1016 飛行艇における、補助フロート法式とスポンソン法式の原理的な得失をお教えいただけないでしょうか?
ロク

  1. スポンソン方式は濡れ面積が大きいので、抵抗的に大、また防水がたいへんかもしれませんね。

    一方で補助フロート方式は支柱の強度を大きくとる設計が必要であるようです。


  2. ありがとうございます。
    濡れ面積は思いいたりませんでした。
    素人考えだと、一番の違いは機軸からの距離で、
    スポンソン:面積・重量大となりやすい、安定性ことに横波に弱い、兼用が容易、ただでさえ気流が複雑な胴体がややこくなる、
    補助フロート式:面積・重量は得、安定もよい、支柱の横強度が必要、せっかく気流がクリーンな翼下に邪魔者、主翼の強度上有利(ただし補助フロート使わずビーチングするなら無関係に)
    といった感じかと思うのですが・・・
    ロク

  3. 遅レスですが過去ログ
    http://www.warbirds.jp/ansq/12/A2003524.html
    戦後〜現代の飛行艇では全て補助フロート式なので、こちらの方が有利なんでしょうね。

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  4. 抗力の上では翼端浮舟の方が、離水に、また空中においても有利であることは明らかなので、戦前においてすでにスポンソンはほとんど省みられなくなっています。時期的には沈頭鋲などによる表面平滑化が躍進した時期とリンクしているのかもしれません。ボーイング・クリッパーなどはスポンソン式の最後に近い例かと思いますが、これはスポンソン形状をできるだけ抵抗を減らした薄翼状にした上で、その上面を乗客の乗り降り用に使うことを考えたからなのでしょう。

    とはいえ、飛行艇としては最新といってもよいUS-2でも翼端補助フロートの支柱は一見前近代的ともいえるような入り組んだ構造をとらざるをえなくなっています。抗力的に理想的な翼端浮舟もなかなか難しそうです。


  5. 大戦直前〜戦中の飛行艇で引き込み式補助フロートが各国で流行ったことがあります。特にフロートが主翼端にくっつく形は、翼端板となって誘導抗力を減少させることができそうで理にかなっており、これこそが補助フロート式の最大の利点、と言いたいところですが、何故か戦後の機体ではほぼすべて固定式に退行してしまいます(ほぼ、というのは唯一の例外がソーンダースロー・プリンセス)。
    一例を挙げればコンソリデーテッドはカタリナ、コロネードで翼端引き上げ式を採用しておきながら、戦後のコンベア・トレードウィンドで固定式になっています。
    私見ではありますが、どうも補助フロート支柱の折損事故が多かったのではと思っています。
    余談ながら、現代の飛行艇でスポンソン式の唯一の例と思われるのがドルニエ・シースターという機種ですね。

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  6. >5
     フロートの空気抵抗の多くはフロート底面の段差が発生源で、そこをカバーできないと大した差が生じないということが判明したからです。
     つまり良くある引き込みフロート式は重量等を無駄に費やしただけで効果が殆どなかったのです。
    SUDO

  7. >6.ご指摘ありがとうございます。新明和PS-1は抵抗軽減策として補助フロート底面の段差を無くしているので、お話は理解できます。ただ、前述のカタリナとコロネードは始めから段差無しの補助フロートなんですよね…
    引込み式とはいえ一部が露出しているので思ったより抵抗は減らなかったかもとは思えるのですが、ドイツのDo26やBv222といった完全引込式も効果が殆ど無かったんでしょうか?
    戦後の米国も大型飛行艇では頑丈そうなV字支柱の固定式となっており、またPS-1は支柱折損事故対策として取り付け金具などを補強したと世傑に記述されています。したがって、波の高い海面での離着水を考慮すると引込み式ではとても強度を確保できなかったんだろうと思っています。
    5.の私見はこのような想像からですが、さらにご指摘あれば幸いです。

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  8. >7
     飛行艇では胴体、水上機なら主フロートに強烈な段差があって、それがどうにも出来ないので、補助フロート隠しても顕著な差が生じないんです。
     ですから主フロート・艇体の「段差」を引き込むギミックが研究されてました。シーダート戦闘機の水上スキー式も段差を引き込むギミックと見ることも出来ますね。
     なおUS-1は荒れた海を前提にした機材ですが、大抵の水上機・飛行艇はそこまで荒天を考慮してないので、支柱強度が問題ということはないと思います。事実として何種類もの引き込みフロート機が存在するのですし。
    SUDO

  9. 度重なるご指摘感謝します。
    思ったより抵抗は減らなかったから軽量な固定式に落ちついたんだろうというのは最初に思ったのですが、考えすぎて的外れになったようです。
    抵抗減少と重量増・複雑化のせめぎあいは戦闘機の尾輪の引込み式・固定式の変遷にも通じるような気がしてきました。
    高性能がほしいならジェットやターボプロップを装備すればいいので僅かな抵抗軽減など意味がなくなった、というのもあるんでしょうか。
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