現実の区別くらい付けましょうよ
    駄レス国務長官

  9. >8
     不可能かどうか、お教え下さい。

     この質問を読んだときからずっと気になっていたのですが、「事前に砲弾と装薬を装填した砲身を水没させた場合、チェンバーはすぐに水浸しになるのか?」という問題です。ライフリングから漏れてきそうに思えるのですが、他方砲弾自体の最大径は砲口径よりわずかに大きい筈ですから、発射前でも水密性が保てる可能性がないと断言出来ないのが、大砲がよくわかっていないシロートの悲しさです。

     完全薬莢式の小銃や拳銃は水中でも発射可能なわけですから、小口径砲は発砲出来る可能性がありそうだということはわかるのですが、ビスマルクタイプの薬莢式だとどうなるのかもわかりません。
    カンタニャック

  10. 弾体の最大径は主砲クラスですと砲口径マイナス1mm程度です
    導環の径はとうぜん砲口径(ライフルの山)よか大きいですケド、押し込んだときにライフルの溝を全部充填するワケではないので隙間ができます
    またクルップ砲の金属薬莢は尾栓の密閉度の低さをカバーするものですから、前側は開口してます
    なので「砲口が水平より充分下向きで水没してなおかつ水深の浅い場合に限ってのみ薬室に空気が一定体積残るため一発のみ発砲可能」ではないでしょうか
    駄レス国務長官

  11. 1944年ぐらいの戦艦という限定からは外れますが、
    イギリスのM級潜水艦に搭載された12インチ砲は潜望鏡深度で発射可能で、
    装填は浮上して行ったそうです。
    ○林

  12. >11.
    Conway's All the World's Fighting Ships 1906-1921のM class submarinesの解説
    (前略)and a round already loaded could be fired in 30 seconds from periscope depth, or 20 seconds breaking surface.
    とありますので浮上後発射です
    ちなみに同級の12in砲は水密砲口蓋を備えてます
    駄レス国務長官

  13. >12
    wikipediaに「The weapon was normally fired from periscope depth」
    と書いてあるのを鵜呑みにしておりました。
    ご指摘ありがとうございます。
    ○林

  14. >10,12
    ありがとうございます。やはり導環だけでは無理ですか。
    >11、13
    興味深い事例をお教えいただきありがとうございました。
    カンタニャック

  15. 素人考えですが、薬嚢をビニール袋か何か、薄くて防水性の素材で包んでから装填すれば、装薬が湿気るのを防げるのではないでしょうか?
    その状態で発火できるのかどうかは私には判りませんが、一発しか撃たないつもりなら、袋の中に雷管を入れてしまって、そこからコードを伸ばして電気発火させることも出来るのではないかと思います。
    思いつき

  16. 問題のアニメの場面は「砲口が水平より充分下向きで水没してなおかつ水深の浅い場合」に該当しますね。

    たとえ下向きでなくても水深が浅ければ隙間にグリスを塗ったくっておけば水密は確保できるのではないでしょうか。

    あと、腔圧については、薬嚢式なら装薬を減らすという手もありますよ。
    あああ

  17. 海水、つまり液体は、気体に比して圧倒的に膨張・圧縮率が違います。 即ち、単なる水圧の問題だけでなく、瞬間的な圧力に対して強い抵抗力を生じます。 したがって、発射薬の燃焼ガスの膨張に対して弾丸を介して抵抗となりますので、例え通常に発火させ得たとしても、あるいは多少の装薬を減らしたところで、燃焼ガスの瞬間的な膨張による筒圧の上昇は、簡単に砲身の破裂、尾栓の崩壊、あるいは駐退機の毀損などに繋がるでしょう。 拳銃や小銃などを水中で発射した例を見てみて下さい。
    艦船ファン

