530 「WW2当時の日本軍の装備はWW1当時のドイツ軍にも劣っていた」という主張があるのですが、事実であるのでしょうか。
秋津邦男

  1.  2次大戦時の旧日本陸軍の主要小銃である38式歩兵銃は明治38年式という意味ですので、1905年制定の小銃となります。つまり、1次大戦の始まる10年近く前の制定です。そういう意味では、比較的旧式な小銃を使用していたということになりますが、1次大戦時にドイツ陸軍が使用していた小銃はGew98です。そして、この98は1898年制定を意味します。
     もちろん、どちらが優れていたかなどは門外漢の私に分かるわけもありませんし、小銃だけを捉えて、だから、どちらの装備が劣っていたという話にもなりません。ただ、そのあたりを捉えて、そのような話になったのではないかと思いますが、2次大戦時にドイツ国防軍が使用していたKar98kはGew98を改良したものを1935年に制定したものであったりします。
     呼び水程度にお読み戴ければ幸いです。
     
    hush

  2. 装備といっても簡単ではないのですが、陸軍の歩兵に限定したとしても20世紀の軍隊では個人装備の比較よりも、分隊、小隊、中隊がどんな装備を持ってどんな機能を果たせるかといった事が大切になって来ます。

    そして第一次世界大戦のドイツ軍の装備とひと口に言っても鉄帽も無い初期から中期と、軽機関銃中心の分隊構成になりグレネードランチャー、火炎放射器などで支援され、毒ガス戦にも適応できる末期の装備とでは大幅に違います。
    それまで、「一般的なライフル兵」という編制の大多数を占める存在の比率がどんどん下がり、ライフル兵の個人装備を比較することに大きな意味が無くなっているからです。

    日本はこの末期ドイツ軍の装備と戦術を導入する方針でしたが、予算不足のために実際の導入が昭和11年からとなり、その後の軍備拡大で新装備とそれに対応した編制が徹底できないまま終戦を迎えています。
    明治以来、ドイツ軍の操典を基礎に訓練され、ドイツ軍の戦術と装備、編制を手本として来た上で、第一次世界大戦による変化に追いつくのが遅れ、最後まで完了できなかったのですから「劣っていた」という評価は間違いではありません。
    BUN

  3. いつも勉強させていただいております。太平洋戦争時の日本軍の装備が欧米列強にかなり見劣りことは否定的ないと思っていましたが、一次大戦の独軍にも劣っていたとはショックです。

    しかし、一方では兵力が同数程度ならそんなに負けていないという印象を持っていますし、ペリリューや硫黄島では(地下陣地を活用できたとはいえ)、圧倒的な兵力・火力・制空権を誇る敵にかなり善戦しています。ということは装備や編成は総合的戦力の中ではそんなに決定的要素ではないのでしょうか?
    もの知らず

  4. 私は供給こそ追い付かないものの11年式、96式、99式等の軽機が分隊に1つあると云う事から違和感を感じていたので、参考になりました。
    秋津邦男


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