692 周知のように、クロムスキット式の無反動砲は薬莢側面に細かい穴が空いています。
薬室側面に設けられた空室に、発生させた発射ガスを一時溜め、溜める事で発生させたタイムラグの後で後方に噴射させる事で
砲弾発射の反動を相殺する後方への噴気の噴射タイミングを砲弾の加速し始めでは無く、加速された砲弾が砲身から出かかる頃により近づける事で発射薬をより高効率に使う為です。

処で、之等、薬室と対反動発生噴気孔との間に蓄圧室を設ける形の無反動砲の、後方への噴気孔を塞いだ場合に、腔圧と反動の推移はどうなるでしょうか。
希望的な観測ですが、薬室の空室の存在により高低圧理論が働いて、
腔圧のピークは孔を塞がなかった場合よりは当然大きいが同級の砲弾を発射する在来の榴弾砲・加濃砲より小さく、反動の推移も其に倣うのではないかと思います。
つまり、無反動砲と低圧・低反動砲とで実包を互換性のあるものとさせ、両形式の砲に同一の規格の弾薬を供給させ得るのではないか、と思うのです。

榴弾砲程ではないにせよ反動が発生しますが砲尾からの噴気が無く発射薬の全量を砲弾の投射に使える低反動の低圧砲は
無反動砲との相性が悪い装甲車両との相性が良く、故に無反動砲とは違ったニッチを占めます。夫々のニッチは余り大きくなくとも弾薬を単一規格で賄えればその短所は消せます。
にも拘らず戦後何故、無反動砲と同じ弾薬を使用する低圧砲・低反動砲が実用化されなかったのでしょうか。
にも。

  1. 門外漢の素人ですが、ちょっと検索してみました。
    ソ連のBMP-1歩兵戦闘車に装備された73mm 2A28低圧砲は歩兵用無反動砲SPG-9と同じ弾薬を発射するそうです。ただし装薬は低圧砲用のほうが少し少ないみたいですが。
    超音速

  2. >1. 私も後から知りましたが、前線で同じ弾薬を共有できる訳ではない様ですね。テクニカル等に2A28砲塔が好んで積まれてる処を見れば簡単な加工で流用できる様ですが。

    さて、少し調べてみたらM40 106mm無反動砲の薬莢のサイズが、L7 105mm戦車砲の其と同じである「らしい」事に気が付きました。
    抑、クロムスキットの弾薬の設計は6ポンド砲や75mm戦車砲といった中小口径の高初速砲の長大な薬莢側面に細孔を開け発射ガスを薬室側面に設けた蓄圧室に一時溜めるというコンセプトで
    M40の場合は、西側連合国(米英仏)共通規格の105mm級加濃砲(当初は戦車砲以外の用途も考えられてたでしょうから)の、その時点で迄に定まったと思しき規格に、薬莢サイズ等を合わせてるのでは無いでしょうか。
    そしてクロムスキットの薬莢サイズをフルサイズの戦車砲/対戦車砲に合わせる理由は設計・生産の手間を省くだけではなく、緊急時にクロムスキットの弾薬をフルサイズの砲に流用出来る事も目指されていたのではないのでしょうか。

    弾薬を共有する低圧砲を具体的に検討すると、M40 106mm無反動砲の欠点として蓄圧室の設けられた砲尾が嵩張り邪魔であることが欠点だとされてる事が気になります。
    後座しないM40にしてそうなら、その嵩張る砲尾を後座させる低反動砲の場合その欠点は倍加します。
    しかも米軍は、敵軽兵による側面からの襲撃への対応を重視して、装甲戦闘車両の車体を直接砲郭にするのではなく兵装を砲塔に載せることを選好するので、この欠点は更に増します。
    逆に云えば嵩張る砲尾の後座の処理さえ何とかなれば、いけそうですが…
    にも。


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