1032 ブラックバーン ファイアブランドは単座で戦闘機としての性格も与えられたはずなのに、天山や流星、同じイギリス製の複座艦攻であるバラクーダよりも自重(Empty weight)が重くなっているのは何故でしょうか?
エンジン馬力は高いのでもっと重量を削れば高性能なマルチロール機になれた余地が多いように思うのですが、ブラックバーンの技術力が低かったのか軍の出した仕様に重くする要因があったのでしょうか?
名無し

  1. 自重5150kgですか。自重の近い単発戦闘機を探してみましたがP-47はN型になると5tに迫るようです。それはさておき、
    ファイアブランドのエンジン、ブリストル・セントーラスは誉や火星、マーリンよりもずっと重いエンジンでして、エンジンが重くなればそれを支える機体も重くなるという寸法です。とはいえ同じエンジンのシーフューリーより自重が1t近く重いのは機体サイズが一回り大きいからでしょうね。
    セントーラスの重量はライトR-3350と近く、同エンジンを積んだAD-1スカイレーダーは機体サイズがほぼ同じ、単発単座のレシプロ艦載機ということも共通しています。AD-1は自重4790kg。ファイアブランドは自重が360kg重く、20mm機銃が2丁多いとはいえ兵器搭載量はずいぶん少ないので、違いはどこから来るのでしょう?
    スカイレーダーの設計責任者エド・ハイネマンはミスターウェイトコントロールとあだ名されるほど厳しい重量管理を徹底させましたが、ファイアブランドは長い開発期間の間に要求仕様が二転三転、エンジンも変更され多くの設計変更を強いられましたので、原因はこの辺りにあるのかもしれません。
    しかし英海軍独特の艦爆兼艦戦という流れの中で見ると、フェアリー・フルマーはマーリンエンジン搭載で自重約4t、ファイアフライはグリフォン搭載で4.4tと、ファイアブランドはエンジンの重さに対し順当に自重が重くなってるようにも思えます。

    超音速

  2. 回答ありがとうございます。先入観から単座の戦闘機より複座の雷撃機の方が重いだろうと思って見ていませんでしたが、P-47Nのような大戦末期世代の大馬力戦闘機だと匹敵する重さになるんですね。
    シーフューリーと比べての重さやスペックの差は、設計時期の差と魚雷を積むための専用設計だけでここまで重くなるのでしょうか?
    戦闘雷撃機というのが「空戦もできる雷撃機」なのか「雷撃もできる戦闘機」なのか、どちらを優先したのかわかりませんが、それでも「多少速くても戦闘機には追いつかれ、しかも後方銃座も無い雷撃機」か「魚雷や爆弾が多少多く積める代わりに敵戦闘機との空戦能力も高速爆撃機への迎撃能力も劣った戦闘機」にしかならなかったので、コンセプトそのものが失敗だったのでしょうね。
    名無し

  3. 開発の経緯を勘違いされてるようなので一言。
    元々ファイアブランドはセイバー・エンジンを搭載する重武装の艦上迎撃機として開発されたものですが、艦上迎撃機としてはシーファイアやコルセア、ヘルキャットで十分だったため、方針が変更され雷撃も可能な戦闘攻撃機としてTF.2が開発されました。魚雷搭載のため中央翼スパンを40cm大きくしています。その後1942年にセイバーがタイフーンに優先的にまわされる事となったため、替わりにセントーラスを搭載したTF,3が誕生した次第です。
    そもそも1200馬力のRRボレアス搭載で開発されたバラクーダと2200馬力のセイバー搭載のファイアブランドの自重を比較する事自体ナンセンスだと思いますが。
    三角野郎

  4. 回答ありがとうございます。
    ボレアスエンジンは存在を知りませんでしたが、ボレアス(エグゼ)の乾燥重量は694kgでセイバーVAは1070kgのようですね。400kgほどの差で、これに空戦機動に耐える構造やセントーラスが1223kgとセイバーよりさらに重いことを考えれば、単座と複座の差など関係なくセントーラス装備型の自重が5tを超えるのも納得です。それにしてもシーフューリーと比べると重いのは、>2で言ったような魚雷搭載能力と設計時期の差によるものでしょうか?
    開発経緯ですが、ファイアブランドについて専門の書籍は読んでいませんが、ウィキペディアを読んだのが質問のきっかけなので純粋な艦戦から戦闘雷撃機へ再設計された件は存じています。知った上で、仕様変更後のTFが戦闘機と雷撃機どちらの任務が主目的と考えられていたのかを聞きたいのです。
    名無し

  5. それは大変失礼しました。
    当然、雷撃を含む攻撃が主任務でダイブブレーキが追加され急降下爆撃も可能です。少数ですがTF.5がバラクーダの後継機として部隊配属されワイバーンと交代するまで813sqnと827sqnで使用されました。
    シーフュリーはテンペストを軽量・小型化したフューリーがベースで、魚雷は搭載できませんのでファイアブランドより軽いのは当然と思います。
    ワイバーンTF.4/5と重量を比較するならセントーラス・エンジンのスピアフィッシュかRR.イーグル・エンジンのワイバーンTF.1でしょうかね。

    三角野郎

  6. 同時期の米海軍も戦・爆・雷すべてをこなす機体としてボーイングXF8Bを作りましたね。機体はファイアブランドよりさらに一回り大きくR-4360エンジンを使い自重は6.1t。こんな巨大な機体にFの接頭記号が付き本気で空戦をやらせようとしていて、実機を飛ばしてみるまで戦闘機としては使えないということがわからなかったのです。
    大出力エンジンを使えば一機種でなんでもできる機体ができそう、という考えは英米ともに同じのようです。
    ファイアブランドも仕様変更の時点では空戦も本気で行なう考えだったかもしれないですが、ブラックバーンの設計がもっとうまかったとしても戦闘機としての役割は段々と後退する運命だったでしょうね。
    超音速

  7. 追記
    流星やスカイレーダーは実際に空戦戦果を挙げているわけですし、攻撃後に敵戦闘機に捕まって自衛の空戦を行なうことを考えれば、二義的であっても空戦能力を与えておくことは間違いではないと思っています。
    超音速


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