686 艦砲射撃での音や振動の伝わり方についてお尋ねいたします。

昭和20年に岩手県釜石市に艦砲射撃が行われた際に、現在
86歳になる母の話で「音も聞こえたし、地鳴りのような振動も
感じた」と回想しています。

場所は直線距離で70qも離れている気仙沼市でのことです。

wikiにて調べてみますと40.6cmの戦艦の大砲のようで、大砲と
しては最大クラスの物のようですが、艦砲射撃(艦砲に限った
ことではありませんが)の音や振動はそんなに遠くでも感じられる
ものでしょうか?

それとも母の記憶が何かと混濁してそのような記憶として
残ってしまったのでしょうか?
村上

  1. これも体験談としての話なのですが、板垣邦子『日米決戦下の格差と平等―銃後信州の食糧・疎開 (歴史文化ライブラリー)』中に「長野県でも艦砲射撃の音がドロドロと響いた」というエピソードがあった記憶があります。浜松への砲撃の時だったとしても、随分離れていますから有り得ることだと思います。
    バツ

  2. 日立への時だったかな?
    バツ

  3.  大阪富田林市のPL教団の花火は生駒山を越えて約30km離れた木津川あたりでも聞こえるそうです。また、1945年に鹿児島県下で爆発音が聞こえたという記録があります。これは、大和が爆沈した時の音であるとされており、だとすれば200kmは届いたということになります。
     さらに、1883年にインドネシアのクラカタウ火山が爆発した時には、日本各地の気象台で爆発音の記録が残っているそうです。だとすれば、実に約6000kmの距離を伝播してきたことになります。
     したがって、音の大きさ、さらに当日の雲量や風向き等でも変わってくると思いますが、かなり遠くまで届くということになります。

     http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1198054661
     こちらによると、大和の主砲3門を斉射した時の音圧は77.5m地点で188dB、15m地点では210dBと計算されるそうです。
     電車が通る時のガード下で100dB、飛行機のエンジンの近くで120dBだそうですので、爆風で人が飛ばされたり、耳が聞こえなくなるのは当たり前のとんでもない大音量です。
     もっとも、釜石を砲撃したサウスダコタ、インディアナ、マサチューセッツの16インチ砲は大和より口径の小さな大砲ですので、音圧も小さいはずです。しかし、花火程度ではないことは確かで、70km程度の距離を音や振動が伝わってきても不思議ではないと思われます。

     以前、愛知県の軍需工場で爆撃を受けた方の話を聞きましたが、昼間爆撃でしたので、焼夷弾ではなく、ものすごい爆発音であったそうです。そういう生々しい声が、後世に伝わることを切に願っております。と同時に、末筆ではありますが
    御母堂様の御健康をお祈り申し上げます(亡父母と似た年齢ですので)。
     
    hush

  4. クラカタウ火山で気象庁が観測したのは空振という空気の圧力波です。音として人間は感知できません。

    ついでに前ですがクラカタウ火山の噴火の爆発音は4,776km先まで届き、これが人類観測史上、発生源から人が観測できた最長不倒距離となっています。

    Tokyo-Rose

  5. ちょっと2行目おかしいので修正です。

    ついでにですがクラカタウ火山の噴火の爆発音は4,776km先まで届き、これが人類観測史上、発生源から人が観測できた最長不倒距離となっています。


    Tokyo-Rose

  6.  高性能爆薬が爆発すると衝撃波が発生します。
     衝撃波と音波はどちらも圧力波ですが、衝撃波はもっているエネルギー量が桁違いで音波に比べ減衰しにくく遠くまで伝播しますが、ある程度減衰すると音波になります。
     やたら遠距離まで聞こえる爆発音/轟音というのはこれで、通常の音とは伝播の仕方が異なります。聞いている人間には区別はつかないと思います。

     衝撃波がどのように伝播し、距離によってどのように減衰するかは未だ不明確な部分が多いらしく、よくわかりません。


     音は「等倍距離あたり6dB減衰する(たとえば音源から10m離れた地点で計測した音が70dBなら20m地点では64dBになり、音源から8m地点で計測した音が90dBなら40m離れたところでは60dBになる)」と言われています。
     ただ、気温・気圧・湿度といった大気の状態もかなり影響しますし、温度や湿度の異なる空気が層を形成していると、その境界面で音は乱反射したり大きく減衰したりすることもあります。また、距離が遠くなるとほかの発生源の雑音も入ってきますし、周波数によって減衰の仕方も異なります。
     周波数の高い音は大気の影響を受けやすく、16kHz以上のいわゆるモスキート音は風速5m以上の風が吹いているとほとんど伝わりません。逆に周波数の低い音は大気の影響を受けにくく遠距離まで伝播する傾向があります。
     火山の空振がやたら遠距離まで伝播するのは人間の可聴域(20〜20kHz)を下回る低周波だからでしょう。ただ、20Hzを上回る空振もあり、これは人間の耳で聞き取ることができます。
    おうる

  7.  私の回答がぶっきらぼうだったで悪かったところ、おうるさんフォローありがとうございます。ただ、一点だけちょっと誤解を生むと思いますので、再度書きこみします。

    >20Hzを上回る空振もあり、これは人間の耳で聞き取ることができます。
    →こうなると、爆発音となりますので、普通は空振とは区別します。

    空振とは音波と重力波で構成された音の一種です。
    だから空振を聴こうとすれば出来ます。機械を使って可聴域に音を変化させればいいのです。要は早送りで聴けば聴こえます。東京大学地震研究所が2011年の霧島火山のとき空振を早送りにして聴こえるようにアップしていたと記憶しています。まだあるかは不明ですが探してみてください。

    音の伝わり方については横浜市が分かりやすい説明をしています。

    http://www.city.yokohama.lg.jp/kankyo/kaihatsu/kisei/shindou/

    ここの下のほうに「その他」→「(3) パンフレット「 pdf 快適な音環境 〜静かなまち作りにご協力を!〜(事業者向け)」」を見てください。

    もはや、高校の物理学をすっかり水平線の彼方まで吹っ飛ばした人でも分かるでしょう(笑)

    Tokyo-Rose

  8. 皆さま、早速のご回答をいただきありがとうございました。

    音や振動の伝播についてアカデミックに理解する能力は
    ありませんが、母の思い違いではなく「じゅうぶん有り得る」
    ということと認識いたしました。

    地元郷土史などにも時々でてくる出来事で気になっておりました。

    hush様
    最後の一文、深く感謝申し上げます。

    村上


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