144 連続投稿失礼いたします。
英双発機の内翼ラジエター配置のホワールウインドからモスキートへの継承ですが、ウェストランドの誰かが発想したのか、官側からの指示だったのか、デ社からウェ社へなんらかの仁義を切ったのか否かなど、おおまかな経緯をお教えいただけませんでしょうか。
また、モスキートでは外翼前縁より内翼前縁を前進させていますが(ホワールウインドでは前縁ラインはおおむねまっすぐ)、どういう理屈でどういう効果を狙ったものなのでしょうか。
VAD

  1. 一般論でご質問への確定的な答えになっていませんが、
    NACAで翼内配置のラジエターに性能に関する実験報告書が1938年6月9日付けに作成されています。(NACA tn-743 発行は1942年)ホワールウィンドの開発当時(初飛行は1938年10月)すでにラジエターの配置候補として一般的なものだったのではないでしょうか。ウェストランド社がラジエター配置について特許を押さえているかどうかはチェックしていませんので推測です。ごめんなさい

    前縁ラインからラジエター部を前に突き出すことについて、これも一般論ですが、、、
    ラジエターをつけることにより若干揚力係数が減少しますので、揚力分布を補償するためにラジエターを置いた部分の翼弦を延長することがあるようです。翼内ラジエターの配置と揚力係数の減少の関係についても上述のNACAの報告書に記述があります。



  2. い様、ありがとうございます。短期間に各所でいろんな動きがあったものでしょうか・・・

    外翼ラジエターだと37年1月26日申請、38年5月17日発効(という言い方でいいのかな)の米特許2117632 、シコルスキーがありましたが、内翼では見つかりませんでした。
    ホワールウインドの仕様書が35年、39−40年の仕様書でモスキート、ファイアフライ、ファイアブランド、ウェルキンがスタート。
    ラジエター部翼弦を延長しているのはモスキートとファイアブランドですが、後者は胴体との取り合いがけったいで、揚力分布を補償のためと考えてよいものか、「ブラックバーンだから」なのか悩みます。

    VAD

  3. 翼内部の構造物との関係で、ダクト入口を前縁から突き出して設置しなければならない場合もあると思います。
    ホヮールウィンドは、機体とエンジンナセルの間に燃料タンクも脚収納部もないので、ラジエターを前桁と後ろ桁の間に配置して冷却排気はフラップの間から排出しているようです。燃料タンクは外翼に置いています。内翼の桁は中央に冷却空気を通すようになっているます。(カット図はhttp://www.ww2aircraft.net/forum/schematics/westland-whirlwind-cutaway-12201.html
    冷却系の解説はFlight 1946年8月1日号120頁))
    モスキートは、前桁と後桁の間に燃料タンクを置いています。主翼は木製の桁2本で支えていますがこの桁に冷却ダクト用の切り欠きを設けるのはかなり勇気がいりそうです。冷却ダクトは翼桁より前方に収めており、冷却空気の排出は前桁の前方下面のラジエターフラップから行っています。(Flight 1943年5月6日号467頁)
    ファイアブランド、ファイアフライはいずれもラジエターの後ろに脚収納部があるので、吸気口−(拡散ダクト)−ラジエター-排気ダクトをこれより前に収めるとなると主翼の前縁より突き出すことを余儀なくされそうです。
    (www.aviastar.org/.../england/black_firebrand.gif )
    テンペストMk1も主翼前縁にラジエターを置いていますが、脚収納部、主桁より前方に冷却系のダクト一式を納めています。ラジエターの吸気入口から排出フラップまでは約600mm、前縁の突き出しは約300mmと機体軸方向はコンパクトですが、ラジエターの幅が約3500mm(1750x2)と大きくなっています。(雑誌の三面図からの測り読みですので誤差が大きいです。)
    ファイアフライ、ファイアブランドはラジエターの幅を小さくしているのでラジエターの高さはテンペストより大きくなり、ラジエター前後のダクトの断面を適切な拡大縮小率とするとダクトの前後長が大きくなり、前桁より前方に冷却ダクト一式を置くと主翼前縁よりかなり突き出さざるを得ないのだと思います。



  4. 詳細にありがとうございます。桁の位置と材質、客・・・お題のみならず「見方」についても大いに勉強になりました。(1946年8月1日号120頁 は 111頁のことと解してよろしいでしょうか?)
    こうして見る限り、モスキートへの直接的な影響は少なそうですね。43年にこれだけ公開しているのも少し驚きでした。
    今度はむしろホワールウインドとMe109F以降の関連が気になってきましたが・・・
    VAD

  5. >1946年8月1日号120頁 は 111頁のことと解してよろしいでしょうか?
    すみません、引用の際にページを読み間違えました。
    以下の記事です。
    http://www.flightglobal.com/pdfarchive/view/1946/1946%20-%201478.html?search=whirlwind


  6. >5 重ねてありがとうございます。
    VAD


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