845 「日本海軍における”高速戦艦”」とは一体どんな軍艦を指しているのでしょうか

定義付けがされていたり、何ノット以上みたいな基準があったのでしょうか
また任務や役割の違いだとしたら、”戦艦”と”高速戦艦”と”巡洋戦艦(類別上廃止されましたが)”ではどのような違いがあったのでしょうか

出来れば、第一次世界大戦〜八八艦隊より、戦間期〜第二次世界大戦の話でお願いします
天ヶ崎

  1. 大きく2種類あるようです。出典は、初期の世界の艦船等における堀氏、福井氏等の記事。
    1.我国のみならず多くの海軍関係者が、ジェットランドの経験から理想として考えた戦艦の防御と巡洋戦艦の高速を兼ね備えた主力艦。4万トン、16インチ主砲、30ノットが一つの目安です。八八艦隊の加賀や土佐が該当します。
    2.戦艦に改装後の金剛級等(そのほか、米国のアイオワ級等)。
    UK

  2. 加賀、土佐は速度が少し足りないが、実質高速戦艦です。
    UK

  3. 1の2の追加です。同時代の戦艦より優速の戦艦を言う場合もあります。ジェットエランド前に建造された英国のQE級戦艦もそうです。なお、金剛級やアイオワ級は、対応防御という面からは防御は不十分です。
    UK

  4. UK様ありがとうとうございます

    つまり日本海軍においては、
    リシュリューやヴィットリオヴェネトなどは30ノットは満たしても3万5千トン、15インチ主砲だから高速戦艦ではない
    ということになっていたのでしょうか
    その場合、リシュリューやヴェネトは日本海軍においては高速戦艦に該当せず戦艦に該当されていたということなのでしょうか

    それとも、速度が少し足り無い加賀や土佐が実施高速戦艦と日本海軍でされていたように、
    リシュリューやヴェネトは目安に少し満たないが実質高速戦艦
    加賀とほぼ同速の大和も目安に少し満たないが実質高速戦艦
    と日本海軍ではされていたという事なのでしょうか
    天ヶ崎

  5. 質問者様
    旧海軍の元造船官や市井の研究者ではなく当時の帝国海軍がどう考えていたかをお知りになりたいのでしたらアジ歴で「高速戦艦」「重高戦」で検索すれば昭和9〜13年当時の部内文書が数点ヒットしますからご覧になられては如何でしょうか

    >1.
    >3.
    “Jutland”を「ジ ェ ットランド」と表記するのはそろそろお止めになられては如何でしょうか
    駄レス国務長官

  6. 戦間期〜第二次世界大戦時の日本海軍において
    「『戦艦』(具体的には扶桑型〜大和型)に期待された任務は何か」
    それに対して
    「『高速戦艦』と呼ばれた元・巡洋戦艦の金剛型戦艦に期待された任務・役割は何か」
    を考えられればいいのではと思います。

    最高速度が何ノット以上だったら・・・とかはあまり関係ないと思います。
    仮に「大和」「武蔵」が30ノット以上出せたとして、「高速戦艦」金剛型戦艦と同じ任務を与えられたでしょうか?
    Ranchan

  7. 4>>
    1、4万トン、30ノット、16インチ主砲は、ポストジュットランド型として第1時世界大戦後に考えられていた高速戦艦の目安です。
    2、第2次世界大戦開始前後に完成した独、伊、仏の公称35000トン型戦艦は、戦艦の防御力と巡洋戦艦なみの速度(従来タイプの戦艦より有速)を有するという面からは、ポストジュットランド型の高速戦艦に該当します。但し、要求される対応防御(同じ口径の大砲でも威力が増大し、航空機の発達と砲戦距離の延伸の下で、特に水平防御が)と必要とされる速度の増加の下で、主砲口径は16インチになっています。4万トン程度では16インチ砲の採用は困難です(福井氏)。
    3.若しこれらが日本籍であれば、従来タイプの戦艦より有速という面から高速戦艦と呼ばれたでしょう。
    4.大和型は、当時の新造戦艦や金剛型に比較して有速ではないため、高速戦艦とは呼ばれていないようです。
    UK

  8. >6.
    > 仮に「大和」「武蔵」が30ノット以上出せたとして、「高速戦艦」金剛型戦艦と同じ任務を与えられたでしょうか?

