507 エリコンFF,FFL 1号銃と二号銃についてお尋ねします。
1号銃に二号銃の銃身を着けた場合、初速は、
如何程でしょうか?

二号銃の約1.2mの銃身が、5型の約1.4mに成ると900mまで延びています。
また、このような
実験も行われたのでしょうか?
青江

  1. 銃身長は同じで発射速度を増した二号銃五型と、銃身長を長くして薬莢も大きくしたFFSを取り違えてはいらっしゃらないでしょうか。


  2. 1号銃が、初速600m
    2号銃が、1型から4型まで銃身1.2mで750m
    5型が、1.4mで900m更に発射速度を増した。

    FF、FFL、FFSと薬莢と銃身が伸びて、FFSで840m
    FFの機構と銃弾で、2号銃の銃身に変えた場合にどうなるか、が聞きたかったのです。

    一番簡単に考え付くのは、あるものを組み合わせて試してみることでしょう。
    薬量を変えてなければ、発生するエネルギーは同じですから機構的には、そう問題は無いと考えました。
    青江

  3. 九九式二号銃は五型も銃身は1200mmで変わらず、初速も750m/sです。発射速度だけを増しています。

    銃身長1400mm、初速900m/sなのは、エリコンFFSか十八試二十粍固定機銃で、どちらも九九式二号銃とは構造的に別物であり、弾薬包も異なります。
    単純に銃身長だけが高初速をもたらしているのではありません。


  4. とにかく、FF→FFL→FFSと長銃身化される都度、薬莢も拡大されて薬量を増しているのはなぜか、を考えていただければと思います。


  5. 銃身が長くなる、という事はそれだけ銃身内面との接触時間が増大するということであり、摩擦抵抗が増えるという事です。
    使用する弾薬が同じなら基本的に初速は若干落ちるものと考えて良いと思います。
    薩摩

  6. そうなんですか?私は膨張する燃焼ガスにより加速される時間が長いので、銃身が長ければ長いほど(弾速=ガス膨張速度に達するまでは)初速が大きくなるものと思っていました。戦車砲だと長砲身イコール高初速じゃないですか。
    もの知らず

  7. 砲身が長いほど加速時間が増える、というのは燃焼ガスの量が十分にあるのが前提です。
    1m砲身用の弾薬には1m分の燃焼ガスしかない(当然マージンはありますが)ので、砲身を伸ばすとガス圧不足を摩擦が上回り初速が低下します。
    MAG

  8. >>6
    ドイツの56口径と71口径8.8センチ戦車砲の弾薬を比較すれば判ると思いますが、前者のそれに比べ後者の装薬部分は大型化しており互換性がありません。
    長砲身高初速にするには装薬の最適化が必須で、燃焼ガスの圧力上昇点が砲口付近で最大になるように調整されます。
    砲身長だけで初速が高められる訳ではなく、高度な化学知識による装薬の最適化も同時に求められるのが長砲身高初速砲なのです。
    薩摩

  9. 物理式 E=1/2MV^2 と W=FS の応用で
    V=(2PLA/M)^0.5 となります。 摩擦抵抗や効率は無視。

    V:砲口初速 P:平均腔圧 L:砲身長 A:砲弾断面積 M:砲弾質量

    つまり砲弾初速を上げる手段は、発射薬を多くして〔或いは発射薬の特性を変えて〕燃焼圧力を上げる。
    砲身を長くする。 弾丸直径=口径を大きくし断面積を大きくする。等の単一条件UPでも初速は増加しますし、
    それら諸条件UPの組み合わせで砲弾初速は更に増加します。


    さて、>8. 圧力上昇点が砲口付近で最大になったら、薬室部より砲口部の方が肉厚の砲身が必要になってしまいます。
    現代そんな砲身は存在しません。

    軌跡の発動機?誉

  10. >>9
    小生の解釈が間違っていたら申し訳ないんですが、その式は定圧変化を前提にしてらっしゃいませんか?「平均腔圧」がどんなものかにもよるかもしれませんが。
    仮に定圧変化だとしたら、
    http://www.riruraru.com/cfv21/phys/isobaric.htm
    このHPの最後に書いてあるように、「体積が増加するとき、温度が上昇し」てしまいます。つまりエネルギーの供給を受けていることになります。これはおかしいでしょう。確かに圧力の上昇段階では装薬の燃焼でエネルギーが供給されますが、その後の膨張段階は「断熱変化」を前提に考えるべきではないでしょうか。

