250 潤滑油の件で質問です。
太平洋戦争中、日本軍の航空機用潤滑油は、アメリカから昭和16年8月以前に輸入してストックしていた、自動車用潤滑油だった、という話を聞いています。

となると、
質問1:フィリピンとかグアムとか、米統治下の基地を占領し、その基地にある在庫を没収する以外に、米英が製造した潤滑油を新規に調達する手段がない、ということになるのでしょうか?
質問2:ドイツはどうしていたのでしょう? オランダ占領時にロイヤルダッチ・シェルの技術を国内移転でもしたのか、人造石油から100%合成潤滑油を作り出していたのか…
質問3:遣独潜水艦で持ち帰ったという資料に潤滑油関連の話を聞かないのですが、日独は潤滑油調達に関し、情報(技術)交換をどうしていたのでしょう?
も〜びるわん

  1.  ↓のHPを見る限り、アメリカからの輸入品もあったようですが、それが全てだった訳でもないようです。
     http://stanza-citta.com/hime/2009/05/30/156
    T216

  2. T216さん、ありがとうございました。

    冒頭の資料で、「航空潤滑油」と明らかなモノの生産状態は下記のようですね。
    ◆航空研究所(航空潤滑油規格甲合格) 約50t製造
    ◆ミヨシ化学・日本発動機油(耐寒航空潤滑油) 昭和16年 200t、昭和19年 1,000t生産
    ◆ミヨシ化学(航空潤滑油規格甲合格) 約500t+約150t
    ◆大日本油脂(航空潤滑油規格甲合格) 約200t

    「廃油再生」云々の記載も発見できますが、フィルター濾過しただけの航空鉱油乙が出回るぐらいなのだから、前線の需要と(新品・再生含めの)供給がどれだけアンバランス、だったわけですね。対米持久戦は「潤滑油の供給」という観点でも3〜4年が限度、ということか。
    も〜びるわん

  3. ↑のHPを見る限り実は大事の事が抜けているんですよ。それは日本支配下地域のひまし油の生産状況を把握していないんです。ひまし油も立派な航空潤滑油です。


  4. > 2.
     もう少し下の方にある海軍燃料廠関係が落ちていますよ(大きなものでは、徳山の第三燃料廠(120番台航空鉱油)でS16春〜終戦までで約10,000t、四日市の第二燃料廠(航空潤滑油)でS18秋またはS19春〜終戦までに約4,000t+約2,000t)。
    T216

  5. >4 T216さん
    徳山の第三燃料廠に関して、「海軍鉱油の推定消費量」という表記が気になったのです。航空潤滑油のことを指すのか、精密機械油のことを指すのか、どっちとも解釈できるような表記だったので。更に言うとこの文章で「航空鉱油」という表記もあり、海軍鉱油と航空鉱油は別モノと判断できることもあり、僕の解釈としては、海軍用の(艦船用を含む)鉱油の生産が10,000キロリットルであり、航空鉱油をどれだけ生産したかの内訳は不明、ではないか、と思った次第です。

    四日市の第二海軍燃料廠は、「航空潤滑油を生産(実数は不明)」の実数は不明、という記載が非常にひっかかった次第です。

    工業化学会の資料、海軍や陸軍のデータを引用していますが、第2と第3海軍燃料廠のデータだけ抜け落ちているのは、どういう意味合いなのか、を考えています。戦争末期に、単に濾過しただけの航空鉱油乙が出回るくらいの
    供給不足状態、を併せて考えると、第2・第3海軍燃料廠の航空鉱油の生産実数は、本当に大したレベルではなかったのではないか、とすら思った次第です。
    も〜びるわん

  6.  先日、友人から借りた「徳山海軍燃料廠史」に掲載されている米軍が終戦後に作成したレポートによると、1941年4月〜1945年8月までに第三海軍燃料廠で生産された「航空」潤滑油の総量は、約17,700バレル(約28,000kl)とされています(再生潤滑油を含む数値と思われます)。
     なお、第三海軍燃料廠には航空潤滑油の生産ライン2つの他に一般潤滑油の生産ラインが別に1つありますが、航空潤滑油の生産ラインより設置時期が遅く、1944年〜終戦の間に約42,000バレル生産したとのことです。
    T216

  7. もーびるわんさん。悲観的になりすぎです。資料を眺め書いて思ったことは航空潤滑油に関しては航空燃料程切羽詰まった感触はありません。ドイツにしてもそもそも「化学の国」でありますから、自前で充分解決したと思われます。ドイツのIG社の技術など戦前米国のスタンダードオイルに渡され、ハイオクタン航空燃料生産の基盤を作ったほどですから。日本にしても何とかなると思っていたようで、ドイツからは人造石油生産技術を欲しがっていても、航空潤滑油に関する事は聞いたことがありません。



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