684 艦船関係と迷いましたが、こちらで質問させて頂きます。

艦上爆撃機で敵航空母艦の飛行甲板破壊を狙ったものと思われます。
日本海軍が敵航空母艦攻撃の際、通常爆弾で攻撃する事が多かったですが、陸用爆弾の方が飛行甲板破壊に適しており、飛行甲板破壊する事で敵航空母艦の無力化に繋がるとつい考えてします。

ですが、
http://www.warbirds.jp/ansq/41/D2001711.html
によると、陸用爆弾は「防御砲火の牽制には適当なり」という評価との事であり、陸用爆弾は対空火器破壊には効果はあるも飛行甲板破壊には適さないという判定を日本海軍がしていたと言う事だと思います。

飛行甲板が非装甲である場合、艦内深くで爆発する通常爆弾より、艦内浅い場所で爆発する陸用爆弾の方が飛行甲板の破壊が大きいとつい思ってしまいます。
陸用爆弾は「飛行甲板の破壊には適当なり」とならなかったのは、何が不味かったからなのでしょうか。
天ヶ崎

  1. 爆弾そのものの適不適よりも、信管を着発で作動させて爆風効果で対空火器を麻痺させている間に本攻撃を行うと有利だという話ですね。これは地上戦闘でも一般的な戦術で、野砲の移動弾幕射撃で麻痺した防御側の火力が復活する前に突撃を防御陣地に到達させる、というやり方と同じです。
    対艦航空攻撃で、こうした用途に用いる爆弾は着発で作動させることが肝要で、効果のある炸薬量が得られるなら弾種など何でも構いません。

    ある種の爆弾が「一般的に適してる」のではなくて、積極的に「ある目的のためにこのように使う」と意識して使っているということです。

    このような目的で投下する爆弾が「艦内浅い場所」まで貫通してから爆発しては対空砲火制圧の目的が達せられません。爆弾が甲板上で着発で炸裂してこそ本来の目的が達せられる訳です。

    また、陸用爆弾と一口に言っても、陸用爆弾が必ずしも通常爆弾より炸薬量が大きいとは限りません。九八式25番や八〇番陸用などは通爆より炸薬量が減少しています。

    BUN

  2. BUN様、ありがとうございます。
    弾種の差異では信管の差異で着発・遅発が決まると言う事を失念しておりました。

    戦史叢書ミッドウェー海戦によると「陸用爆弾でも空母の飛行甲板に大損害を与えることが出来るだけでなく、これを貫徹することも出来るのである」とあるらしく、これは恐らく着発ではなく遅発の陸用爆弾の場合かと思われます。

    貫通力の違いから同じ遅発でも、陸用爆弾の方が艦内浅い場所で炸裂する為、通常爆弾で攻撃するより飛行甲板を破壊(発着能力を奪える事)を期待出来るのではないか
    と素人考えから思ってしまったのですが、こうした議論は日本海軍で行われなかったのでしょうか。
    もし行われていないのなら、何か根本的におかしい考えなのでしょうか。
    天ヶ崎

  3. ですから、それは通常爆弾で着発信管を装着するか遅働信管の作動を調整すれば済むことです。

    陸用爆弾とは支那事変以前、爆風効果を期待して炸薬量を多めに造られた爆弾でしたが、実戦で使用するとコンクリート製建造物や掩蔽部が破壊できないことが明らかとなり、弾殻を強化した九八式二五番が現れます。これは構造を簡易化した通常弾で、強度を上げた分だけ二五番通常爆弾より炸薬が減少しています。鍛造によらない簡易通常弾になっているのです。八〇番陸用爆弾も簡易構造の代用通爆とした結果、炸薬量が減っています。

    このように陸用爆弾は全て同じ性格ではなく、大炸薬量の従来型陸用爆弾は軍艦に使用した場合、構造物を破壊できずに炸裂以前に弾殻が破壊する可能性が高い爆弾だということです。
    弾殻の強度が低い爆弾を使用すると、おそらく天ヶ崎さんが想像されている飛行甲板直下で炸裂して飛行甲板を吹き上げるような効果を期待する以上に、飛行甲板で弾殻が破壊して何の威力も発揮しないリスクを伴います。

    当時、新鋭空母の飛行甲板防御はどんどん向上する傾向にあると考えられていましたから、敵艦の防御構造が詳しく判明していない以上、無効となるリスクばかりが大きくなります。

    ミッドウェー海戦のような場合で、とにかくどんな弾種であっても一刻も早く攻撃隊を発進して敵艦に当てれば良いという判断は、爆弾の効力発揮とは異なる、敵の大規模先制攻撃という別の大きなリスクを抱えている、という切迫した状況によって生じるものです。

    BUN

  4. >弾殻の強度が低い爆弾を使用すると、おそらく天ヶ崎さんが想像されている飛行甲板直下で炸裂して飛行甲板を吹き上げるような効果を期待する以上に、飛行甲板で弾殻が破壊して何の威力も発揮しないリスクを伴います。

    はい、まさにそう思っていました。
    装甲化された目標なら判りますが、非装甲の飛行甲板を抜くくらいで爆弾に影響を及ぼすとは正直思っておらず、特攻機による攻撃で飛行甲板が大きく穴が空くような情景を漠然と想像していました。

    元々は、
    ミッドウェイ海戦などでアメリカの爆弾(GP爆弾)は格納庫あたりで爆発しているのに対し、日本の爆弾(通常爆弾)は格納庫下機関部付近まで到達している事が多く、炸裂場所は日米の飛行甲板破壊状況に少なからぬ影響を与えていると思われる。(25番と1000ポンドの違いもありますが)
    深い場所まで到達し機関部損傷すら狙えるも飛行甲板の破壊が比較的小さい日本の爆撃
    浅い場所で炸裂し艦深部の破壊は狙えなくとも飛行甲板の破壊が大きいアメリカの爆撃
    という違いが出たのは何故だろうか。日米で空母攻撃に対する考え方が異なるのだろうか。
    という疑問があり、それで質問した次第です。

    日本の爆弾の各種構造や爆発プロセスなどを調べようかと思います。
    天ヶ崎

  5. 航空母艦の構造を調べる方が先でしょう。
    BUN

  6. 成る程、判りました。
    まず航空母艦の構造から調べてみます。
    天ヶ崎

  7. 参考になるかどうか、「歴史群像大平洋戦史シリーズ㉒空母大鳳・信濃」に特別企画「大鳳・エセックス同時代空母比較(文・作図=平野鉄雄)」なる記載があります。古本屋かアマゾンで探せば、質問者の疑問にある程度こたえられるのではないかと愚考いたします(私も古本屋で手に入れました)。
    備後ピート

  8. すみません。文字化けした部分は○に22です。
    備後ピート

  9. 備後ピート様ありがとうございます
    歴史群像大平洋戦史シリーズ22空母大鳳・信濃を探してみます
    天ヶ崎


Back