294 新撮零戦52型ハイビジョンマスター版「よみがえる零戦21世紀を翔ける栄光の翼」というDVDを見て疑問に感じたことがあります。
プレーンズ・オブ・フェイム航空博物館の零戦52型の飛行シーンが続くのですが、通常の旋回や横転はあっても
宙返りは一回も行っていませんでした。
貴重な機体に過度の負担はかけられないと思いますが、
主翼桁や外板の張替えを行っているとのことでしたので、機体の強度に不安があって宙返り飛行を
避けたとは思えなかったので、法律で禁止されているのかも知れないと思いました。
このあたりの事情をご存知な方、お教え下さい。
toto

  1. 直接のお答えにはなりませんが宙返りなどの「曲技飛行」は何処の国でも規制があって
    許可等が必要になると思います。また機体の滞空証明に条件が付加されて「曲技飛行」が
    できない可能性もあります。
    ともあれ博物館で動態保存されているような機体に曲技飛行させるような担当者がいたなら
    私がボスの立場だとしたら即クビにしますね。
    tune

  2. tune様、ご回答ありがとうございます。
    少し考えれば分かりそうなことでした。


    toto

  3. 「曲技飛行(Aerobatics)」について、FAR 91.303 で「通常とは異なる急激な姿勢・高度・速度の変更を伴う飛行」と定義され、これを行うことのできる空域条件が規定されています。また別の条項 FAR 91.307 では「バンク角において 60 度、ピッチ角において 30 度を超える姿勢を取る場合、操縦者と同乗者はパラシュートを装着する必要がある」と規定されています。

    機体側の分類については FAR 23.3 において「acrobatic category」という分類が規定されており、

    normal category:失速、レイジーエイト、シャンデル、バンク60度未満の急旋回機動が可能。

    utility category:normal に加えスピン、バンク90度未満の急旋回およびそれに順ずる機動が可能。

    acrobatic category:機体マニュアルで明確に禁止されている以外すべての機動が可能。

    とされています。

    ただし、プロのエアロバティック・パイロットが飛ばしている高性能スポーツ機のなかには少数生産のため量産機としての滞空審査を受けていない自作機(Experimental category)もあり、この場合は個機ごとに FAA の滞空審査を受けたうえに曲技飛行の追加承認(re-certification)を取っているようです。

    復元大戦機も法律上の扱いは「自作機」である場合が多く、法律上はスポーツ機と同様に申請して合格すれば曲技飛行可能になります。ブライアン・サンダース氏のシーフューリー「アルゴノート」号など、ワーバーズを駆ってエアショウで曲技飛行を見せる常連も少ないながら存在します。

    …という事情なので、チノの 61-120 が法律的に曲技飛行可能かどうかは、個機の審査記録がどうなっているかを調べなければわかりません。ただ基本的には 1. で述べられているように、老朽化が進みつつある希少機に無理はさせない、ということなのだと思います。

    無記名

  4. 無記名様、詳しい回答ありがとうございます。
    勉強になりました。
    toto

  5. 米国で入手した同機に関するDVDを持っているのですが宙返りしてます。
    1カットで宙返りは映していないのですがチェイサーからの上昇シーンのあとに機内カメラで明らかに宙返り完了という形です。
    あとは上昇しつつロールなども行っております。

    その他機体各所の解説、滑走から飛行しながらの解説なども収録されています。

    場所は風景からPlanes of Fame(ちなみにLAからは比較的近いですが畑の真ん中で牛さんなどが居るド田舎です。)周辺であろうと想像します。

    DVDの中には 元零戦パイロットかわもとまさじろうさんのインタビューなどもあります。


    magics

  6. magics様、回答ありがとうございます。
    米国で入手ということは、残念ながら国内では見る機会はなさそうですね。
    零戦を復元、保存し、映像を商品化しそれを購入している米国の人たちに
    感謝しつつもねたましく、うらやましい思いです。


    toto


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