815 何度も失礼します。
自作の小説用に対潜戦闘に関する艦艇や装備を調べているのですが、調べれば調べるほど疑問が湧いてきてわけが分からなくなっています。以下の2点について、ご存知のかたがいましたら教えてください。

@英米(というかイギリス)の水上艦は水中聴音機を使ってなかったの?
たとえば日本の松型駆逐艦では探信儀と水中聴音器をセットで載せてたようですが、調べた限りだと英米の水上艦は探信儀しか搭載していなかったようです。両国海軍が探信儀による正確な位置特定を重視していたというのは以前から知っていたのですが、だからといって探信儀のみに頼るというのはちと極端な気がします。これは本当のことなのでしょうか?

A探信儀で聴音機の真似事はできるの?
つまり聴音機の代わりに探信儀で水中の音を聞き取る作業が可能か否か、あるいは実際にそういう運用がなされた事例はあるのかということです。今まで潜水艦の捜索は『聴音機で敵の存在や大まかな位置を探知』→『目標に接近して探信儀でより正確な座標を測定』という流れだと思っていたのですが、上記のとおりだとすると自分のイメージは正確なものではないということになります。
もし仮に代用できないのならば、英米における対潜警戒は遠距離においてレーダーに依存していたと考えていいのでしょうか?


のけ

  1. 1.インターネットで調べた結果ですが、原則として水中聴音機は装備していないようです。
    2.探信儀と聴音機では、使用する波長が違います。
    3.それ以前に、潜水艦の探知に対する認識に誤りがあります。当時の聴音機は、単艦では10km、艦隊では30kmです。水中に潜って電動機で動く潜水艦なら、自艦や被護衛船からの雑音もあり、事実上探知不能です。
    潜水艦の存在や大まかな位置の探知は、暗号の解読(我国はこれでやられた)、発信された電波による複数個所からの方位測定、敵の戦法の推測(我国は、これでもやられた)等です。

    UK

  2. UKさま
    回答ありがとうございます。
    @
    ああ、やっぱりそうですか。
    A
    えっと、「聞き取れる波長の範囲が違うから無理」ということでよろしいでしょうか?(ただ、それだと戦記等で見られる「圧潰音を聞いて撃沈と判断」っていう描写と矛盾する気が……)
    B
    「近距離じゃないと聴音機による位置特定は難しい」ってことですね、分かりました。
    のけ

  3. @英国の 二次大戦当時のもので、アクティブでない、聴音のみのものはアスディックではなくハイドロフォンとして重巡洋艦や航空母艦などに搭載されています。
    戦中型としては132型ハイドロフォン装置などが用いられています。

    対潜戦闘を行う艦艇は、基本的にアスディック、ソナーでアクティブ、パッシブ 両方に用いています。これは戦後の海上自衛隊護衛艦なども同様ですね。

    A可能です。
    むしろ、ハイドロフォンのみのほうが、対潜能力を持たない船に載せるサブセット的な扱いです。
    SleepyEnsign

  4. SleepyEnsignさま
    ご回答、感謝いたします。
    @
    聴音機は探知装置というよりは、むしろ警戒装置として用いられていた側面があるのですね。勉強になります。
    A
    なるほどで。探信儀と聴音機の扱いは、日本とは多少異なるようですね。これはちょっと驚きです。

    ありがとうございました。
    のけ

  5.  お書きになられる小説が、もしも、第2次大戦初期のUボートを扱われるのなら、目視が基本となります。というのは、艦載レーダーがまだ普及しておらず、デーニッツは配下の潜水艦に夜間水上攻撃を指示しておりましたので、アスデック(探信儀)が使用できなかったからです。したがいまして、その頃に限って申せば、「英米における対潜警戒は遠距離においてレーダーに依存していた」のではないということになり、水上艦艇もしくは航空機による目視ということになります。もちろん、1の最後にお書きになられていることも有用ではあったと思いますが、この時代の北大西洋においては、たとえば、HF/DFは1941年3月に実艦配備されていますし、ウルトラ情報は戦争初期にはありませんでした。そして、大戦初期においては、ドイツがどのような戦法を使用するかなどということは、分からなかったのはもちろんです。
     御存知かとは思いますが、念のため、書き添えておきます。
     
    hush

  6. >hushさま
    アドバイスありがとうございます。
    小説の世界観自体は架空のものですが、史実の1942年ごろに対応した艦艇・装備・運用等を参考に執筆中です。ですのでそのあたりは大丈夫かと思います。
    なお内容は船団護衛隊を主役に据え、フォレスターの『駆逐艦キーリング』と史実のバレンツ海海戦を足して2で割ったような代物です。まあ色々と変なものも混ぜていますが。
    のけ

  7. 5の夜間水上攻撃について参考までに記すならば、高所に位置する水上艦の見張りからは暗い海面に浮かぶ舷側の低い潜水艦を発見し、視認することは困難であるが、低所に位置する潜水艦からは明るい夜空を背景にして水上艦、獲物を発見することは容易なことによります。我国潜水艦は、戦前はこの方法で敵戦艦への雷撃を訓練していました(初期の世界の艦船での確か堀氏の説明)。
    その他、第2次世界大戦時といっても、日独英米の聴音機、アクティブソナーの装備は種々です。初期か後期か、対潜艦か大型艦か等で種々相違します。
    なお、2のBの近距離じゃないと聴音機による位置特定は難しいも何か誤解があるようです。現在ならば、自艦の航路を変更して、大凡の目標の位置を推定することが可能ですが、当時はどうだか、どの程度だったか。近距離の意味も不明です。
    UK

  8. せっかくだから、参考用に英海軍のASDICのタイプをまとめて紹介しようかな、と思いましたが、

    こちらの後半部分に米海軍のソナーについてまとめられているのを思い出しましたのでそちらを紹介させていただこうかと思います。
    http://www.general-support.co.jp/column/columun18.html

    また、ASDICの種類と装備年代についてはこちらをどうぞ
    https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_British_Asdic_systems
    1934年型のType124から、英海軍でもレンジレコーダーが付加されたモデルが装備されるようになるのがわかると思います。
    ソナーでの探知を連続記録できるこの装置がどういった役割を果たすかはわかるとは思いますが、艦上でどのように用いられたかの資料としては
    http://jproc.ca/sari/asd_gen.html
    こちらのページの「カナダ海軍駆逐艦ハイダ艦上のASDIC運用」の項目が参考になるかと思います。

    SleepyEnsign

  9. SleepyEnsignさま
    参考資料ありがとうございます、使わせていただきます。
    (英語がちょっと大変ですが)

    UKさま
    自分が質問していたのは基本的な部分です。あまり専門的、というか具体的な時期を想定していたわけではありませんので、正直そこまで根掘り葉掘り問い詰められましても困ります。


    のけ

  10. いつ魚雷を放つとも限らない目標相手に、音も聴かない、回避行動も取れないでは攻撃どころではありません。

    目視やレーダーで替えが利くものではなく、これからもずっと必須装備です。
    しゃるほ

  11. しゃるほ様
    申し訳ないですが、自分が聞きたいのは装備状況などのより具体的な情報です。必須だのなんだのという段階の疑問ではございません。
    のけ


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