1135 私はミサイル万能論者ではないのですが、ミサイル関連の技術が発展した現在でも、戦略核の運搬手段としてのB-52、B-1Bなどの有人爆撃機は、数は減るけど0にはなりません。ミサイルでは賄えない何かがあるのでしょうか?
まさのり

  1. 両機種ともむしろ通常弾頭付巡航ミサイルのプラットホームとして使われているのじゃないでしょうか。


  2. と言うことは、戦略核運搬機としてのB-52、B-1Bは無いと言うことでよろしいのでしょうか?
    まさのり

  3. もちろん核弾頭搭載型の巡航ミサイルを発射する手段としての位置づけは残りますが、核弾頭付巡航ミサイルの保有がどのように縮小していったかを調べられるのもよいのではないかと思います。


  4. 2015年現在の技術環境で一から軍備を作ったらと想定してみてください。
    現在の有人の戦略爆撃機の価値は、好意的に見て戦間期の戦艦、シビアに見て第二次大戦後の戦艦です。
    軍の官僚組織、其所から民間に天下るOB、といった具体的な形をとった
    経路や慣性の結果が畢竟、有人の戦略爆撃機を存続させている最大の理由でしょう。
    身も蓋も無いので、以降は有人の戦略爆撃機に好意的な議論をします。

    にも。

  5. エンデューリング・フリーダム作戦では、当初アフガニスタン周辺に空軍基地を確保できなかったため、長距離が飛べる大型爆撃機だけが空軍の攻撃手段でした。
    エンデューリング・フリーダム、イラキ・フリーダム両作戦において大型爆撃機は、航空優勢が確保された後はオンコール・ミッションといって、大量の爆弾と燃料を搭載し戦域上空に長時間滞空し、地上部隊の攻撃要請を受けると現場に急行、位置情報を受け取ってJDAMを投下するという任務に就きました。
    実戦では以上の点で存在価値を発揮したのです。
    また、片さんのいう巡航ミサイルもそうですが、貫通爆弾や気化爆弾といった大重量兵器の運用という点で、大型爆撃機は今後も有用と思います。
    あとは、にもさんのいう「戦艦」ではないですが、金のかかる大型爆撃機を保有しているという威圧効果。ロシア軍がシリア空爆で見せたような本気度をアピールするために大型爆撃機を出す、といった軍事的プレゼンスの面での価値が大きいかもしれません。
    超音速

  6. 核戦力を構成するICBM、戦略爆撃機、SLBM(いわゆるトライアッド(三本柱))はその兵器の特性により相手国へ到達する時間が異なります。誘導精度が高く生残性が低いICBMは開戦初頭に使われ、発射から約1時間程度で相手国へ到達します。低速な戦略爆撃機は開戦初頭に発進したとしても、相手国へ到達するには半日から1日程度を要します。誘導精度が低く、生残性が高いSLBMは主に報復戦力として使われ、ICBMや戦略爆撃機の目標にならなかった都市などを狙い、開戦後かなり時間が経ってから発射されることになります。(最近のトライデントSLBMなどは先制攻撃にも使える高い誘導精度を有してますが)

    このようにこれらの核運搬手段はその特性から、相手国に到達するタイミングに時間差を生じることになります。この時間差の間に、もしまともな指導層が残っているのならば、より事態を抑えたいと判断するかもしれません。その際、有人爆撃機であれば途中で引き返すという行動が取れます。途中で相手国へ向かう爆撃機を引き返させれば、相手国へこの事態をエスカレーションさせる意図は無いとの有効なメッセージになるでしょう。

    ICBMが既に発射された後に、以上の判断を行うことは既に双方に多大な犠牲が出ているわけで、余り意味のないことかもしれませんが、全ての核兵器を投入する全面核戦争を行うよりは多少ましかもしれません。

    以上は、非常に楽観的な考えなのかもしれませんが、この途中で引き返せるという特性はミサイルに無い有人航空機ならではの特性で、自国の核戦力に戦略爆撃機を加えることによって、より柔軟に核戦力を運用できることになります。
    AP1@50肩

  7. 戦略爆撃機の様なものの価値は冷戦時のソビエト、現在ならロシアや中国との全面核戦争と云った「対称戦」に於いて測ってください。
    戦略爆撃機にとって、局地の非対称戦は戦艦の艦砲射撃同様「余技」で、後述する様に他の手段で全面的に置き換えられます。
    戻すと、B-2爆撃機の
    「敵地上空に在って、察知される事無く見晴らしの良い高高度を哨戒し続け、パッシブセンサーで眼下の敵を捜索し続け、
    移動する核投射手段のような衛星では見つけ難い敵核戦力を補足即攻撃、しかも攻撃するしないを投下の瞬間まで最高司令者が決定出来る」
    という柔軟さは、政治・軍の司令者にとって非常に魅力でしょう。次いで
    その高価さに見合うのか、予算の範囲で調達したら数が少なすぎるのではないか、
    そしてそもそも額面通り察知不能であり続けられるのかという問題が挙がります。

    にも。

  8. 可変翼により低空から高速進入する機体はその飛行区域が低空であるが故に見晴らしが悪く、
    対空火器を避けるため高速で飛び去らなければいけない為に目標を捜してそれを攻撃という使い方はしにくく、
    決められた位置にある目標への攻撃へとなりがちです。その場合誘導弾と較べて利点は決心を遅く出来ることだけ。
    況て、
    非ステルス機の高空からの侵入(B-1Bの様な準ステルス機が多少マシか?)、
    決められたプログラム通りにしか飛べないマッハ3或は其以上に高速な有人機など、
    単に敵の標的です。
    敵地上空、
    それも地上の観測に一番適した成層圏程度の高度の敵地上空に
    墜とされる事無く、見つかる事無く、
    滞在し続け、哨戒し続け、
    地球との遠心力で釣り合ってるに過ぎない衛星では見つけ難い、逃げ隠れする目標を探し続けられる。
    それが出来ない戦略爆撃機など、他の手段で入れ替え可能です。
    にも。

