109 現代の対空砲弾の設計においても、発砲から命中位置に至るまでの弾丸飛翔時間は重要なファクターにされているのでしょうか。
太助

  1. 質問者です。
    昔の65口径10cm高角砲に関する文章を読んでいたのですが、砲弾は一定距離に至る弾丸飛翔時間が最小になったモノを選んだと読める箇所がありました。これは、標的の未来位置を予測するにあたり、より近未来での予測で済むというもので、しごく納得できるものであります。

    ここで標記の疑問なんですが、これは現代の砲弾設計でも重用視されている項目なんでしょうか。

    よろしくお願いします。
    太助

  2.  目標の未来位置と現在位置の偏差が少なく、目標に回避する時間を与えないようにするため、砲弾等の飛翔時間を最少にする努力は現在も行われておるやに聞き及んでおります。
     しかし、砲弾初速を高めれば砲身や砲自体への負荷も高まりますし、砲弾本体や信管も衝撃や加速に耐えられるものにする必要があり、信頼性や実用性はもちろんコストの問題も出てくるので、極端に高くすることはできません。
     それらの問題を解決する手法の一つとして、レールガンやラムジェット弾/スクラムジェット弾といった新技術の研究開発がおこなわれています。
    おうる

  3. 回答ありがとうございます。

    ところで、レールガンやラムジェット弾とありますが、これらは具体的にはどういった機体に搭載され、どういったものを標的とするのですか?

    ちなみに小生は現有艦の3インチや5インチ砲で、対艦ミサイルに、近接信管付きの無誘導の砲弾を撃ち込むことを想定しておりました。その場合、昔の高角砲が急降下爆撃機を標的にしたよりは、砲弾飛翔時間にこだわらないのかなと思い質問した次第です。
    明記しておくべき内容だったかと反省しております。
    太助

  4. 航空機や対艦ミサイルの迎撃には誘導砲弾なんかも良いでしょうね。

    イタリアのOTO Melara社は、62口径76mm艦載砲Super Rapidを使用してRF(Radio Frequency)誘導ビームによる砲弾誘導システムDart Stralesを開発していましたが、今年(2009年)の春先には試射にも成功しているようです。
    DART (Driven Ammunition Reduced Time of flight)という名称からも分かるように、APDSF弾の様な形状をした高速の誘導砲弾のようです。

    5インチ砲クラスだと陸上攻撃用の誘導砲弾の開発が主体のようですが、対空用途の砲弾も開発されるされるかもしれませんね。
    MK@2004-

  5. MKさん、DARTの紹介ありがとうございます!
    設計コンセプトが明瞭な良いネーミングですね。
    砲弾の飛翔時間を短縮することは現在でも重要であることがよく理解できました。
    太助

  6. SAMやAAM等のミサイルでも目標への飛翔時間を短くするということは、最適の飛翔パターン(弾道等)をとらせることにつながりますね。
    同じロケットモーターを使用しても有効射程が長くなります。

    尚、私が4の回答で文中にAPDSFと書いているのはAPFSDSの誤記です。送信後に直ぐ気付きましたが...。
    MK@2004-

  7. >6 MKさん
    対空誘導弾ではDTRM(Dual Thrust Rocket Motor)の採用にみられるように、飛翔時間を最小にするよりも、飛翔速度をおさえて、飛翔可能距離を延長することが重視されているのではないでしょうか?
    まぁ早く命中してくれるほうが良いのは確かなので、飛翔時間が短くなるような制御がなされている可能性は大でありますが、まず第一は飛翔可能距離の延長が対空誘導弾の設計の重点かと。
    ここが非誘導型の対空砲弾(射程距離増大よりも飛翔時間短縮を重視する)との違いではないかと考えております。

    我ながら、文章が判りにくいですね。。。
    要は誘導弾と非誘導弾では、設計の仕方が違うのではないかと言いたかった訳です。
    ・誘導弾:構造設計(第一重点=飛翔可能距離の延長)×制御設計(目標との偏差が縮小する飛翔経路の選択)
    ・非誘導弾:構造設計(第一重点=砲弾飛翔時間の最小)

