265  亜音速機の主翼について質問します。現在のジェット旅客機は、その殆どが亜音速機といって良いと思います。そして主翼は比較的大型の後退翼です。ところがトマホークに代表される巡航ミサイルはずいぶんと小型の直線翼です。
 私は両者の速度域はほぼ同じと認識しておりますが、それならばジェット旅客機の方も小型の直線翼にしても良いのではないかと思われます。その方が小型、軽量化ができますので。勿論そうなるとエンジンは主翼に載せられませんが、リア・エンジンと言うのでしょうか、胴体後部への搭載で対処できると考えられます。
 しかし、そのような機体は現れておりません。何故なのでしょうか。
二一斎

  1. 巡航ミサイルって、旅客機と違って離着陸しなくて済むよね。離着陸考えなくて済むのなら、大型の主翼で揚力を稼いだりする必要性ってあるんでしょうかね?
    ま、参考までに、このサイト見て脳味噌使ってみたら?
    http://www21.tok2.com/home/koukuu/rikigaku.htm

    アリエフ

  2. トマホークはおおよそマッハ0,7なので亜音速ですが、主なジェット旅客機は0,8~0,85くらいなので遷音速ですよ。


    ど素人

  3.  まあ、トマホークは880Km/h、旅客機も900km/h内外ですから、対気速度としては同じぐらいですが、両者は飛行する高度が全然違います。
     旅客機が飛ぶ高高度は空気が薄く、また温度が低いので音速が低いのです。トマホークが飛ぶ低空は逆になります。
     翼が発生させる揚力は速度の二乗に比例しますが、同時に大気密度にも比例します。つまり同じ速度でも大気の薄い高高度では揚力が全然小さくなるのです。これが旅客機の翼が大きい理由の一つです。
     そして音速に近づくと空気の圧縮性の影響が出てきます。いわゆる音の壁というものです。これを何とかしのぐ為の技術の一つが後退翼です。#2で触れられてるように、同じ時速900kmでも、音速の速い低空ではマッハ0.7程度で済みますが、高空では音速が1000〜1100km/h程度に遅くなるので、マッハ0.8〜09等になってしまいます。つまり後退翼にしないと抵抗が急激に増加してくる速度になってしまうのです。
    >1
     旅客機とて離着陸では高揚力装置を使い、また大きな迎え角を用いることで揚力を稼いでおりますので、巡航に必要な主翼サイズ以上を無駄に備えているわけでもありません。あれで結構あっぷあっぷでギリギリで浮いてます(だからウイングレットなんかつける羽目になるわけですが)
     ミサイルは高揚力装置のカワリにブースター積んでるだけのことです。
    SUDO

  4. トマホークの翼面積の選択には、地上数十メートルという低空侵攻時の安定性確保もあるかと思われます。

    翼幅と平面形からトマホーク(BGM-109A)の翼面積を推定すると、約1.2uで、ブースターを除く総重量が1200sぐらいですから、翼面荷重は1000s/uくらい。
    この値は、同じく低空侵攻を目的とするトーネードIDS(最前進時翼面積26.6u、最大離陸重量27950s)と同級です。

    さらに、A/Bなしでの最大推力重量比(離陸直後)は両者とも0.3くらい。あとは発進時に「A/B+高揚力装置」に頼るか「ロケットブースターor母機」に頼るかの違い(>3)ということになるでしょう。
    Schump

  5. >4 素人が横から失礼します。

    ず〜と疑問だったのですが、同じ程度の翼面加重でも、揚力傾斜の大きい直線翼の巡航ミサイルでは、低空侵攻がかなりつらいのでないのですか?いくら人間が乗っていなくても、構造にかなり負担がかかりそうです。アクティブに負荷を制御しているのかもしれませんが、後退翼の方がかなり有利だと思います。今は絶滅したLo-Lo-Hiのアタッカーには、ムリをしてでも可変後退翼が有利なのでは(ステルスを考えなくても)?
    豪腕少年タイフーン

  6. ↑「翼面加重」→「翼面荷重」の間違いでした。ゴメンナサイ。
    低空高速侵攻には、やはり強い後退翼かデルタ翼の方が遊離なのでは?
    低空での運動性なら、A-10みたいな直線翼がまさっているでしょうけど。
    豪腕少年タイフーン

  7. ↑またマチガイ。「遊離」→「有利」でした。
    これからの巡航ミサイルは、空力を別にしても、
    ステルス性向上のためにも、直線翼は絶滅していくでしょう。
    花形だった、可変後退翼やデルタ翼の高速低空侵攻アタッカーが、
    いまや絶滅危惧種になっているのとは、また別の話でしょうが。
    豪腕少年タイフーン

  8. >5
     後退翼より直線翼のほうが同G下では主翼強度としてはずっと楽ですし、トマホークのように格納時は主翼を畳んで収容するような場合、強度や重量で楽になる直線翼にも利点があります。
     また、突入時には相応の高機動をしますので、巡航中に全く揺れない飛行が可能な場合であったとしても、ミサイル本体にも一定の強度は必要になるので、直線翼のほうが辛いというようなこともありません。もちろんステルスとしては直線翼のほうが不利な面は多いでしょう。
     まあ、超低空侵攻するミサイルはステルスであるかどうかに限らず見つけ難いと思いますが。
    SUDO

  9. 実際トマホークの翼は、収容の利点を考えて作られたんですかねえ?
    必ずしも飛ぶのに最適の翼とも言えない様な気はします。
    ど素人

  10. >9.必ずしも飛ぶのに最適の翼とも言えない様な気はします。
    いろいろ考えてらっしゃるのではないかと思います。
    低空飛行のライドの問題は、機体寿命が有人機より2桁程度少ない上に人間が乗っていないのでかなり妥協しているのではないでしょうか。
    また、ライドのパラメータは、揚力傾斜の他に翼面荷重も含まれています。
    「軍用航空機技術の将来」(1991 酣燈社)52頁
    ライド等級∝飛行速度×(揚力係数/揚力傾斜)/翼面荷重
    ライド等級 (パイロット反応の指数 1-9段階 5以上で任務遂行困難、8以上で任務遂行不能)
    トマホークの翼面荷重は満載時で1000Kg/m^2程度とかなり大きく設定されています。
    高翼面荷重、大アスペクト比の直線翼を採用しているのは、巡航ミサイルのセールスポイントである航続距離の確保に必要なのだと思います。



  11. ははあ、意外と翼面荷重が大きいんですね。
    あとは無人使い捨てゆえにそぎ落とせるものはそぎ落とすというわけですね。
    参考になりました。
    ど素人


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