1125 米国軍用機の国籍標識の変遷について質問いたします。

国籍標識は主に他国のものとの明確な差別化または識別性などの観点から運用後に変わることは珍しくありませんが、米軍のそれは国旗の3色を使った単純なラウンデルから同色使いで丸と星を重ねる差別性・識別性の面で決定版ともいえる「星のラウンデル」に変わってからも、中央の赤丸が無くなり、ラウンデルの背後にバルケンクロイツの1要素ともいえる白横バーを重ね、そして横バーに赤線を重ねて今の意匠(低認識型はこれをグレーのモノトーンにしただけですのでとくに言及は求めません)になっています。

この「星のラウンデル」の改良は識別性などの実務的な意味ではなく、別の理由があるように感じているのですが、もしそうであればご存知のことを教示いただければ幸いです。
DDかず

  1. 本題に入る前に一言。
    単純なラウンデルが星のラウンデルに変わったのではありません。アメリカ軍用機の国籍識別マークは最初から星のラウンデルで、単純なラウンデルは正規の識別マークではなく、第1次大戦当時欧州に派遣されたアメリカ遠征軍傘下の陸軍航空隊が使用したマークで、海軍航空隊は使用していません。
    AEFがこのマークを採用した理由は知りませんが、多分機材の提供を受けたフランスの国籍マークをちょっとアレンジしたのではないかと思います。

    さて、星のラウンデルの変更に関して、戦後の事は知りませんが、第2次大戦中の変更は敵国のマークとの誤認を避けるが理由です。
    三角野郎

  2. >海軍航空隊は使用していません。

    そんなことはなく、米海軍機も陸軍と同じように蛇の目マークを使っていますよ。

    星マークは参戦直後から1918年2月までで、それ以降は海軍機も蛇の目になります。
    多くのマーキング変更と同じように敵機との誤認防止のためにあえて星マークに代えて蛇の目が用いられたのです。
    星マークに復帰するのは戦後の1919年からです。
    BUN

  3. 軍用機の標識は国籍ではなくその国の軍用機であることを示すもので、状況に応じて比較的簡単に変更される傾向にあります。国籍よりも軍用機であることを示すことが第一の機能ですから準軍事的用途に用いられる民間機には使用できず別の標識が用意される場合があります。米国でもCivl Air patrolは星マークを使用できません。

    大まかな流れとして米軍機の標識は国旗に用いられた白星と赤、青を用いたものを本来のものとして、戦時に識別の都合から変更を加え平時に元に戻るパターンを繰り返しています。
    対日戦で廃された赤丸、赤フチの赤が戦後に赤線として復活するのも同じ理由だと考えられます。
    BUN

  4. 星のマークは1916年のメキシコとの国境紛争の際に識別マークとして使われたのが最初です。
    海軍は1917年4月21日の海軍長官命令で星のマークとフィンフラッシュを識別マークとして採用し、5月19日に発効しています。
    AEFがラウンデルを採用したのは、他の欧州連合国に合わせてマルにしたのでしょう。
    三角野郎

  5. 海軍は使用していない、という「本題に入る前に一言」は間違いですよね。
    BUN

  6. 海軍航空隊は使用していませんは間違いでした。AEFに参加した極少数の海軍機はAEFラウンデルをつけていました。但し、欧州戦線以外の海軍機は第1次大戦中も星のマークです。
    三角野郎

  7. それで結構。
    BUN

  8. BUNさま、「星マークは参戦直後から1918年2月までで」と言うのはAEFのマークはと言う意味ですよね。
    三角野郎

  9. >元質
    太平洋方面の英軍・英連邦軍機のラウンデルの変化と合せて眺めれば、
    「実務的な識別性」ゆえのことであったと理解できるように思うのですが。


  10. >8
    そうではなく、1918年2月から海軍機に蛇の目マークが描かれているという意味です。
    BUN

  11. あれこれ説明するより面白い写真があります。
    1918年にテキサス州で撮影された練習飛行隊の写真ですが、編隊に星マークと蛇の目マークが混在しており、端境期を示すものです。遠征軍として国外に出ない練習機も蛇の目に変っていることがわかると思います。
    BUN

  12. それから海軍航空隊は戦争末期には2017機の飛行機と15隻の飛行船、さらに215個の哨戒気球を保有していて、大西洋全域で哨戒作戦を行い、英仏での基地は27箇所、約600機の飛行機が送り出されて戦闘、爆撃、哨戒の任務に就いていますから
    「AEFに参加したごく少数」などというヘンテコな表現は正しくありません。
    これら飛行機、飛行船、気球が1919年8月の海軍省通達による白星復活まで蛇の目マークをつけています。
    また、蛇の目マークの採用には理由が二つ挙げられています。ひとつは味方識別のため、もうひとつは英、仏、伊の連合国と同パターンとするためです。
    これも単純に仏軍に合わせたのではありませんし、もう一歩踏み出して連合国の一員、しかも最有力国としての自負を込めているように感じられます。

    BUN

  13. みなさん、ありがとうございます。

    なにか対独対日の意思の表れかと勘繰っておりました。
    DDかず


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