1057 F-101戦闘機について。

F-101は護衛戦闘機として開発されながら、結局は要撃機や偵察機として運用されたわけですが、そもそもの開発目的である護衛戦闘機としての能力には難があったのですよね。

水平尾翼の位置の関係で、機動性に難があったとの事ですが、そんな基本的な事がなぜ分からなかったのですか?

風洞実験でも分からなかったのですか?もしそうだとしても、せめて試作機の段階では判明しますよね。

こんな基本的な欠陥が判明したのに修正もせずに生産を始めたのはなぜでしょう?

普通に考えて、要撃機としても偵察機としても、迎角を大きくとると危険なんていう欠陥は採用前に修正するように指示されるのでは?

後のF4Hでは、主翼外側に12度の上反角をつけたり、水平尾翼に下反角をつけたりと、修正を重ねてますよね。

F-101はなぜ修正してから採用しなかったのか教えてください。
たーぼふぁん

  1. F-101がまだXF-88だった頃にソ連が核実験に成功したため、長距離護衛戦闘機よりも邀撃戦闘機が必要となり転用されたわけで、その場合できるだけ米本土より遠い空域でミサイルによる敵爆撃機撃墜が本務になったわけで、空戦能力は重視する必要がなく、それよりもミサイルキャリアーの早期実用化が急務だったのじゃないでしょうか。



  2. 片さん>
    ありがとうございます!

    なるほど、生産を急いでいたのですね。

    でも、それでも疑問なのは、護衛戦闘機として開発されていた段階でもT字尾翼を採用した事です。

    wikipediaには
    「本来の開発目的であった戦略航空軍団の長距離戦闘機(爆撃機護衛あるいは爆撃機の安全のための敵国上空の制空権確保が任務であり、格闘戦能力は必須である)には全く向いていなかったと言える。」

    と、T字尾翼の欠点が書いてありますが、そのような欠点がある事を承知で、あえてT字尾翼を採用したのはなぜでしょうか?

    F-104では速度性能を優先して、あえてT字を採用したという解説を見ましたが、それと同じですか?

    でも、護衛戦闘機の開発において運動性を軽視するという考えは、そもそもありえるのでしょうか?
    たーぼふぁん

  3.  じつは英語版Wikipediaには日本語版Wikipediaと逆のことが書いてあります。すでにディープストールが危ないことはわかっていたので、水平尾翼の位置を精いっぱい上にしてその問題を軽減したのだと。つまり同じ垂直尾翼であれば、水平尾翼が上にあるほど、主翼が水平尾翼に気流の影を落としてしまうディープストールが起こる迎え角は大きくなり、それだけ起こりにくくなるという理屈だと思います。
    マイソフ

  4. 時代的には、水平尾翼の位置をどんどん高く逃がしていってディープストールに応じようとしている時期があり、その次に水平尾翼を主翼と同等かそれより下に持っていって解決をはかる時期がありますね。
    アメリカだけじゃなく、ソ連でも同じように推移してます。


  5. まあ、現在支配的な考え方であるからといって、歴史的に見ていつの時点でもそれと同じものが抱かれていたとは限らないわけです。


  6. T型尾翼はグラマンXF10Fジャガーが先に採用した例があります。また、Mig-15はT字に近い十字型尾翼となっていますね。
    T型尾翼にはモーメントアームを目一杯後ろまで持っていくことができ、翼端板効果で垂直尾翼の安定効果も増すという利点があったのです。
    F-104とF-101は、両機ともに高翼面荷重であり、高Gをかけると迎え角が大きくなりディープストールにつながるという点で共通しますね。
    しかし、F-104が直線翼なのに対してF-101が後退翼であることで、ディープストール問題以前にピッチアップ問題があるのです。
    迎え角が大きくなると後退翼は外翼から失速し、内翼は揚力が残るため空力中心が前方に移動することでピッチアップを起こし、主翼後流が尾翼全体を押し下げることになりさらにピッチアップします。
    このようにT型尾翼だけの問題ではなく、高翼面荷重の後退翼との組み合わせが原因だったのです。

    超音速

  7. マイソフさん>
    片さん>
    ありがとうございます!
    なるほど!納得です。


    超音速さん>
    ありがとうございます!

    その、高翼面荷重の後退翼とT字尾翼の組み合わせがピッチアップを起こす事は、設計の段階では分からない時代だったのでしょうか?
    たーぼふぁん

  8. 一般論ですがこの時代も含め、設計段階や風洞試験でわからなかった問題が、実機を飛ばしてはじめて判明するといったことは航空開発史の中でよくあることです。
    現代の我々は本やネットで簡単に航空知識を得られますが、航空技術というものはトライアンドエラーの繰り返しで苦しみながら発展してきた一面もあります。
    説教くさい回答ですいません。

    超音速

  9. もう少し具体的にいうと、
    風洞試験などで使う模型は縮小モデルのためデータ収集しても精度が悪く、実機では違った結果となりやすいのです。
    また、遷音速域では機体の表面各所に圧縮衝撃波が発生してその強さもバラバラとなり、それによる空力影響や機体の挙動を正確に予想するのは、当時においては不可能でした。

    超音速

  10. F-101と時期の近いMig19の場合ですけど、
    http://www.airwar.ru/enc/fighter/i360.html
    I-340では垂直尾翼中ほどにあった水平尾翼を実機試作機でいったん上に上げ、次いでそれがかえって悪化につながったことから試作機を改修して位置を下げています。

    同じような変化が、XF-88 → F-101 → F-4 という中にも見られるようにも思います。
    ただ、F-101 → F-4 の間では、超音速さんがおっしゃる主翼の面積と形状の変更も大きな要素であるのかもしれません。

    いずれにしても、両者を見比べる限り、「理論的ないったんの解決策として水平尾翼の位置を上げる」→「それが実機で試して有効ではなかったので対応」という経緯があるわけで、むしろそうした実際から当時の状況を推し量るべきなのだろうとは思います。




  11. 超音速さん>
    ありがとうございます!
    なるほど、納得です。
    遷音速域の事は今でも未解明な部分があると聞いたことがあります。

    片さん>
    ありがとうございます!
    どの国でも手探りだったのですね。

    片さん、マイソフさん、超音速さん、みなさんどうもありがとうございました!
    たーぼふぁん


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