  18. アニメの問題の画面をもう一度見てみましたが、砲口にライフリングが見えません。

    砲口に蓋をかぶせたということも考えられますね。
    あああ

  19. 心情的にはあのシーン通りになったらと思いますが・・・
    砲口にフタをかぶせたとしても、16インチ砲弾が水中を進んで使徒に着弾信管発火炸裂するのは、艦艇ファン様のおっしゃるように液体の膨張率圧縮率から考えても無理だと思います。
    おそらく砲口まで進む前に、トウナイの圧縮した空気の逃げ場が無く砲身の破裂等が想定されます。
    敷島

  20. 砲口に蓋をして水が入らないようにすれば砲身が破裂するようなことはないでしょう。
    砲弾よりも前の部分の圧力が水圧よりも大きくなれば栓が外れてボコッと空気が出ていきます。

    信管は時限信管にすればいいですね。
    あああ

  21.  小火器の水中発射実験では、発射は可能で銃身や銃尾が破壊されることはないが、再装填はうまくいかない場合もあるというのが一般的な結果だったと思います。
     ただし、小火器の場合ですと水深は数十センチ程度ですから水圧はあまり考慮する必要はなく、また小火器と比べると大砲の筒圧はかなり高くなります。

     アイオワ級のMark7はわかりませんが、日本の三年式四十糎砲ですと、最大筒圧は常装で3000気圧程度、弱装で2000気圧程度、減装で1200気圧程度です。
     三年式四十糎砲の場合ですと、>2の私の計算がそれほど間違っておらず水中発射時の筒圧が通常の2倍程度なら、減装なら問題なし、弱装だとセーフティマージンが十分にあるならおそらく大丈夫、常装なら神に祈れ、というところかと思います。

     また砲身内に空気がかなり残っているなら、最大筒圧は空気中とあまりかわらなくなります。問題は砲弾が水にぶつかったところで筒圧があがりそれほど強固につくられていない砲身の先の方が破裂することですが、その場合でも完全水没の場合よりは圧力は低くなるでしょう。

     信管は、水面にぶつかった程度では爆発しないようにつくられているなら大丈夫でしょう。むしろ信管が起動しないのではないかが心配です。
    カンタニャック

  22. >>21.
    >2の私の計算がそれほど間違っておらず

    失礼ながら静圧のみの考慮で、水の圧縮と粘性抵抗による動圧アップが考慮されてないかと愚考致します
    タマと装薬の分を差し引いても30口径以上の長さに亘って筒内に充満した水が音速以上で急激に圧縮されるワケでしょ
    あと自由水中でも水中弾は約200口径程度進行すれば存速ゼロになるワケですから、よしんば打ち出されたとしてもどれだけ飛ぶかってコトですよね
    駄レス国務長官

  23. >22
     バカ話におつき合い下さりありがとうございます。
     動圧は一応考えたのですが、点火直後は砲身内の水量は多いが弾速は低いので動圧は低く、弾速が上がった砲口近くでは砲身内の水量が減るので、動圧で砲身が破壊されることはないのではないかと愚考した次第。(たしかに砲口近くだとあぶないかなとは思わなくもなかったのですが計算してません。 訂正 計算出来ません。)

     なお、砲口での初速はSHSだと(私の計算でよければ)音速以下まで落ちる筈です。通常弾や日本の三年式の常装だと音速を少し超えますが。

    射程距離について なるほど、射程距離は「短い」としか考えていなかったのですが、水中弾という実例がありますね。ありがとうございます。
    カンタニャック

  24. 追加 動圧を考えると、砲身の先だけが水没している場合のほうが、弾速が早くなり、かえって危険かも知れません。
    カンタニャック

  25. 一発だけ発射できればよい、後はどうなってもよいという状況なれば弾速が速くなっていれば砲身が破裂しても問題ないのではないでしょうか。
    あああ

  26. かなり流れた後で申し訳ありませんが、皆様ありがとうございました。
    さしあたり件のアニメの様な感じなら、一発だけの零距離射撃ならいけいそうな感じですね。
    だーくまたー


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