150  久々に質問します。
 艦船115に関連する質問ですが、巡戦ライオン〜我が金剛、独デアフリンガーらの
ような主砲塔配置を採ると、機関部に挟まれた弾薬庫の中に往復の蒸気管を貫通させる
必要があると思いますが、その場合艦内のどの辺りを通っているのでしょうか?

 水線下で通すことは、水密性の確保上問題があるし、防御甲板直下では被弾時に
破断しやすくなります。該当艦を扱う老舗のサイトでクイーンメリーの当該断面図を
見つけましたが、それらしい配置も見当たらず、各区画の英語の説明文も不鮮明で
読めません。

三脚檣
http://www.d3.dion.ne.jp/~ironclad/
巡戦クイーンメリーの中央砲塔断面図
http://www.d3.dion.ne.jp/~ironclad/bridge/Rival/rival03.htm

 諸先輩方のご教示をいただければ幸甚です

                           09.12.30記
NG151/20@冬休み

  1.  訂正
    艦船115ではなく116の誤りでした。
    NG151/20@冷や汗

  2. 当該図面を掲載した三脚檣の主です。

    この図面は、表示上の都合で解像度を落としてありますので、文字はほとんど読めないと思いますが、蒸気配管の通路は防御甲板の直下、装甲鈑が水平部から曲線を描いて傾斜部へ移行する部分にあり、図ではここに2行4単語の説明があることがお分かりいただけるかと思います。

    この文字は "TUNNEL FOR STEAM PIPES" と書かれておりますので、ご質問の答そのものと思われます。なお、そのさらに舷側にある狭い通路には、 "PASSAGE FOR ELECTRIC LEADS" とあり、電路であることがわかります。
    つまり、防御甲板は突破されにくいという前提に立って、こうした重要物の配置が行われたのでしょう。それでも万一を慮り、左右舷に分けて配置され、融通が利くように造られていました。

    図の向かって右側、蒸気管室の下、弾薬庫のすぐ上にある、図では軽め穴が三つ開いているように見える部分には "AIR SPACE" とあるので、断熱のための空所でしょう。
    なお蒸気がボイラーへ戻るときには、すでに復水していて蒸気ではありませんので、パイプは小口径のものになります。
    志郎

  3. 金剛型は英式巡戦ですんで蒸気通路は>2.と同じ場所にあります
    デルフリンゲル級は最後部缶室の後ろの区画が
                   左舷翼軸機械室 
           左舷内軸機械室
    D砲塔弾薬庫         C砲塔弾薬庫  →艦首方向
           右舷内軸機械室
                   右舷翼軸機械室 
    ・・・となってますので(C砲塔弾薬庫と両舷翼軸機械室は横一線)、蒸気は最後部缶室より両舷の翼軸機械室(高圧タービン)に直行し、次いで両舷の内軸機械室(低圧タービン)、復水器(低圧タービン排気口に直結)へと回ります
    駄レス国務長官

  4.  志郎様、駄レス国務長官閣下
     即答いただきありがとうございます。

     志郎様
     三脚檣は折りある毎に拝読していました。特に
    クィーン・メリーの爆沈 (1916)
    http://www.d3.dion.ne.jp/~ironclad/wardroom/BlewUp/blewup1.htm
    ドッガー・バンク海戦 (1915)
    http://www.d3.dion.ne.jp/~ironclad/wardroom/Doggarbank/doggarbank1.htm

    は熟読していました。直接ご回答いただき感激です。

     新連載で当該図面を発見し、永年の疑問が解けると期待して拙PCに保存し、各部を拡大してはためつすがめつ見ていましたが、拙モニターでは文字が完全に潰れてまったく読めず、今回の拙問となった次第です。

    >図の向かって右側、蒸気管室の下、弾薬庫のすぐ上にある、
    >図では軽め穴が三つ開いているように見える部分

     私も最初これかなと思ったのですが、
    >こんなに小さなスペースのはずがない。
    >高温の蒸気管を弾薬庫のすぐ上に這わせるのはおかしい。
    と疑問に思っていました。今回のご回答で疑問が氷解しました。