  9. 戦略爆撃機として核兵器運用のアラートに就いている機体でも通常兵器運用に転換させれば、戦時だけでなく、いわゆる平時でも比較的容易に使えますが、ICBMやSLBMではそう簡単にはいきませんね。

    2020 年台半ば以降の実用化を目指して米国やロシアで次期爆撃機として亜音速ステルス爆撃機が新規に開発されていますので、これからも戦略爆撃機は存在し続けるでしょう(有人・無人の両タイプが作られる可能性も大きいとは思いますが)。

    米空軍は2015年10月に次期爆撃機のLRS-B (Long Range Strike Bomber)の担当メーカーを決定し、初期量産の契約をノースロップ・グラマンに発注しています。
    現在の計画では2020 年台半ばに初度運用能力 (IOC)達成、その2 年後に核兵器の運用承認を得る予定となっています。

    一方ロシアも同様な次世代亜音速ステルス爆撃機としてPAK-DA (Perspektivnyi Aviatsionnyi Kompleks - Dal'ney Aviatsii)をツポレフが開発中で、米国のLRS-Bの開発状況を見ながら数年遅れで実用化させるのではないかと思います。
    MK@20004-

  10. 戦略爆撃機の本務を果たすには敵地成層圏上空に滞空し哨戒して目標を捜し続けられる能力が必須、という事です。
    さて、この目標を果たすにはステルス実用化以前から実用化されている「もうひとつの方法」があって、それは
    「爆撃機が滞空する高度迄届く敵対空兵器を予め別の手段で破壊する」。
    手間が掛かるので対称戦への全面適用は難しいですが非対称の局地戦ではラインバッカー初めありふれてますね。
    で、爆撃機への脅威が排除され安全になったた空域で実際に爆弾を落とす飛行機が、
    B-1Bの様な準ステルス或はB-52初め非ステルスの、爆撃機として作られた飛行機である必要は、ありますか?

    にも。

  11. 長距離弾道弾を通常攻撃に転用出来ない理由は他者が観測して「核弾頭と区別が付かない」という国際政治寄りの身も蓋も無く深刻な理由ですね。純軍事技術的には非常に魅力的で今直ぐ実用化出来るのですが。
    にも。

  12. 戻すと、レーザージャイロの実用化は極めて精密高価な機械式ジャイロに替え核弾頭ではない通常兵器での慣性誘導装置の利用に道を開きました。
    いま「GPS爆弾」と呼ばれている物は慣性誘導爆弾で、若しGPSが死んでも母機の天測等と内蔵された慣性誘導装置で精度が落ちるなりに誘導されます。
    何れにせよ、之に終末誘導装置も併用出来、併用すれば点目標を狙えます。
    冷戦期の核・通常を問わずダムボムであった時代とは異なり、現在では兵器側の誘導装置とGPSの様な「クラウド」に兵器が目標を狙う機構が移っており
    飛行機はただ落とすだけで用が務まり得る。
    にも。

  13. アフガンで近接支援にP-3哨戒機が重宝しているという記事が在って一瞬目を疑いましたが、考えてみれば然程不思議では無い。
    成層圏迄届く敵対空兵器を予め無くしていれば成層圏は我聖域になり、哨戒し放題、捜索し放題、
    爆弾落とし放題(但し爆弾を誘導してやる必要在り)。空飛ぶ砲兵どころか天空の砲兵です。
    にも。

  14. >2.
    B-1Bは最近、核兵器運用能力を外されました。
    B-2A、B-52はまだ核兵器運用能力があります。
    超音速

  15. 高速で地面に激突した後で核弾頭を爆発させるのは困難と思われます。このためと、遮蔽効果による威力の現象を少なくするためにも、核弾頭は何等かの手段で高度を検知する必要があるものと思われます。その手段ですが、潜水艦発射ミサイルでは特にそうですが、時計ではなく電波で高度を検出すると思います。戦略爆撃機と巡航ミサイルの組合わせによる核戦力ですが、レーザ兵器で、核弾頭を破壊したり、作動不能としたりすることが極近い将来可能となることを考慮しているのかも知れません。
    UK

  16. 現用の地中貫通型核爆弾としては米国のB61 Mod 11(B61-11)などが有名ですね。
    (コンクリートなら6m程度の貫通力があるようですが)
    誘導装置を付加したB61 Mod 12(B61-12)の開発も終わって、そろそろ実用化している頃と思いますがどうなんでしょう。

    冷戦時代に開発・実戦化された中距離弾道ミサイルのMGM-31B Pershing IIには当初は硬化目標攻撃用に地中貫通型のW86 弾頭も開発されていました。実際に試射も行われてアラスカの永久凍土の硬い地面に向けての弾頭貫通の試験も実施されていました。
    しかし、開発途中からの射程延長等に伴いW86 は1980年9月に開発中止となってしまい結局Pershing IIには軟目標攻撃用のW85弾頭のみが搭載されました。
    W85とW86弾頭は共にB61核爆弾の派生型でした。

    ICBMやSLBMなどの長距離弾道弾の再突入速度での地中貫通弾頭のテストとかは耳にしないので、やはりあまりに高速な突入では技術的な困難さはあるのでしょうね。
    MK@2004-


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