180 現代の陸軍用軍靴は、ふくらはぎの半ばまでの半長靴がほとんどだと思いますが、登山靴やトレッキングシューズの多くは足首までとなっています。
重い荷物をもって長距離を歩くための靴という点では同じだと思うのですが、どうして長さが違うのでしょうか。




スティレット

  1. 複数の異なる背景があるでしょう。登山靴も短くなる傾向にあります。むかしのキャラバンシューズは短めの半長靴程度でした。
    別ラインを見れば、ボッカや山師のワラジは足裏のみです。マタギ衆もある次期以降はゴム長を愛用します。
    荷重の問題がまずあるでしょう。慣れた人なら足首をホールドする必要はありません。が、不整地歩行に慣れない人を動員する場合には、馴れた人に不自由をかけてでも、捻挫(今はこうは言わないようですが)しにくいほうがトータルで得になるでしょう。むろん、沼地などを踏破しても足は濡れないというメリットも建前としてはあったかもしれません。WW1の塹壕戦の戦訓からは信じがたい話ですが、戦訓を取り入れるに際してやたら早いこともあれば仏の顔も4度5度で負けても変わらないこともあるのが官僚組織としての軍ですし。


  2. 「ゲートル」で調べてみるとよく判ると思います。
    ふくらはぎを圧迫する事で、疲労や足のむくみを防ぐことが出来る為、過去の各国の軍隊でも短い靴を装備した時にゲートルを巻いて補っている例が多々ありますが、編み上げの半長靴にはこの効果があります。
    今でも疲労対策や、いわゆる「エコノミー症候群」対策としてゲートルが売られていますので、科学的根拠の無い話でもないでしょう。

    他にも、皮などの丈夫な素材の靴なら、布のズボンより突起物などによる怪我や裾の引っかかりの防止にも役に立ちます。

    一応米軍等でも、足の病気などの防止のためには靴を脱いで足を乾燥させてマッサージした方が良いなどといっているようですが、下手をすれば起きてから寝るまで靴を履きっぱなしで行動する事もありえるのが軍隊ですので、半長靴の方が合理的なのでしょう。
    またー

  3. 予断ですが、今の国内でもJIS適合の半長靴の安全靴が義務な工場が普通にあります。

    工場などでは、油断すると鉄片や木片一つ引っ掛けても大怪我になる事がありますが、そんな安全対策だけを見ても半長靴の方が合理的なんです。
    (たまにしか履かない私の安全靴も、結構傷だらけになってます。)
    またー


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