693 戦艦等は艦政本部等海軍内の部署が設計しますが戦闘機や戦車は三菱等の様な軍以外の会社に設計してもらうイメージがあります。
なぜ軍内部にそういった部署を置いて軍だけで設計したりしないのでしょうか?
Mk.63 GFCS

  1. 抑、挙げられたような、乗物でも在る複雑な兵器システムを軍「だけ」では設計出来ません。絶対に軍の外の企業体の協力が必要です。

    先ず、日本の戦艦の設計主体が艦政本部になっている直接の理由ははこういった主力艦が一品物だからです。しかし日本の特に海軍は航空機や車両の使用の策定に細かく口を出しており、その意味で日本の戦闘機や戦車はおしなべて軍が事実上の基本設計を行ったとも言えるのです。
    一方、一品物の主力艦の場合でも軍側は戦闘等基本機能の使用策定には力を入れますが、船としての細部は実際に作る現場に任せざるを得ません。
    大和型戦艦の二番艦の武蔵が連合艦隊旗艦として選好されたのは本艦が三菱重工長崎造船所で建造され、乗員特に高級将官への居住性に旅客船特に一等船室のノウハウが活かされているからだ、とはよく云われる話です。

    其様に日本の造兵では官主導が目立ちますが、反対にドイツの造兵は戦艦の様な一品物も含め概ね民間企業が設計しています。国策として官主導で銀行に計画的に融資をさせて営々と育てた企業ですが…
    同じ様に戦艦も民間企業が設計する米英も、独の様なあからさまな官主導且つ軍需寄りではありませんが、政治が意識して現代戦の軍需を支え得る近代工業・産業の育つ環境を作る事に注力してる筈です。
    ソビエトは設計局制度で設計者と生産ラインの距離が遠い為、国民経済を犠牲にしても必要な量と質の軍需を揃える戦時生産には向いてます。
    大砲に関しては、米英は基本国立工廠ただ一つだけで設計し民間は概ねそれをライセンス生産するだけなのに対し、ドイツは複数の民間企業が、そしてソ連は幾つもの設計局を競争させて設計・生産してます。
    にも。

  2. 日本の場合は陸海軍ともに(最初期には陸海軍共同して)軍の中で製造を行おうとしていましたが、当時必要とされていた技術のほとんどをヨーロッパに依存しており、これが第一次世界大戦で届かなくなります。第一次世界大戦終結によりヨーロッパからの技術移入は再開されましたが、大戦中の数年間で航空技術は飛躍的に進歩していて、質的にも量的にもかなり必死にならなければ追いつけないものになっていました。そこで民間会社の活用が求めらることになったのですが、主力機材となることが想定されていた海軍攻撃飛行艇と陸軍重爆はそれぞれの軍の中で設計することが維持されます。手が回りかねるもの、それほど重要ではないものは民間会社に任せる、という方針です。ただし、第一次世界大戦後のベルサイユ条約の中で、ドイツの軍事技術を外国軍隊に渡すことは禁止されており、大型機のためにドイツのジュラルミン製機体技術の入手を必要とした陸海軍ともに民間会社をダミーの窓口に仕立てることになります。というような感じで、民間会社の比率が高くなってゆくわけです。


  3. >片様 某アニメスタイルここ調このセカイベントの中継リアルタイムで観ました。途中からだったのでR-2800(DC-6搭載の戦後型という事はAEC対応か?)の気筒に話が振られた時「神戸港にて発掘されたる襟具状土偶!」とコメント付ける事が出来ず、すみません。

    コミケで赤軍火砲の同人誌を出しておられる方がいて、御茶ノ水から駿河台男坂下って米澤嘉博による蜘蛛の糸(見本誌閲覧)で記憶した範囲ですが
    主力火砲の開発は米英の場合国立工廠ひとつづつ(「米英」で一つとするなら合計二つ)でしか行われておらず
    (民間でライセンス生産する場合には生産現場の状況に合わせ部品の互換性など仕様を損なわない範囲の改良はされたのでしょうが)
    国営工廠を持たず兵器開発を外形上の民間企業に総て委ねたドイツでも火砲は基本クルップとラインメタルでしか開発できなかったのに対し
    ソ連はそれ以上に多くの火砲を開発する設計局を抱えて、競争させていたのには驚きました。火砲の設計局の数が三つだったのか、七つだったのか、思い出せないのですが。

    現在でも米国は核兵器の本体の核爆発装置だけは連邦政府の機関それも軍ではなくエネルギー省内の部局が設計・生産・管理してます。核物質以外の核爆発装置に必要な部品は其処が指示した仕様に従い民間企業が生産し其処に納入します。
    建前非軍事ですが、有人機や深宇宙探査機の様な学術など非商業向けの宇宙機、あと軌道打上機では弾道弾転用起源「ではない」とされるサターンとスペースシャトルなどが、NASAの設計ですね。NASAが細かく定めた仕様に従って民間が設計・生産しました。
    にも。


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