169  単発レシプロ戦闘機の射撃照準について質問します。単発レシプロ戦闘機の火器(機関銃、機関砲)から発射された弾丸は何メートルか前方で一点に集中すると聞いています。
 そうなると敵機の真後ろ且つ至近距離に迫った場合、機軸に近い火器(例えば、カウリング上にあるもの)はそのまま撃てば良いと思いますが、主翼のプロペラ圏外にある火器は撃っても、弾丸が敵機の両側をすり抜けてしまうの可能性があるかと思います。
 すると、そうならないように、片側の主翼だけの火器から発射された弾丸が当たるようにパイロットは何らかの工夫をしたのでしょうか、それとも、照準器にそういった場合に使う何らかの機能が施されていたのでしょうか。
二一斎

  1. 「紫電改びっくりデータ99の謎」(渡部真一著 二見書房)に、至近距離の敵を撃つ時は、翼を左右どちらかに傾けた(おそらくヨーイング)という記述があります。
    隼兵

  2. 敵機の直後方・真後ろから胴体の左右をすり抜けるように狙うよりも、水平方向にややアングルをつけて胴体側面を狙ったり、あるいはやや上方から主翼付け根を狙ったりするのが一般的だったのではないかと思います。いずれも的が大きくな面積になる狙い方です。


  3. 考えすぎじゃないですか。
    理論的にそうなるくらい近づいて撃てば、どんな当り方でも致命傷でしょうし、まったくすり抜ける「奇跡」に備える必要は感じないのではないでしょうか。
    ただ、火器の軸線調整は(国によって?)かなり自由が利いたみたいですから、そんな配慮をしたパイロットがいた可能性はありますね。
    良く聞くのは、遠距離射撃型のパイロットが交差軸を通常より伸ばした、というものでしょう。
    しかし、初期にはスピットなどで射線を交差させず、平行に調整した、とか、むしろ何メートルか先で適当な円内に拡散するようにした、という記録も見ますので、そういう配慮をしたものがいないとは言えなそうです。
    可能性的に、7.7ミリとか12.7ミリとかをどかどか搭載している機なら1丁くらい…とかありそうですが、そうした機はただでさえ火力不足が指摘されていますから、そんなことは考えないのではないでしょうか。
    えりっひ

  4. 服部省吾さんの本など読むと、図解されてたりしますよ。
    ああ、コクピットは真後ろからではなく、斜め側面から狙うものなのか、と思ったものでした。


  5. あれ、服部省吾さんの「操縦のはなし」なら持ってますが、ちょっと違いません?
    「コクピットを狙う」なんて大それたことをリアル軍人は書かないでしょう。
    角度を取って射撃するという記述は2か所ありますね。
    一つはリード角を取って射撃するという当然の話です。戦闘中には絶対に必要になりますね。
    もう一つはリード角が0になる場合、曳航標的への訓練射撃です。角度を取らないと曳航機に当たってしまいます(旧軍、空自で実例あり)。筆者は射撃下手で何度もワイヤーを切ったそうで、結構長く書いています。
    いずれも「斜め側面から狙う」といった話ではないです。
    むしろ記述を拾うと、旋回、横滑り時にはF86Fでも機体がゆがむこと、トリガーの引き方で射撃はひどくばらつくこと、運動中の射撃が想像以上に困難なこと、自動追尾装置付き照準器でも万能ではないこと、結論として、少しでも先手を取って、できるだけ接近して射撃することが空中戦誕生以来の王道だ、と書いています。
    大体、直接照準もので余計な偏差・調整射撃はするなって常識だし、常連さんが乗ってこないのも・・・・あれ、これって釣り?
    えりっひ

  6. 服部省吾さんの著書はそれ一冊じゃありません。
    戦闘機パイロットとは、敵戦闘機のパイロットを射殺する仕事なのだ、と自分の仕事を理解して衝撃を受けた、などという意味の記述もされています。


  7. 服部省吾さんは空自の戦闘機パイロットであったでけでなく、空戦戦技史の研究家でもありました。空戦とは何をすることなのかという本質的把握にも真正面から挑まれていますし、各国空軍が残した資料をも研究対象とされています。4で私が述べたのも、そうした一次資料が引用されていたことによりますし、実際、P-51のマニュアルを見ると同じことが書かれているといいます。
    針玉を真中に据えない状態での射撃が、当時のマニュアルに図示されているのです。




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