449 日本と米軍の高射砲高角砲の比較です。日本海軍の八九式高角砲と米海軍の5インチ砲Mk12との比較、日本の三式12センチ高射砲と米軍のM1 120mm高射砲との比較では両者似たようなコンセプトで造られたと思いますが、かたや米軍は分離弾薬筒を使う仕様ですが、もう一方の日本の場合、より大きな15cm高射砲を含め砲弾と薬莢が一体となっています。もちろん状況によって使い勝手は変わるとは思いますが、大口径高射砲に使用する場合の分離または一体型弾薬筒それぞれの長所短所と実際使用した兵隊さんの感想とかありましたら教えてくだい。
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  1.  分離式は弾丸と薬莢を別個に扱えるので、それぞれが軽量コンパクトになるというのが大きな利点です。一般的に120mm級前後より大型の高射砲ですと完全断薬包の重量が30〜40kgぐらいに達します。これは人力で扱うにはかなり厄介な規模でして、高射砲ですと装填台が水平というわけにもいかないので、機力装填の砲であってもかなり苦労します。
     つまり分離式は大きく重たい大口径高初速砲を人力介在で扱う場合には必然的な形態だと言って良いかと。
     第二次大戦型の一般的な機力装填高射砲の分離式は、弾丸と薬莢を前後に並べてセットし、装填ラマーが一回のアクションで砲に押し込んで装填します。つまり弾丸と薬莢を両方置かないといけませんから、どっちかが遅いと射撃速度が遅くなります。弾丸係と薬莢係が息を合わせて素早く操作しないと最大性能は出せません。
     また薬莢と弾丸の径が必ずしも一緒ではないので装填台等に若干の工夫が必要になり、可動部分が多くなり故障の原因になります。他にも薬莢と弾丸が密接に結合してないので、場合によっては弾丸と薬莢の間に隙間が生じて装填される可能性もあります。この場合は本来の性能が十分に発揮できないかもしれません。
     つまりは、カタログスペックは優れても、実運用上はチームワークや機械の出来不出来に左右されて十分な性能を発揮できない可能性もあるということです。もちろん十分な訓練ときちんと整備された火砲でならば問題はありませんが、多少ハードルが高いともいえるでしょう。
     一体式は重くてかさばる完全弾薬包を扱うので体力等の負担が大きく、射撃速度を維持するのが難しいという面がありますが、分離式よりは多少単純なので故障や性能発揮の安定性は若干良好かもしれません。
     12糎級ですと一体弾薬でもなんとかなる重さですから、どっちを選ぶかは、多分に慣れとか上手く行った機構を継承とかで決まってしまうのではないかと思われます。
     なお15糎級になると弾丸だけで40〜50kg級になりますので、分離式にして人力で装填台に置くか、機構が複雑化しても機械力で弾丸を装填台に置くか悩みどころとなります。そして機械力でやるなら分離式にしなくても良いかもしれません。ただし薬莢の分弾薬包が長いですから、スペース等を考えると悩みどころです。
     なお分離式の他の利点としては薬莢を変えるだけで弱装等にできるという点があります。一体式ですと薬莢外して装薬詰め替えるとか、予め弱装にしておいた一体式弾薬を使う等で面倒になってきます。装薬量を加減するのが一般的な榴弾砲なんかですとこの点もあって分離式が普通になってます。まあ高射砲ですとあまり重要な要素ではありませんが。
    SUDO


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