640 カタパルトにはいくつかの方式がありますが、
フライホイール式カタパルトについて興味があります。
日本海軍も研究していたようですがボツになりました。
フライホイール式ではどのような問題があったのでしょうか?
ケレス

  1.  大塚博士の「米空母の真実」を拝見しておりますと、レキシントン級が弾み車(フライホイール)式の射出機を搭載したことがあるようです。ただ、艦載機用ではなく、水上機用であり、ほとんど使用されずに撤去されたそうです。そして、その理由として射出機そのものの能力不足とクラッチの耐久性を挙げられております。
     射出機そのものは4.5tの機体を48ノットで射出できたそうですが、48ノットというと時速90qほどでしかありません(もっとも、航空戦艦改装時の伊勢級等に搭載された一式2号11型の射出能力は約5tの機体を時速100qまで加速できる性能しかありませんが)。しかし、そのために用意された弾み車は47.2m(多分、円周)もあったのです。
     もちろん、弾み車は慣性重量を利用したものですから、重量を増やせば能力は高まります。しかし、水を入れたバケツを振り回して投げるだけなら、手を放すだけでよいのですが、この車の回転を静止しているものに瞬時に伝達するためには、クラッチが必要です。しかし、当時の大工業国であったアメリカでさえも耐久性に問題があるものしか造れなかったとしたら、当時の日本にこれより勝るものが造れたかという疑問がでてきます。
     弾み車は玩具や足踏み式ミシンからF1の運動エネルギー回収装置(KERS)にまで使われ、車のエンジンにも搭載されています。そういう意味では古くて新しい技術ですが、当時の射出機に使用するには、乗り越えなくてはいけない問題点が多くあったということでしょう。
     もっとも、弾み車を使用すれば、連続して射出することが可能になるはずですので、運用上、大きな利点になります(旧日本海軍が潜水艦で使用した空気式の場合、四式1号10型で射出間隔は4分にもなります)。にもかかわらず、日本では火薬式(一部空気式)に、英米では油圧式になったのは、これらのほうが克服すべき問題点が少なかったということなのだろうと思っております。
     
    hush

  2. bushさん、ありがとうございます。
    クラッチがネックなのですね。
    クラッチは単板クラッチが用いられていたのですか?
    自動車大国のアメリカでも難しい事は
    日本にはできませんね。
    連続射出には適しているとおもったのですが浅はかでした。
    ケレス

  3. >2
     多分、私の書き方が悪かったのだと思いますが、1は、日本での開発のネックがクラッチであったと断定したものではありません。あくまでもアメリカでの問題点の一つがクラッチにあったということであり、ならば、日本でそのような耐久性のあるクラッチが開発できるのだろうかという疑念を申し上げたまでです。
     なお、申し訳ございませんが、私は日本の弾み車式射出機がどのようなものであるか、全然、存じておりません。
     http://www.warbirds.jp/ansq/22/B2002312.html
     上記URLで、BUN氏が畑式と書いておられるのを手掛かりに、アジア歴史資料センターで検索をかけ、東京の畑製作所が開発していたものだろうと憶測しているばかりです。
     また、技術者でもありませんので、クラッチ板が一枚なのかどうかなどということも分かりません。
     せっかく、鄭重な御礼を賜りましたのに申し訳ないことです。
     
    hush


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