     駄レス閣下
     いつも詳細な解説ありがとうございます。
     デアフリンガー級は、タイガー、金剛型に比べ3、4番(=C、D)砲塔の間隔が狭いのが疑問でしたが、3番砲塔の両脇が翼軸の主機室になっているからなのですね。

     重ねての質問(いつもの悪い癖ですがご容赦ください)

     志郎様へ
     ジュットランド沖海戦での独巡戦隊の被害の詳細は、貴サイト(特にフォン・デア・タンに関して初見の情報が多かった)を初め多くの記述がありますが、なぜかモルトケだけは詳しい情報がありません。主砲弾何発、副砲弾何発命中、浸水何トンなどの概要だけでもお教えください。

     ダレス閣下
    Q1.デアフリンガーの主機が内軸と翼軸で前後に分かれていて、翼軸が3番砲塔を挟んでいるのを今回初めて知りましたが、金剛やタイガーの3番砲塔と主機の関係はどうなっているのでしょうか? 3番砲塔−翼軸−内軸のような配置なのでしょうか?

    Q2.英巡戦の蒸気管は防御甲板の直下にありましたが、デアフリンガーの蒸気管も同様の配置でしょうか?
    >水線下の隔壁には一切の貫通路を設けない
    という独主力艦防御の大原則に鑑みて、蒸気管も防御甲板の真下しか置き場所がないと愚考しましたが、それでよろしいでしょうか?

                               09.12.31.2:15記

    NG151/20@感謝感激

  5. >4.
    A1.
    金剛やタイガーは3番砲塔弾薬庫の後ろの前部機械室に翼軸と内軸の主機が横一列です
    後部機械室には復水器や蒸留器などが収められてます
    詳しくはガケーン「決定版 金剛型戦艦」をご参照ください

    A2.
    デルフリンゲルの詳しい横断面図が手元に無いのでアレですケド、フォンデルタンでは英巡戦同様防御甲板の直下に蒸気管(やや中心線寄り)がありますので、同様と考えるのが妥当と存じます
    駄レス国務長官

  6.  手持ちの資料だとジャットランド海戦でのモルトケの被弾内訳は34.3p砲弾×1、38.1p砲弾×4になってますね。中口径・小口径砲弾の命中は無いようです。浸水量は該当資料にモルトケだけ記載がないので他の人にお任せします(汗)。
    大塚好古

  7. ではヂャットランド海戦でのモルトケの浸水量
    1602に13.5in×1発、1616に15in×2発、1623に15in×1発、1626に15in×1発で、すべて右舷への命中、但し1発は不発で船体貫通し右舷水線下装甲板を離脱させ、以上5発による浸水と反対舷注水と合わせて約1,000トン、右舷への傾斜約3度、艦尾の喫水増大約2ft8in、艦首の喫水減少約8inとのコトです
    駄レス国務長官

  8. >7.
    (誤)右舷水線下装甲板を離脱させ、
    (正)左舷水線下装甲板を離脱させ、
    駄レス国務長官

  9. >4.
    すでに大塚氏と駄レスさんからご回答が寄せられているので重複は避けますが、当該記事は今年の1月初旬に三脚檣の掲示板上で公開しています。読み逃されたのかもしれませんね。

    志郎

  10.  駄レス国務長官閣下、大塚好古様、志郎様
     重ね重ねのご回答ありがとうございます。
     モルトケの被害や戦いぶりは、例えば学研の「歴史研究」などでも
    >ヒッパーは、最も被害の少ないモルトケに乗り換えた。
    などの記述しかなく、知りたかったことでした。
    改めて蒙が啓けました。

     志郎様
    >当該記事は今年の1月初旬に三脚檣の掲示板上で公開しています。
    >読み逃されたのかもしれませんね。

     そうだったのですか…。確かに時間の都合で掲示板まで読むのは後回しでした。
    申し訳ありません。

     皆様に改めてお礼を申し上げます。
     それでは良いお年を!
                               09.12.31.23:55記

    NG151/20@良いお年を


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