1072 木金混成構造について質問です。
直径20mmほどの鉄パイプと木の板でちょっとした工作をしているのですが、木の湿度変化による収縮膨張で苦労させられています。
木と木ならほぞにはめて収縮膨張を許す構造も比較的容易ですが、鉄にビス止めするような場合、ガタが出る、擦れるうちに木が負けて穴が広がる、といったような懸念があるように思われます。かといって無理に止めたら割れ・ヒビ・反り等が予想されます。
ましてや10m単位の航空機となると、収縮膨張は相当なものでしょう。
佐貫先生の本など読み返しても、これについての記述を見つけられないでおります。
この問題にどんな対処方法があったのかお教えください。

  1. あまり参考にならないかもしれませんが。
    JIS W 2001 航空機の木部工作方法

    要はいかに
    1)収縮膨張をさせないか
    2)収縮膨張を吸収できる構造にするか
    だと思います。

    JISの内容は1)の対策として、木材の選び方からはじまり防湿のために塗装をせよで締めくくられています。小生はW2001しか見ておりませんが、「木 金属 航空機」でJIS検索すると他にも何件かヒットします(ハズレっぽいのばかりですが)。
    2)の対策が何かはよく分かりませんが、最初からバカ穴にしておくなどは駄目なんでしょうか。

    太助

  2. 追記します。
    「JISの内容は1)の対策として」と書きましたが、これはどちらかと言うと小生の感想です。防湿のために塗装をせよと書いてあるのは確かですが、W2001そのものは収縮膨張の対策に限ったものではありませんね。

    あと2)のバカ穴の例です。
    http://www.long-life.jp/patent_development/
    膨張するのは木材に限った現象ではないので(金属なぞもよく膨張します)、「バカ穴 膨張」で検索して見つけました。

    太助

  3. ありがとうございます。
    当時得られる材や塗料を考えれば、ペラぐらいならともかく大型機全部を防湿できのか? とか、振動や荷重に晒されたらバカ穴がどんどん大きくなってしまわないだろうか、とか、なかなか氷解とは参りませんが・・・


  4. ご懸念の事象に対しては何件か対策を思いつきますが、バカ穴が広がらないようにするには金属による補強が有効でしょう。紙にパンチ穴を開けた後に貼る、いわゆる「パンチ穴補強シール」みたいなものです。まあパンチ穴は円で、バカ穴は長円(!?)という違い。また紙か木材かの違いを気にされるのかもしれませんが。荷重に対しても、点で受けるのが厳しいのなら線で、線で受けるのが厳しいのなら面で受けるといったように多少の工夫は必要だと思います。

    太助

  5. 木製機の材料は、合成樹脂をしみこませて、収縮膨張しないように、がっちりかためています。

    >4.バカ穴は長円

    そうではないと思います。
    じゃま

  6. >>5
    またアナタですか、、、
    正円か多角の穴でも想像されたのですかね。

    いずれにせよ、材料の収縮膨張方向に長穴をあけることは一般的ですね。

    太助

  7. 木材のように、ポアソン比や熱膨張率が方向によって変わる異方性Anisotropicをもった材料は非金属材料ではときどき出てきます。

    薄くスライスした板をフェノール樹脂をふくませ、これを木の繊維の方向が異なるように何枚も重ねてプレスで加圧して加熱したのが木製機の材料です。

    こうすると、どの方向に対しても均一な引張強度や弾性係数が得られます。

    これを帯のように細長く裁断して、タケノコの皮みたいに何層も型に巻きつけたり、あるいは雄型と雌型ではさんでつくる。

    材料の収縮膨張を押さえこんでいるので、馬鹿穴の必要はない。

    長穴、というのは、被締結材がその長さで滑ることを許しているわけです。

    そんなゆるいトルクでボルトをしめた程度では、とても飛行機などおぼつかない。

    そもそも木製機では、部品の結合にボルトやリベットはほとんど使わず、接着剤を使うところがポイントでしょう。


    じゃま

  8. 横からですが、疑問が出てきましたので。

    木金混成構造の機体、例えば木製羽布張り翼を鋼管溶接フレームの胴体に結合というようなケースでは、樹脂の浸透などで木製部分の伸縮を限りなくゼロにできても、鋼管構造部は日射や周囲温度による伸縮は避けられないと考えますが、微少とはいえ異部材結合箇所の歪み差発生にはどう対処しているのでしょうか?