    「断熱変化」ならば、
    http://www.riruraru.com/cfv21/phys/adiabatic.htm
    このHPの最後のグラフのように(T1とT2が逆っぽいですが)、体積が増加するに従って、気体のする仕事量の増加量も少なくなっていくのでしょう。そして「気体のする仕事量の増加量」が「抵抗」に等しくなった時に、砲弾の初速はピークをむかえることになると思います。つまり、適切な砲身長というものがあり、長くすれば良いというものじゃない。当たり前ですが。

    確かに断熱変化を文字だけの掲示板で表現するのは難しいですが、だからといって定圧変化を持ち出すのは乱暴じゃないかと思いコメントしました。個人的には>>6-7のやりとりが的を得ているんじゃないかと感じていますが、いかがなものでしょうか。

    太助

  11. >10.太助さん
    銃砲は断熱膨張ですね。砲内弾道学もPV=nRT を基礎式として考えてゆきます。

    又、英語版Wiki “Physics of firearms”も参考になると思います。
      ttp://en.wikipedia.org/wiki/Physics_of_firearms
    特にFirearm energy efficiencyの項目 Higher efficiency can be achieved in longer barrel firearms
    以下の文章は興味ある解説です。

    さて、銃身の長さと阻害抗力(摩擦抵抗他)の関係は砲内弾道学にて“学術理論腔長”として難しく計算されます。
    ネットでこの理論を見かける事はほとんどありませんが、一般に小火器では初速が上昇する限界銃身長は2m前後と言われています。

    〜?誉

  12. >>11 誉さん
    ΔW=P・A・ΔLを砲身長に渡って積分した結果が運動エネルギーと等しいというところまでは良いのですが、断熱変化ではPが砲身に沿って変化するため、一般的にはW≠PALとなります。かと言って簡易に表現できる式でもないので、近似式で表現することが考えられたのでしょう。
    そこで誉さんの書かれた「平均腔圧」の登場ですか。この「平均腔圧」というものは最大とう圧と最低とう圧の平均値のことかと思います。

    おそらく、>>10の「断熱変化」のHPリンクの最後にあるPVグラフに示された仕事Wを台形面積で近似したものが>>9の式なのですね。ただし、グラフをみる限りでは結構大きめの近似になるようですが。
    注意すべきは「平均腔圧」は砲身長が長くなれば値が小さくなるということくらいですか。これまた当たり前のことですが。

    太助

  13. 色々ご回答ありがうございます。
    私の方に幾つか誤認識もありましたので、感謝します。

    お尋ねしたのは、装薬が燃えきっていないと考えたからです。
    銃口から火の出ている点でそう思いました。
    燃焼している限り推進力は追加されます。
    ややこしいのは、燃えきった時点で終わりではなく推進力への変換終了にタイムラグがあると考えられることです。

    良い例の一つは、ムカデ砲です。
    ガスの追加といっしょに燃焼エネルギーが追加されていると思うのです、それで、どの程度かなぁ?わかればということで、ありがとうございました。

    青江

  14. >>13
    >装薬が燃えきっていないと考えたからです。
    >銃口から火の出ている点でそう思いました。
    >燃焼している限り推進力は追加されます。

    若干違うように思いました。
    もともと装薬は完全燃焼しない方が推力がでると考えられます。一般に火薬の燃焼によって発生する推力は√(燃焼ガス温度/燃焼ガス平均分子量)に比例します。炭素分に関して話をすると、完全燃焼でCO2を発生させるよりも、不完全燃焼でCOを発生させる方が、燃焼ガス平均分子量を大きく下げられ、結果として(完全燃焼させる場合に比べて)推力向上、初速UPになります。もっとも、砲口をでて酸素が供給されると、COガスは燃焼し火炎とともにCO2になるでしょう。(くどくなりますが(適正な装薬量を用いた場合)砲口をでた後の火炎は、燃え残りの装薬の燃焼ではなく、装薬が不完全燃焼してできたCOガスの燃焼になります。)

    つまり、砲口内で装薬は燃えきっています、ただし酸素を少なめにして不完全燃焼するようにしています。

    ...って掲示板で書き込みされてもなかなか理解は厳しいですよね。小生が間違っている可能性もある訳ですし。
    まあ、あくまで参考用ということで。

    太助


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