851  液冷エンジンについて質問します。戦時中の液冷エンジンを見るとV型12気筒(正立、倒立)が主流だったと思います。(勿論、他の形式のものもありましたが)
 私はエンジンに関して工学上の専門的知識は持っていませんが、エンジンの設計に当たってはシリンダー内の燃焼解析というものが重要で時間がかかったと聞いています。
 ということは新しいエンジンを開発するたびに燃焼解析をしなければならず、当然時間がかかるということになると思います。
 それならば既存の(燃焼解析が終わっている)12気筒エンジンに更に気筒列を加えてV型14気筒、V型16気筒、・・・というエンジンを開発したほうが手っ取り早く高出力のエンジンが開発できたように思われるのです。
 しかし、その様なエンジンは製造されなかったようです。なぜ製造されなかったのでしょうか。

二一斎

  1. 気筒数が増えてクランクが長くなるのは強度の面で好ましくないですね。
    V12は直6を2つ組み合わせたもので直6のバランスの良さを受け継ぎ優れています。
    直7が一般的ではないですからV14はあり得ないですね。
    マルヤ

  2.  V16は試作されてますし、12気筒を二つ使った24気筒は何種類か実用にまでこぎつけてます。
     また燃焼解析以外はV12なら既存の気筒組み合わせの理屈とノウハウが利用できます。これが14とか16になると、組み合わせ側の試行錯誤で苦労します。
     苦労して14気筒作っても12から2割しか増えてませんから、あんまし魅力もないわけでして、V8を2組使ったV16等でやっと意味があるかなって程度になっちゃうのです。
    SUDO

  3. 1931年にソ連のAIM(航空動力研究所)で試作されたM-32エンジンがV16型でした。ボアxストローク120x120という小型のシリンダを用い、16気筒ながら21.7リッターという小排気量が特徴のエンジンでしたが、開発遅延を繰り返して実用化は放棄されました。しかしM-32の基礎設計(バルブ駆動機構など)を流用してより大型のシリンダ(160x190)をV12型としたミクーリンM-34が開発されています。

    無記名

  4.  マルヤ様、SUDO様、無記名様、ご回答有難う御座います。V12気筒が一番バランスが取れていたようですね。
     少し調べたのですが、第一次大戦中の戦闘機のエンジンを見ると英国のS.E.5、仏国のスパッド共にV8でした。また英国の複座型のF.2BがV12。V4が基本の単位となりそこからV8、V12と発展。しかしV16となると長すぎて問題あり。そこでV12に落ち着いたのかな等とも考えました。
     しかし、そのV12が既に第一次大戦中に現れているのには驚きました。皆様、重ね重ね有難う御座いました。
     
    二一斎


Back