    また、組立時に翼の取付角や上反角、取付位置の調整を要せず嵌め込んでボルト締めでOK、とは行かないはずで、仮締め後に治具や測定器で状態を見ながら決定、本締めになると思いますが、調整代は円形のボルト通し穴の余裕範囲で賄えるものでしょうか?
    磯に遊ぶ

  9. たとえば、1メートルの鉄棒が、日なたで50℃温度が上がったとき、熱膨張による伸びは約0.5mmです。
    10000分の5の割合です。
    それほど大きく変形するわけではないんですね。

    これと結合する木製部品は、0.5mmの伸縮に対して、弾性変形で対応できる範囲内にとどまる長さを確保すればよい。
    それに近づけるべく、設計が努めます。

    木製部品の加工公差はまず±0.5mmのオーダーより小さくなることはないです。
     今でも、金属部品を製作するに際して、まず木材、ときには粘土で、同じ寸法の模型を作って検討したりしますが、そんなものです。

    もちろん、実際にはそう上手くいくわけではなくて、木製機は、そりかえったり、はがれたりして事故もずいぶん多かったのは、当サイトにもあるとおり。
    Ta-154は接着剤の問題が解決できなくて、結局やめてしまったみたいですね。

    今の飛行機も、炭素繊維材とか、非金属材料と金属の結合部は化学的に前処理して弾性を持たせてくっつけるとか、苦労している。

    初期のスペースシャトルは、耐熱タイルの貼り付けなんかがうまくいかなくて、ボロボロはがれていたのを思い出されることでしょう。



    じゃま

  10. いろいろなレスありがとうございます。
    「佐貫先生の本など」という曖昧な書き方で申し訳ありませんでしたが、樹脂含漬プレス材以外を念頭に置いております。たとえば「飛行機の再発見」では、イギリスの(植民地由来の)贅沢な長尺材の使い方など指摘しておられますが、これはプレス材では「ない」と思われます。


  11. ゴミレスで申し訳ないのですが、
    この質問内容から佐貫亦男さんに興味をもち、3日前に著書を購入しました。

    数年前、うちの会社が眼鏡会社と協同で樹脂含浸木材による眼鏡を開発した際に、特許を取得しようとしたら「その技術は大戦中の航空機用木製プロペラに用いられているので、特許はおりない」などと言われたのを思い出しました。
    僕が直接申請に携わった訳ではないので聞いた話ですが。
    みいつ

  12. 補足ですが・・・
    木材は、金属と違って部材の強度が均一ではありません。赤太の部分や年輪の冬目などは、比較的強度が高い部分です。
    樹脂を含浸させると、そうではない柔らかい部分の方がより多く樹脂を含みますので強度のムラが少なくなり、粘り強くなって割れに対する抵抗性も上がります。
    強度のみならず虫害や腐朽に対しても強くなります。
    ただ、かなり比重が重たくなって驚いた覚えがあります。強度に対する重さの比率は分かりません。樹脂のプロでは無いので・・・。
    肝心な事ですが、樹脂含浸木材が航空機にどれぐらい使用されたかという事は、僕には分かりません。

    質問に「鉄にビス止めするような場合、ガタが出る・・・(以下略)」とありますが、それなら高力ボルト接合のように摩擦接合してしまえば問題は無いでしょう。ボルトのせん断応力ではなく板同士の接触面全体で過重が伝達できるので割れも生じにくいと思いますし。
    逆に言えば、バカ穴で膨張収縮を逃がすような構造にした場合は普通ボルトによる支圧接合ですから、過重が集中して木材側に深刻な割れを生じやすいように思います。


    >この問題にどんな対処方法があったのかお教えください。
    全く回答になってなくて申し訳ありません。
    みいつ


Back