    これは、非誘導弾では時間が経つほど誤差が蓄積するためであるかと。

    太助

  8. >7 太助さん

    砲弾/誘導砲弾あるいはミサイルにしろ目的や用途、種類によって何を重点にするかはそれぞれ変わってくるでしょうね。一概には決められないと思いますが、太助さんがおっしゃっていることは傾向としてはあるかもしれません。

    脅威/目標の発見から対処(要撃破)までの時間が短い、あるいは低空からのポップアップ目標とか短距離での突発的な対応も含まれる場合は、リアクションタイムも含めて目標までの飛翔時間が短いことが重要になるでしょうね。
    つまり迎撃する飛翔体には高加速度/高飛翔速度などが求められますね。
    ロケットモーターの燃焼時間が比較的短くても速度や位置エネルギーが大きければ、それなりに大きな射程距離も得られる場合が多いと思います。
    飛翔速度が大きい対空ミサイルなどは、遠距離の目標を狙う場合に空気抵抗が少ない高度をなるべく飛翔させる弾道パターンを取ることが多いと思います

    射程距離の増大に重点を置き、長い距離を飛翔して目標への会敵地点付近でも大きなエネルギーポテンシャルを保っていたい場合は、ロケットモーターにも色々と工夫が出てくるでしょうね。
    固体ロケットモーターのDTRM(Dual Thrust Rocket Motor)は、昔のターターやホークSAM等でも使用されていますが、現代のスタンダードSAM-2/SM-3やTHAADミサイルでも使われていますね。
    又、1個の固体ロケットモーター内で再点火できる(第1推進薬燃焼後に時間をおいて第2推進薬に点火とか)2パルスロケットモーター(Dual-Pulse Rocket Motor)なども出てきていますね。

    いずれも場合も理想的には、目標付近まで大きな飛行方向の変更などせずにエネルギーロスを最小限にした最適の飛翔パターン(弾道等)を得ることが、射程距離の増大にもつながり、同じ射程距離では飛翔時間も結果的に短くなっていると思います。
    MK@2004-

  9. ん〜、対空誘導弾に高飛翔速度が求められていますかね、、。
    もちろん最低要撃速度は必要ですが、それ以上の超高速状態は無意味に空気抵抗の増大を招くだけのような気がします。その状態の回避(最高速度の抑制)こそがDTRMの肝だと解釈していたのですが。
    太助

  10. >9
    はい。DTRMの解釈はそれで概略よいと思いますよ。
    いろんなミサイルの種類、用途や設計思想等により飛翔のさせ方はいろいろと有り、一概には決めつけられないでしょうと言っているだけですよ。ただ太助さんが書かれていることは、傾向としてはあるかもしれませんねということです。

    対空誘導弾に高飛翔速度が求められているか、と言うよりも発射後の高加速が求められているか、ロケットモーター燃焼終了時の飛翔速度がどの程度に想定されているかで使用するロケットモーターの特性も決められてくるでしょうね。
    それによってはブーストフェーズのみのロケットモーターもありでしょう。

    ホークSAMのロケットモーターはDTRMでしたが、同じレイセオン社のペトリオットミサイルのロケットモーターはブースト燃焼のみで、10秒強と比較的長い燃焼時間でマッハ5+の速度まで加速が可能ですね。比較的に短距離〜長距離での運用も可能です。
    ロシアのS-300用のミサイルも同様のようで、マッハ6位まで加速が可能なようです。
    昔のABMのナイキ・スプリントのブースターは約1.2秒の燃焼時間でしたが、ミサイルを100G程で加速するものでした。高ブースト飛翔の実験用のHIBEXは1段式のロケットモーターだったと思いますが、1.1秒の燃焼で200〜300G?の高加速度だったような記憶があります。
    形が似ているロシアのS-300V用のミサイルも相当な加速度と飛翔速度を持っていると思います。
    最近の対戦車ミサイル(ATM)のロケットモーターなんかでも燃焼時間は2秒位だったりします。命中まで5秒位かもしれませんから、これも高加速が必要でしょうね。

    上の例は一例ですが、この様に用途によって様々と思います。
    MK@2004-


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