242 作家、津本陽さんは昭和19年6月から川崎の明石工場で勤労報国隊としてキ102夜間攻撃機(記事のまま)の昇降舵製造工区で働くことになったのだそうです。リーダーから軍から月産90機命じられている。不合格機は3機に2機だから月に270機組み立てないといけない。といわれたそうです。ところで、キ102の後部席の要員はなんのためにいるのでしょうか。キ96に対戦車砲を搭載すればいいだけのように思いますが、砲弾装填の要員でしょうか。
津本陽さんの履歴書

  1. こんにちは
    夜間攻撃機と称しているのでキ102乙のことでしょう。
    キ102乙の搭載砲は57ミリ機関砲ホ401ですので装填手は不要です。後席の仕事は無線、航法、索敵、旋回機銃の射手などです。
    戦争末期の制空権が期待できない中で襲撃機の作戦は主に夜間になりそうなので夜間攻撃機と称したのは間違いではないでしょう。夜間であれば前述の後席の仕事は非常に重要性を持ちます。
    当時は単座機の夜間飛行は事実上できないので単座のキ96は戦力になりません。
    超音速複葉機

  2. ご回答ありがとうございます。回転式弾倉に12発装填するのみである。と書いてありました。こんな秘密事項も生徒は熟練工から聞いていたそうです。キ102乙には防御用機銃が無いように思えます。航続距離が2000kmもあり、使用区域はまだ中国大陸を想定していたのでしょうか。本土決戦用だったのでしょうか。
    津本陽さんの履歴書

  3. > キ102乙には防御用機銃が無いように思えます
     どの資料を見ても、キ一〇二乙(甲もですが)には後上方用の12.7o旋回機銃が標準的な武装の一つとして挙げられています。

    > 航続距離が2000km
     キ一〇二乙は戦闘機転用の襲撃機ですが、陸軍は昭和18年の研究方針において襲撃機の行動半径1,000q+滞空1時間としていますので、2,000qの航続距離は決して十分とは言えないように思えます(近距離戦闘機でも最大行動半径800q+滞空1.5時間としていますので、2,000qではギリギリかと思います)。
    T216

  4. 日本陸軍軍用機パーフェクトガイドに13mm×1、20mm×1、57mm×1と載っています。私の持っている古い書籍の下面図には機首下面に2門並んで前向きに描かれています。もちろん機首には57mm砲が描かれています。後部風防は百式司偵タイプで13mm砲を振り回すようには見えません。2000kmの航続力も対ソ連戦車防御用であれば納得です。
    津本陽さんの履歴書

  5. > 後部風防は百式司偵タイプで13mm砲を振り回すようには見えません。
    ちょっと古い本ですがグリ−ンアロー出版の 日本陸海軍試作/計画機 によれば、後部銃座の12.7mmを覆う風防は回転式になっているようです。
    同書にのっている防弾板の形状からすると、機体の進行方向を軸にしてグルンと180度回転して機内に収納するものではないでしょうか。

    また下面20mmは一つの弾倉下に2門が平行に装備されているようです。
    一門のみの、ものとかもあったのでしょうか?
    TK7

  6. キ96の武装が37mm×1、20mm×2ですから、キ102乙になったとき37mm砲を57mm砲に換えたので、弾倉のスペースのためか重量のせいかはわかりませんが、20mm砲の1門を13mm砲に換えたのではないでしょうか。12.7mm砲が防御用火器として積まれている例は四式重爆と百式重爆の戦闘機型だけのように思われます。
    津本陽さんの履歴書

  7.  丸メカNo.6に掲載されているキ一〇二の電気装置系統図(当時のもの。機体の透視図として描かれています)を見ると、機首機関砲×1、胴体下面機関砲×2、後上方旋回機関砲×1が装備されていることがはっきり分かります。

     因みに大戦後半の陸軍機は旋回機銃に12.7o機関砲(ホ一〇三)を装備していることが多く、主な例を挙げると、九七式重爆二型乙、九九式襲撃機/軍偵察機の後期型、九九式双軽二型の後期型、百式重爆撃機二型乙、四式重爆、キ一〇二等があります。
    T216

  8.  なお、キ一〇二乙の機首57o砲(ホ三〇一)は、二式複戦の機首37o砲(ホ二〇三)と同様、操縦席より前方の機首に弾倉と共に収納されていますので、「弾倉のスペースのため、20mm砲の1門を13mm砲に換え」ることは起こりえないことになります。
     重量バランスの面でも、機首の重量増には尾部へのカウンターウェイトの装備で対処されるのが普通ですので、胴体砲換装による軽量化では対処できないと考えます(胴体砲は重心点に近い胴体のほぼ中心付近にありますし)。
    T216

  9. 古い書籍の巻末に性能一覧表があってキ102乙の行に12.7×1(旋)とありました。パーフェクトガイドはキ102の項だけ13mmと表記されその他は全て12.7mmと表記されています。なにか校正上の間違いだったのかもしれません。ネットで見ても12,7mm砲となっています。余計な調べ物をさせて申し訳ございませんでした。津本さんの履歴書では明日当たり川崎の明石工場は空襲を受けそうなのでこちらも退避いたします。
    津本陽さんの履歴書

  10. 日経新聞の「私の履歴書」で津本陽さんは57mm砲は弾倉に12発装填されると書いておられますが、ネットで見ると16発とありました。その後、明石工場は空襲されますが、中学4年生の記憶力と作家の描写力で当時のすざましい状況がよく伝わってきます。戦史家の方は資料として参考にされてはいかがでしょう。
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