580 ちょっとした質問です。
WikipediaにIRSTはRADARよりも角度分解能が高いとの記述があります。理由は波長の違いだそうです。(Angular resolution at short ranges is better than radar due to the shorter wavelength.)
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Infra-red_search_and_track

ここで質問なのですが、Wikipediaでいうレーダにモノパルス測角方式は含まれるのでしょうか。つまりモノパルス測角方式とIRSTで角度分解能の優劣が知りたいのです。

よろしくお願いします。

太助

  1. 戦闘機搭載のFCSレーダーで多用されるXバンドの波長なら例えば9GHz帯だと3cm強ですが、IRST等で多用される長波長赤外線だと8〜12μmとかの波長ですね。
    つまり波長で比べれば3千倍位の差があります。
    単純に考えれば、同じ角度分解能を得るの受信アンテナや受光部の開口長は使用波長に比例しますから、IR等のEO光学系の開口の口径は電波系に比べれば圧倒的に小径で済みます。
    少なくとも気象条件の影響を受けにくい比較的近距離を想定すれば、IRSTの方がより高い角度分解能を得ることは容易ではないかと思います。画像情報も扱うなら尚更でしょうね。
    逆にセンチメートル単位の波長のレーダーなら大型戦闘機のレドーム収納でもアンテナ開口は1m程度の径に制限されるでしょうね。これでも全然足りない感じがします。
    そこで電波使用のレーダーでは周波数帯やアンテナの大小に関わらず角度分解能を高める工夫が昔から用いられています。その代表的な方法がモノパルス測角方式と言えるでしょう。

    基本的な問題として目標からの反射受信信号を得ても受信ビーム内の中心軸に近いところなのかビームの端の方なのか、どこに目標があるのかは分かりません。それでFCSレーダーに限りませんが、受信ビームの中心軸からどのくらいの角度ずれがあるかの角度誤差信号を得るためにモノパルス測角方式が用いられています。
    (角度ずれの信号を得るためだけならビーム軸を円錐状に走査するコニカル・スキャン方式などでも良いのですが、近年はECCM性等の面からも単発(mono)のパルス放射でも角度誤差信号が得られるモノパルス方式が中心になっています)

    各種FCSレーダーについて言えば1970年代以降のものは、ほとんどがモノパルス測角方式になっていると言ってもよいかと思います。
    ちなみに空対空ミサイルのAIM-7のレーダーシーカーアンテナもAIM-7Eはメカ式コニカルスキャン方式、AIM-7Fはスロットアレイアンテナ化した電子式コニカルスキャン方式、AIM-7M以降は円板状のプレーナースロットアンテナを使用したモノパルス方式になっていますね。AIM-54 Phoenixなどは最初からモノパルス方式でした。
    MK@2004-

  2. 回答ありがとうございます。
    内容が難しくてよく解らないのですが、戦闘機に搭載する程度のサイズなら、「IRSTの角度分解能はモノパルス測角の角度分解能よりも良い」ということでしょうか?
    世間では角度分解能0.25 µrad / 0.0143°→約0.25ミルのIRSTの噂もありますから、いろいろ種類のあるモノパルス測角でも勝ち目はないんでしょうかね。

    ところで戦闘機搭載レーダのモノパルス測角性能がどのくらいかご存知ですか?

    太助

  3. 文字化けてしまいました。
    0.25マイクロラジアンです。
    太助

  4. 「モノパルス測角の角度分解能」と言うよりも「追尾レーダー等の角度分解能」ですね。
    軍用レーダーの測角精度や角度分解能等のデータは、あまり出ていないと思いますが、地上設置のXバンドのモノパルス方式の追尾/標定レーダーなどでは、ビーム幅1°程度で測角精度0.1mil(ミリラジアン)とかの例もあるようですから、このあたりが追尾レーダーのひとつの基準(目標値)ではないかと思います。
    以前は電子的にビームを指向するフェイズドアレイ方式のアンテナよりもメカニカルなサーボ機構によりパラボラアンテナを指向する追尾/標定レーダーの方が測定データの信頼性や精度は上だったと思います。最近はどうでしょうね。(フェイズドアレイ方式のアンテナは複数の目標を同時追尾する場合には有利ですが)
    戦闘機搭載FCSレーダーなどは、同じような周波数帯でも上記の追尾/標定レーダーの数分の一のアンテナ径しかないでしょうから、測角精度は一桁低いのではないかと思います。

    角度分解能0.25mrad(ミリラジアン)のIRSTですか、確かに分解能は電波を使うレーダーを上回っているでしょうね。互いに欠点を補い合ってFCSレーダーと高機能IRSTを併用すれば鬼に金棒でしょうね。
    (ちなみに単位がマイクロラジアンなら「すばる」等の大口径天体望遠鏡を上回ってしまいますね)
    MK@2004-

  5. そうでした、失礼。
    太助


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