153 基本的な質問で恐縮ですが、よろしくお願いします。
リボルバー式拳銃のシリンダーに刻まれてるフルートって、何の為にあるのでしょうか?素人目では滑り止めと軽量化位しか思いつかないのですが、その他に理由があるのでしょうか?
ACP

  1. じつは軽量化で正解です。
    軽量化をすると、次のようなメリットがあります。
    @まず銃自体が軽くなる。(たぶんこっちが本命)
    Aシリンダーが回り過ぎてしまうことを未然に防げる。
     撃鉄を起こすと、それに連動してシリンダーが回転します。シリンダーが重すぎると、シリンダーが自らの慣性で回りすぎてしまうことがあるわけです。それを防ぐために、シリンダーにフルートを入れて軽量化した、というわけです。
     しかし、フルートを入れると、シリンダーに強度がなくなるという欠点も生じます。38口径や357マグナムのような比較的低威力の弾丸であれば問題になりませんが、トーラス・レイジングブルやS&W M500のような超大型のマグナムを使う銃ともなると、そうも言っていられません。実際、まれにフルートのないM500が存在するようです。慣性でシリンダーが行き過ぎるというのはおそらく給弾不良くらいの確率でしかないのでしょう、それくらいの危険を冒してでも、銃の耐久性を優先した事例と考えられます。
     また、昔の銃にはフルートのない物があります。たとえば、寺田屋事件で使用されたといわれる坂本龍馬の拳銃には、フルートがありません。

     ちなみに、僕自身ちょっと前に資料を読むまで、フルートの存在理由は知りませんでした。知ったかぶったような事を堂々と、失礼いたしました。

    M16A3

  2. >1.に補足。現代において一般には(専門書多くも)、M16A3さんの解説の事が述べられいますが・・・・??

    古くは、フリントロック+回転シリンダーのコリアー拳銃(COLLIER FLINTLOCK でいくらでも検索可能)に
    初期のフルート加工が見られますが、実用リボルバーとして初の物は、Smith & Wesson No.1, 3rd issue です。
    世界初のメタルカートリッジ・金属薬莢 拳銃の改良三番目の物。1850年代後期頃です。

     ttp://www.armchairgunshow.com/ot57-pix/DP-938bx.jpg
     ttp://www.gunsinternational.com/Smith-&-Wesson-No1,-3rd-issue,-22-cal,Ivory-Grips.cfm?gun_id=100066172&CFID=5221289&CFTOKEN=3194fb9e1a936c0a-FA96166B-D616-7E46-C832AB111E15CAAE

    その目的は・・・・
    1.シリンターギャップガスの逃げ
      フルートがシリンターギャップから洩れたガスを上手く上方左右に逃すのに役立っています。
      コルトに代表されるパーカッションリボルバーはトップフレームが存在せずシリンターギャップから洩れた
      ガスの逃げについては特に気にもしなくて良かったのですが(当然邪魔な物が無い真上に逃げるのが自然)、
      トップフレームが存在するS&Wのチップアップ方式では、ままギャップからのガスがこれに跳ね返って
      引き金指に掛かったり、多少射手側にさえ飛んでくる事がありました。
      弾倉にフルート加工を施す事によってガスを上手く上方左右に逃すのに役立っています。

      これは現在のモダンリボルバー全てに言える事であり、某社スーパーブラックホークにより先祖帰りした
      アンフルーテドシリンター等は 手の保護にグローブや保護メガネの利用をお勧めします。

    2.チャンバー・薬室位置の把握の為。
      パーカッションリボルバー時代は何とか パーカッションキャップ取付け部カットの存在で薬室位置を
      確認できましたが、メタルカートリッジになってからは 外見からチャンバー位置が解りずらくなりました。
      フルートが その役にたっています。

    3.余談、対するコルト社・・・・
      S&Wの真似を意地でもしたくないコルトですが、フルート採用は有名なピースメーカー 1873 SAA からです。
      後方より1発1発弾薬装填する時の 弾倉手動回転時の利便性も考慮したからと推測します。


    4.弾倉軽量化→ 弾倉回転のし易さ
      せっかく くり貫いた鉄の弾倉の前半分に、鉄より重い鉛の弾丸で詰め物しては かえって重くなり
      手動(W-ACTIONなら指動)回転の力が更に必要となります。 少しでも楽に弾倉回転させる為の軽量化です。


    以上 常識外れの薀蓄でした。

    軌跡の発動機?誉

  3. お二方、レスありがとうございます。

    M16A3さん
    >知ったかぶったような事を堂々と、失礼いたしました。
    とんでもない。分かりやすい説明感謝です。

    軌跡の発動機?誉さん
    細かい説明ありがとうございます。
    ACP

  4. 回答というよりもむしろ再質問のようになってしまって迷惑かもしれませんが;
    >シリンダーに刻まれてるフルートって、何の為にある
    長物のfluted barrelがそうであるように、more rigid and cool quickerの為にもある、ということはないでしょうか? 
    また、シリンダー先端のchamfering(面取り)とともにフルートによってホルスターとの摩擦が軽減され、出し入れがスムーズにおこなえる、というopen carry時代の昔の知恵(習慣)がそのまま今日に引き継がれているという側面はないでしょうか? 
    ともに、横文字のフォラムから拾ってきた考え方です……
    Jウォ〜ク

  5. >4.Jウォ〜クさん
    小生、Fluted barrelは僅かな軽量化意外は あまりメリットが無い様に認識します。
    コストと実用性のバランスが良ければ 軍用の小銃、機関銃にどんどん採用それている筈ですが、
    むしろヘビーバレル化する傾向にありますね。
    又、ホルスターへの出し入れ利便性の為と言うなら もっと早くコルトパテント全盛・パーカッションリボルバーの時代に
    気がついて出現・ポピュラーになっていてもよい筈と思いますが、どうでしょう。

    〜?誉

  6. 成る程。大兄のご意見、ごもっともです。合理的な理屈だけで説明できないこともあるし、複数のplausible answersもあるかと思いますが、海の向こうには私が拾ってきたような意見を持つ人たちもいた、ということにとどめておきたいと思います。
    わざわざご回答ありがとうございました。

    Jウォ〜ク


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