    >4.で見られる文書中に「新高戦」「重高戦」として書かれた2隻は6万5千トン、30ノット、18インチ砲8門以上、つまり「大和」「武蔵」の原案で、第二艦隊第三戦隊を編成し、金剛型高速戦艦4隻の同第四戦隊を率いて、「長門」「陸奥」の第一艦隊第一戦隊および伊勢・扶桑両型4隻の同第二戦隊とは別働するという基本構想が見て取れると存じます
    駄レス国務長官

  9. 皆様、ありがとうございます
    昭和10年頃の金剛型は第二艦隊、つまり前進部隊に編入され主力部隊の前方で活動する役割が考えられだしているらしいとは聞き及んでいます。
    大和の重高速戦艦案も第一艦隊ではなく第二艦隊としての活動を期待されているものだとは知っています。

    つまり日本海軍における高速戦艦とは、
    1.主力部隊(第一艦隊)から離れ、前進部隊(第二艦隊)として前方で重巡洋艦部隊と共に活動する能力があると見なされている戦艦ということ
    2.金剛が改装で30ノットと増速された理由は第二艦隊編入の構想から
    という事なのでしょうか

    それとも、
    30ノット出る戦艦→第二艦隊用の戦艦。第一艦隊戦艦部隊とは別働する戦艦
    と言い切ってしまうのは早計だったりするのでしょうか
    天ヶ崎

  10. 第二艦隊の基本任務に「来寇する敵艦隊の捕捉および勢力減殺」があり、とうぜん最初に接触するのはカウンターパートの敵前進部隊ですので高速および相応の火力は不可欠です(金剛型高速化の主目的)
    また第一艦隊主体の決戦に際しては予めこれに合同し敵主力部隊に対して適宜機動する必要がありますので徹頭徹尾別働というワケではありません
    大和型の中速化容認は第二艦隊向け甲巡の充実と第一艦隊の体質改善要求が背景に有るのではないでしょうか
    駄レス国務長官

  11. 7>> 主砲口径は16インチになっています。これは、15インチに訂正します。
    UK

  12.  日本海軍の運用法から行けば、艦隊決戦時の主力部隊の戦列を構成する主力艦が「戦艦」であり、戦列を構成する「戦艦」としての能力を完備していて、艦隊決戦の前哨戦で、軽快艦艇と共に前方に出る等の任務を持つ「巡洋戦艦」としての任務を兼務できるのが「高速戦艦」です。速力は仮想敵国及び自国の戦艦隊に対して、完全な戦術的機動性優位を持つことが出来る+4ノットの発揮が目処になります(敵が23ノットでも、味方が25ノットなら、29ノット以上が望ましい)。

     故に「巡洋戦艦」としての運用を考慮していない「土佐」「加賀」は、日本海軍的には「高速戦艦」に含まれません。日本の八八艦隊における「加賀」型以降の戦艦整備が、「加賀」型ベースでは無く、「天城」型ベースになるのは、米のサウスダコタ級(BB-49:日英式公試なら24ノットを発揮可能)に対して、+4ノットの速力発揮を念頭に置いたことも大きな影響を及ぼしていると見られています。

     「大和」型の中速化は、第一艦隊と第二艦隊の兵力バランスを考慮して、長官殿が言われるように第一艦隊の戦力改善優先が、大きな影響を与えています(「扶桑」型がそろそろ戦力的に限界、と言うのもありますしね)。
    大塚好古

  13.  追記。重高戦や金剛型の第二次改装で30ノットの発揮が要求されるのは、良く言われるように「高速艦艇との共同作戦」を考慮しての物です。これが「高速戦艦」の「戦艦」に対する+4ノットの要求をも包括する内容であることに、留意して頂ければと思います。
    大塚好古

  14. 一点疑問に思ったのですが

    大和型戦艦は当初の構想では30ノット以上を出せる戦艦ですが、その構想中では「高速戦艦」(金剛型)の立ち位置となり、史実のような「艦隊決戦時に中核となる主力戦艦」ではなかった(基本的には扶桑型〜長門型が担当、手が空けば新戦艦も主力戦艦部隊に合流)・・・ということなのでしょうか?

