533 初めて質問させていただきます
「特型駆逐艦は世界に衝撃を与えた」という文脈で語られることが多いですが大型重武装の駆逐艦はWWI期の15cm砲搭載ドイツ駆逐艦や戦間期フランスの大型駆逐艦のほうが登場は先ではないでしょうか?
特型の革新性は大きい航続距離だけにあったのですか?

それともう一つ質問ですが、艦隊の遠征行動に随伴出来る駆逐艦が登場するまでは迎撃側は水雷艇や駆逐艦を自由に使えるのに対し侵攻側は使えないということで、戦艦や巡洋艦に副砲を多数備えてもやはり迎撃側に大きな地の利のようなものがあったのでしょうか?
にわかザ素人

  1. 特型駆逐艦の革新性について回答します。

    特型駆逐艦の特徴は、航洋性の高さだけでなく「これまでの標準的な駆逐艦(例・睦月型)よりも砲装と雷装がおよそ5割増しで、しかもその備砲は当時の嚮導駆逐艦級とほぼ対等の砲戦が出来る大型砲だった」点にあります。
    この点、質問者がご指摘されている、WW1期のドイツ駆逐艦S113(後に仏駆逐艦アミラル・セネとなり、仏海軍の大型駆逐艦に影響を与える)は、備砲こそ15センチ砲4門ですが、水雷兵装は60cm連装魚雷発射管2基・魚雷8発ですから特型竣工時の61センチ3連装魚雷発射管3基・魚雷18発の半分以下です。
    また戦間期のフランス大型駆逐艦も、特型とほぼ同世代に当るクラス(ここではシャカル、ゲパール、エーグル、ヴォークラン級までを対象)の主兵装は13センチまたは13.8センチ砲5門、55センチ魚雷発射管6門(ヴォークラン級のみ7門)で、しかも主砲の発射速度が、特型が使う50口径三年式12.7センチ砲の毎分10発(平射時)よりも半分程度(クラスにもよるが毎分4〜6発程度、実用ではそれ以下とも伝えられる)との事ですから、総合的な戦闘力では特型に劣ると言うべきでしょう。

    しかも、その様な性能を誇る「標準型駆逐艦」を、当時の我が海軍は24隻も揃えた訳ですから、我が海軍の「ライバル」たる米・英海軍にとっては相当のプレッシャーになったのは事実の様で、その後両海軍は特型を意識したと言える駆逐艦を建造する事になります(米海軍はポーター級とサマーズ級、英海軍はトライバル級)。
    瀬戸の住人


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