539 ドイツの88mm砲用のHEAT砲弾(Gr.39シリーズ)はスペックを見るとタングステンを使わない通常の徹甲弾と比べても貫徹力が高いように見えません。
また、初速が遅く射程が短いため、HEAT弾の強みである遠距離でも衰えない威力を狙ったものでもなさそうです。
そのくせ生産された数は意外と多いようです。
その理由は何なのでしょうか?

1.HEAT砲弾は安かったので大量生産された
2.榴弾ではだめだが徹甲弾を使うまでもない目標が多くあった
3.単純に徹甲弾が不足していた

私に想像できるのはこの程度ですが…
U-TARO

  1.  戦車砲に関しては、トム・イェンツ『ティーガーI重戦車1942-1945』に「(成形炸薬弾は)PzGr39に比べ、命中精度が劣り、破壊力は遙かに弱かったが、Sprgr(榴弾)の収容架で携行でき、対戦車戦以外に、非装甲の目標物に対しても効果的な榴弾として使用できた。」と、あります。『ティーガーフィーベル』には1,000mまでの戦車に対して使え、とあり、使用割合は榴弾6:徹甲弾5:成形炸薬弾1、といったところです。『タミヤニュース』の304〜306号に、ティーガーの弾薬と装填手に関する連載が載っているのですが、最後のしか見つからない…。
     
     ただし、『ドイツ国防軍の対戦車砲 1939-1945』(『Waffen und Geheimwaffen』にも同じ表がある)によると88mmPak43の弾薬が1943〜1945年にPzGr39が198万4,900発、PzGr40が5,800発(1943年だけ)生産されているのに比べて、HL.Gr(成形炸薬弾)は1943年の7,000発だけで生産停止されています。75mmPak40だともう少し多い(PzGr39・365万7,200発、HL.Gr・176万9,800発)のですが、これも1943年で生産停止されています。56口径砲用も同じかもしれない。なにか打ち切る理由があったのでしょう。
    バツ


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