831  現在では、大戦時の潜水艦に比べ随分と潜航持続時間が伸びているように聞きます。ドイツの209型潜水艦が低速で89時間、AIP潜水艦では2週間といいます。お聞きしたいのは呼吸できる持続時間の伸びについてです(航続距離ではなく)。
 どのような方法により改善されているのでしょうか。以前に、艦内容積(一人当たり)に左右されるとも聞きましたが、現代がそれほど劇的に変わるものとも思えません。酸素の供給と二酸化炭素等の吸着方法の改善に伴うものなのかとも思いますがいかがでしょう。酸素放出による気圧増大も圧縮機によって処理しているのでしょうか。よろしくお願いします。
4式射撃装置

  1. どなたもご回答がないので、失礼します。

    潜水艦内の空気の処理方法については、なぜか海上自衛隊では秘密とされています。しかし、取っ付きにくい応用有機化学の、アトラクティブな実例で有るため、米国海軍兵学校のApplied Chemistryの授業用のパワー・ポイントまで公表されていました。

    下記は、MIT(マサチューセッツ工科大学)の「SUBMARINE AIR TREATMENT」の授業のレジメです。
    1)潜水艦内の酸素は、電気化学的酸素発生器(electrochqualityemical oxygen generator)と、化学的酸素発生器(oxygen candle furnace・chemical oxygen generator)で造られます。酸素キャンドルは、超酸化物・塩素酸塩・過塩素酸・オゾン化物などが使用されています。
    2)潜水艦内の二酸化炭素は、 炭酸ガス吸収装置(Carbon dioxide scrubber)で処理されます。
    3)潜水艦内から一酸化炭素を除去するのには、LiOHアブソーバーやCO-H2バーナーが使われます。
    4)鉛蓄電などから発生する水素ガスは、やはりCO-H2バーナーで処理されます。
    5)潜水艦内の臭気やその他の有毒なガスは、活性炭素(activated carbon)を用いて除去されます。
    6)酸素や二酸化炭素や一酸化炭素など、クルーの健康に多大な影響を及ぼす物質に対して、潜水艦内の空気を処理するにあたり、艦内の気圧の変化について、その影響を常に予め把握して対応します。

    英語で検索すると、いっぱいヒットします。手始めに:
    Submarines Atmosphere Control and Air Treatment – SlideShare
    https://www.slideshare.net/mobile/MohammedDayraki/submarines-atmosphere-control-and-air-treatment-65803423
    などは、いかがでしょうか?

    佐久間

  2. 潜水艦 炭酸ガス、等で検索すると、幾らでも出てきますよ。
    UK

  3. 追加で失礼します。

    2003年と、少し古いですが、イタリアの潜水艦の空調を改善した論文があります。


    SUBMARINE AIR PURIFICATION AND MONITORING:
    http://www.datech-srl.com/assets/pdf/Submarine_Air_Purification_and_Monitoring_NATO.pdf

    当時のパソコンでモニターできて、半導体工場のクリーンルームや病院の無菌室を目指しているのに驚きます。

    海上自衛隊で秘密になっていることは、それを知る立場にいた方は、いくらネットに書かれたり、雑誌などに掲載されていても、一切発言できません。多分、それで何方もご回答をされなかったのでしょうか?

    佐久間

  4. 佐久間様 回答ありがとうございました。2)から5)までの処理の改善によるのかなと思っていましたが、1)は意外でした。酸素そのものを圧縮して摘んでいると思っていました。(または液化に改善?)
    実に興味深いです。訳して読んでみます。

    UK様 ありがとうございます。それらの検索はもちろん、より効果的に検索できるよう試みましたが、大戦時の潜水艦と現代のものとの潜航持続時間の圧倒的な差の理由はわかりませんでした。潜水艦、炭酸ガス等で幾らでも出るのなら、ぜひご指導ください。
    4式射撃装置

  5. 5>> 燃料電池方式のAIPの場合には、液体酸素と記されています(小生の推測ですが、ボイルオフした酸素を呼吸に用いる。なお、LNGでは、ボイラの燃料とします)。Li電池方式でも、同様(液体酸素)だと思います。
    「潜水艦 炭酸ガスの除去」、「潜水艦 酸素の供給」等で検索しています。
    UK

  6. マチガイでした:電気化学的酸素発生器(electrochqualityemical oxygen generator)→電気化学的酸素発生器(electrochemical oxygen generator)

    1)リチウム-イオン電池は、そうりゅう型平成27年度計画8126号艦から採用されて、スターリングエンジンのAIPが廃止されました。液体酸素とは無関係です。
    2)そうりゅう型の液体酸素のNormal Evaporation Rate (NER)は存じませんが、ボイルズ・オフした酸素を、そのまま艦内に流したりはしません。潜水艦で一番怖いのは火災ですから、アポロ1号の二の舞はいやでしょう。まあ、潜航中の潜水艦内では、LNGタンカーがボイル-オフ・ガス(BOG)を、燃料として燃やしたり、再液化するようには、気化した酸素を簡単に処理できません。
    3)そうりゅう型が燃料電池方式のAIPを採用しなかったのは、横須賀基地に液体水素タンクを設置するのを、米海軍が拒否したみたいです。11番艦からスターリングエンジンを止めたは、大量の液体酸素の搭載を嫌ったのもあったのでしょうか?
    佐久間


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