534 3年式55口径3号20cm砲が不採用になった理由を教えてください。
あまり言及されることもないのですが、現行の50口径砲と大した性能差はないと判断されたのでしょうか。
伊吹

  1. 日本重巡の主砲配置を見てみたらわかると思いますが
    通りすがり@

  2. マトモな回答が無い様ですので、私が代わりに書いてみます。

    この問題に関しては、記録が残っていない為、原因は不明です。
    ただ、その前後の開発の動きから、以下の様な推理がされています。
    「歴史群像太平洋戦史シリーズ16『高雄型重巡』」(学習研究社/刊、1997年)で、戦前船舶研究会が記述した所によると、ほぼ同じ時期に開発された九一式徹甲弾(それまでの八八式徹甲弾よりも弾頭を先鋭化し、弾底部をボートテール=船尾型とする事で、空中飛翔性能を向上させた物)の採用で本来の目的であった射程延伸が達成された為、3号砲よりも在来砲塔からの改修部分が少ない2号砲が採用されたのではないかと述べられています。
    また、より長砲身の3号砲は筒内圧力が大きくなる分、砲身寿命が2号砲の340発から230発に下がると評価されていたとの事で、この点も不採用の一因となった様に思われます。
    つまり、現状では「砲身延長ではなく、砲弾の改良によってより手間をかけずに目的が達成出来る」と判断された可能性があると考えられている様です。

    なお、回答1の『通りすがり@』さんの回答は恐らく誤りだと思います。
    国本康文氏が『高雄型重巡』で書いた記事によると、3号砲は高雄型4隻と妙高型の羽黒の主砲換装用として製造開始まで行っています(主砲配置の問題は、第三主砲塔に仰角をかければ問題ないと思われます)。
    また国本氏によると、3号砲は昭和8年に製造が中止されていますが、何故か同じ年に試験砲として同じ砲が1門、砲身内筒が3門分完成しており、昭和19年12月に海軍艦政本部が発行した「砲身型別一覧表」にも「仮称三号五〇口径二〇センチ砲」(実は55口径)の名でI型とI2型各1門が存在していたと記録されているとの事です。

    ちなみに余談ですが、これに似た事例が、最近開発された陸自の10式戦車で起きています。
    10式戦車の主砲は、国産の120mm滑腔砲ですが、近年一部の国で52〜55口径の長砲身120mm戦車砲の装備化が実現しているにも関わらず、90式戦車のラインメタル120mm砲と同じ砲身長である44口径砲となりました。
    これは、新たに開発された戦車砲に軽量化・高圧化(具体的には閉鎖機の改良など多岐に渡る)が施された事に加え、新型の徹甲弾(10式装弾筒付翼安定徹甲弾)を使用する事で、砲身を延長しなくても威力向上の見込みが付いたからだと推察されています。
    つまり、砲身を延長する事だけが砲の威力向上の手段ではないと言う訳です。
    瀬戸の住人


Back