433 航跡静波について質問します。

航跡を使って波を一時的に消すことができることは知っていますが、さすがに船が翻弄されるほどの大波は消せないと思います。
船の大きさにもよるのかも知れませんが、実際のところどれくらいの波まで消せるものなのですか?
おうる

  1. その船の全長よりも大きな波長の波では消せないそうです
    霧番

  2. 波高ではなく波長のほうが関係してくるのですか。
    波高は理論上最大で波長の1/7にまで達し、実測では1/10ぐらいが上限らしいですが、全長120mの駆逐艦だと波高12mの波までは消せるということになるのでしょうか?
    回答ありがとうございました。
    おうる

  3. さすがに波高12mは消せないと思いますよ。ビューフォート風力階級11相当、風速30m/sの暴風になるかと。仮に理屈上は消せるとしても、エネルギーが足りますかね?

    それはおいておくとして、波長が長いほど消波するのが難しいのは確かなようです。ただし、船の垂線間長と消波できる波の波長の関係はよくわかりません。過去ログには確かに>>1のようなことも書いてありますが、根拠がわかりません。

    以下は小生の考察ですが、航跡静波の原理としては2つのことが考えられました。
    (1)船体そのものを使って消波する。
    (2)航跡の気泡を使って消波する。

    (1)の参考文献ですが
    http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00027/1974/10-B03.pdf
    です。文献内容を航跡静波に関連づけると、入射波エネルギーは船体によって「透過波」エネルギーと「反射波」エネルギーにわかれます。「透過波」エネルギーが入射波エネルギーに対して大幅に減っていれば消波成功です。そして消波が成功するには、
    ・水深は浅い方がよい。
    ・船幅は大きい方がよい。
    ・喫水は深い方がよい。
    と解釈しました。しかし残念ながら、添付のグラフをみると、船幅/水深の比率が0.1とかのオーダーでやっと消波効果が現れるかどうかというぐらいですので、ちょっと航跡静波の原理に採用するには弱いような気がします。

    (2)は「空気防波堤」の原理です。大元には「Taylorの原理」というのがあるそうですが、簡単にいうと、
    ・気泡の壁で入射波のエネルギーを吸収する。
    ・航跡静波でいえば、円の内側から外側に向いた表層流れをつくり、波を押し流す。
    といったところでしょうか。この理屈からすると、消波できる波の種類は、エネルギー吸収する分は航跡中の気泡径によることになりますね。表層流れで押し流す分には波の種類は関係ないのかな?

    ということで、小生は(2)が航跡静波の理屈ではないかと考えています。また航跡はたしか船速の2乗に比例して波が強くなるかと記憶します。


    さっぱり具体的な回答ではありませんが、以上をまとめると、航跡静波で消波できる波高は船速が速いほど高くなるが、波長は短く波高も低いものにとどまらざるを得ないと考えます。

    かなり長くなりましたが、何かの参考になれば幸いです。
    駄文失礼しました。

    太助

  4.  回答ありがとうございます。

     やはり波高12mは無理ですよね。・・・書いていて自分でもおかしいとは思っていましたが、波高より波長というのはなんとなく腑に落ちたので・・・

     (1)はメガフロート等の浮体と波の影響の研究で、題名に「有限水深域」とあるように港湾等の中での話だと思います。航跡静波は主に外洋で行うものなのでご指摘の通り、文献の内容との関連は薄いと思います。

     よって(2)の方が原理的に納得いきやすいのですが、航跡の気泡云々が要素として加わるとなると単純に効果は船の運動エネルギーに比例してというように考えることも出来なさそうな気がしてきます。
    おうる

  5. まあ12mが10mにはなるかもしれませんが、それを消波と呼べるかは微妙ですからね。
    それから航跡静波の効果ですが、(同じ気象条件下では)船速は速いほど効果は強いとは思います。上記の泡がこの泡(キャビテーション)かどうかはちょっとイメージできていないのですが。
    http://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%93%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

    まあ泡が船の運動エネルギーに比例して発生するかはわかりませんが、航跡静波を行う時は全速力で行うという資料くらいはあるかもしれませんね。あまりのんびりすると、1周するあいだに泡が消えてしまうのかもしれませんが。

    太助


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