    30ノット以上出るから・・・といって、「『腰の軽い』高速戦艦」として新戦艦が運用されるんだろうか?・・・と思いましたもので。
    Ranchan

  15. >14.
    優勢な米戦艦隊との決戦にはとうぜんわが第一・第二艦隊が合同して参加せねばなりませんので「手が空けば」などと悠長に構えるコトは許されません
    日本海軍の構想では決戦前夜の夜戦までは高速戦艦を含む第二艦隊が主体として「敵艦隊の捕捉および減殺」に当たり、決戦当日には「決戦」を主任務とする第一艦隊に合流し(第二艦隊の基本任務にもとうぜん「決戦」が明記)、優速を利して長門以下の第一戦隊の前方に占位し、米戦艦隊の先頭数艦に火力を集中して早期に敵陣を混乱させ、敵がひるんで退却に移れば即刻追撃に転じ、その後尾に火力を集中して戦果を拡大するなどして味方に有利な状況を生み出すことが求められたワケです
    このへんはかのヂャットランド海戦のビーチー隊を第二艦隊、ヂェリコー本隊を第一艦隊、独艦隊(ヒッパー+シェーア)を米艦隊に置き換えてみればスムースにご理解いただけるのではないでしょうか
    駄レス国務長官

  16. 追記
    さらに細かく申せば重高戦はさしずめトーマス隊のQE級、金剛型はビーチー座乗のライオン以下巡洋戦艦ちゅうコトになりましょうか
    駄レス国務長官

  17. 追記2
    >15.の「ビーチー隊」はビーチー、トーマス両隊を一くくりとしたモノです
    駄レス国務長官

  18. ありがとうございます

    >速力は仮想敵国及び自国の戦艦隊に対して、完全な戦術的機動性優位を持つことが出来る+4ノットの発揮が目処になります(敵が23ノットでも、味方が25ノットなら、29ノット以上が望ましい
    長門が29ノット改装案があったのもこういう理由だったのですね


    >戦列を構成する「戦艦」としての能力を完備していて、艦隊決戦の前哨戦で、軽快艦艇と共に前方に出る等の任務を持つ「巡洋戦艦」としての任務を兼務できるのが「高速戦艦」です。
    なるほど、それが高速戦艦とされていたのですね
    漠然と30ノットというキリの良い数字ではなく、+4ノットの発揮が目処となっていたのですね
    天ヶ崎

  19. >>駄レス国務長官様

    ご回答有り難うございます。
    初期の「重高戦」は史実の大和型戦艦のような「艦隊決戦用秘密兵器」扱いではなかった訳ですね。
    それなら納得です。

    大切な「重高戦」が戦艦決戦の前哨戦で沈没または損傷する可能性のある運用をされるのだろうか・・・?と思いましたのでお伺いいたしました。
    Ranchan

  20. >19.
    >大切な「重高戦」が戦艦決戦の前哨戦で沈没または損傷する可能性のある運用をされるのだろうか・・・?

    そのようなリスクもとうぜん皆無ではありません
    ヂャットランド海戦では英の大切な最新鋭のQE級4隻も相応の被害を生じ、1隻は途中で戦線離脱してますからね
    しかし同級がもしビーチーの巡洋戦艦隊に加わってなかったら同隊は決戦の前哨戦で独艦隊に壊滅させられたかも知れません
    戦争なのだから多少の被害は甘受しつつ戦術目的を達成するほうが重要ではないでしょうか
    駄レス国務長官


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