156  旧海軍の潜水艦用探信儀についてお尋ねします。実際にはどのように活用されていたのでしょうか。手記など読むと、座礁防止のために使用とか発見されるので探信(隠密)発射はやりにくい、などとあります。
 93式探信儀(新型艦の3式も含め)は調定諸元を得る能力があったのでしょうか。
 また浮上航走中に対潜哨戒に使うことは出来たのでしょうか。装備位置と指向方向から的外れのようですが・・・
 機雷堰を通過する能力のあった宿敵米潜についてもお教えくだされば幸いです。
4式射撃装置

  1.  3式4型、93式4型ともに整流覆いがないので、航行しながらの探知は不得意なんです。
     また魚雷発射諸元に必須なのは、目標の速度と移動方向です(もっといえば自分・魚雷から見た角速度)アクティブソナーで得られるものは「距離」と「方位」なので、得たデータから諸元を算出する必要がありますが、逆に言えばどんなソナーであっても諸元を出せるかどうかにはあまり関係しません。これは照準装置(計算装置)である潜水艦方位盤の機能性能に依存します。
     残念ながら日本の潜水艦の殆どが搭載している92式方位盤は潜望鏡で追尾することで諸元を割り出すのが基本で、距離方位だけから割り出すことは元々想定してません。つまり米軍の高性能ソナーを得られても探信だけで照準するのは、ちょっと困難です(もちろん紙とエンピツと計算尺で割り出すことだって理屈上は可能ですから不可能とはいえませんが、大変なのは想像できるかと思います)
     98式潜水艦体勢儀体勢盤や1式潜水艦射法盤なら得られたデータから的速や的針を算出することが出来ますから、これらを備えた艦ならば、状況によっては潜望鏡を使わず、聴音・探信だけで発射を行えたかもしれません。
    SUDO

  2.  戦前の演習記録では、九三式は精度不足で全没襲撃をするだけの諸元を得ることは事実上不可能とされています。一方で三式については、伊一四潜の様に「全没襲撃出来る」と報じている例があります。

     米潜は戦前に搭載されたWCA(QC/JK)型統合ソナー装備の時点で全没襲撃能力を付与されています。但し「潜望鏡で観測した方がTDCへの目標情報入力が容易」なため、実戦で射撃指揮用として使用された例は殆どありません。
    大塚好古

  3. 隠密発射は行われてなかったし、浮上航行中の対潜哨戒のためにも役立ちそうも無かったんですね。回答ありがとうございました。

    4式射撃装置


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