1159 軍事に限らない質問で恐縮なのですが、
通常垂直尾翼は地上でのことを考えてか重心より上部にありますよね。これでは右にラダーを踏んだ時に左にロールしてかなり不愉快なことになってしまわないのでしょうか。
1. その通りだがかなり小さい
2. スナップロールの原理で打ち消される
3. ヨーにより横滑りが発生するので上反角などで即座に修正される
等を考えましたが、詳しい方いらっしゃったらお願いします。
せつ

  1.  1の解釈で良いと思います。主翼のスパンに対して垂直尾翼の高さが十分小さいので。
     3も働きますが、それを考えて上半角を決めてはいないと思います。

    ハ140

  2. あまり詳しくもないのですが、右ラダー踏むときにはふつうなら(手足をバラバラに使う空戦機動のような場合でもない限り)右ロールもかけますし、その場合機軸から離れていて面積も大きいエルロンの方がモーメントがずっと大きいはずですので、あまり意識されないことになるのではないか、と想像します。



  3. ありがとうございます
    零戦など小型の航空機をみると尾翼の重心からの離れ具合に対して高さが10%程度はあり無視できないのではと思ったからです
    片さんので納得したいと思います
    せつ

  4. ちょっと考えてみたのですが、リピッシュのP.13aくらいになるとかなり影響が出るのじゃないかなあ、とも想像します。
    それがXF-92を通じてF-102の至ったときには、方向舵はかなり縮小されていて、しかも垂直尾翼の下側にだけ設けられるようになっている、ということもありますので、やはり無視できなかったのかもしれません。


  5. 操舵系は独立しているようで最低限の連動していると座学で聞いた事があります。

    ビーチの単発機ですが、飛行中ラダーだけを左右に交互に踏み込んでみても、ヨーイングは感じますが、特にロールする感じは受けませんでした。
    右にラダーを踏んだ時に左にロールしようとするモ-メントは理屈ではありますがそれは小さいもので、さらにエルロンの動きで逆のモーメントを与え打ち消しているのではないでしょうか。

    尤も、パイロットは旋回時はターン&バンク計器を見ながら、ボールが真ん中に来るように(内滑り、外滑りを避ける様に)無意識に操舵しますから、特に意識したことはありません。



    yama

  6. 実際に操縦される方ですか。ありがとうございます。
    確認ですが小型の民間機に電子制御のフライバイワイヤは搭載されていませんよね?それでも連動させているのならば興味深いです。

    そもそもヨーだけを入れるのは空戦中くらいで、そういう機動を行う人は同時に感覚で操縦桿も操作していたのかもしれません。
    せつ

  7. 参考になるかどうかわかりませんが・・
    自分が持っているラジコン飛行機にはエルロンがありません。(主翼には一切動翼がありません)

    質問文3.の効果が支配的なためか、ラダーを右に動かすと機体は即座に右ロールします。

    ラダー操作はエルロンと同じように機体を横転させるモーメントを働かせるはずなのに、どうして?

    「僕のラジコン飛行機では、エンジンが非力なため大迎角をとって飛行するから機尾が下がり、そのため垂直尾翼はほぼ重心の位置にまで低下する、よって横転モーメントが生じないのでは?」

    「右にラダーを踏めば横滑りのため機体の左側から風が当たる。それが垂直尾翼に当たれば右に横転するモーメントを生むはずで、垂直安定板の面積次第ではこちらの方が支配的になるのでは?」

    などと考えた次第ですが結局自分でもよくわかっておりません。
    駄文失礼いたしました。
    みいつ

  8. >7「右にラダーを踏めば横滑りのため機体の左側から風が当たる。それが垂直尾翼に当たれば右に横転するモーメントを生むはずで、垂直安定板の面積次第ではこちらの方が支配的になるのでは?」
     
    線形航空力学の入門程度でみいつさんの疑問について考えてみました。
    先ずは、先ず舵角δをとったとき定常滑り角βは如何にを考えます。 定常問題ですから、ヨー軸単独のモーメントの方程式で残るのは舵角δに比例するラダーによる操舵モーメントと滑り角βに比例する垂直安定板によるモーメント(捩りバネ項)だけになり、この二つの釣合い問題として解くことができます。
    結果として舵角δに比例する滑り角βが求まりますが、観点をかえて両者のモーメントが(向きは逆ですが)等しいことに着目し、両者の機体重心からの首尾軸方向の距離がほぼ等しいことを勘案すれば、両者の揚力はほぼ等しいという結果になります。

    そうであれば定常滑り状態では、方向舵の取り付け範囲が垂直安定板の高さに渡っている場合には両者のロールモーメントはほぼ零になるがが、方向舵の取り付け範囲が垂直安定板の下半分程度なら、垂直安定板のロールモーメントが卓越すると言うことになるようです。

    なおラダーの効きが非線形の場合、例えばYS11の開発時に方向舵のバランスタブのオーバーバランスに悩まされたなどの面白い話もありますが、ここでの話題の範囲を越えますので省略します。
    如風

  9. >8 ちょっと軽率でした。 特に低速迎角の場合、ラダーによる上反角効果のロールに対してはヨー運動はかなり敏感のようですから、上記は極大まかな傾向を書いた程度と訂正させていただきます。
    如風

  10. >7,8
    正面からの風に対しては云々、横からの風にたいしては云々、っと、対応できるほど、垂直尾翼は賢く見分けられないと思います。。。。 それは、さておき。
    前方からの空気の流れと、(横滑りによる)横方向からの空気の流れとを合成した空気の流れに対するラダーを含む垂直尾翼の状態で力がただ一つ定まると考えるべきだと思います。

    横滑りしていれば空気の流れは真正面からずれるので、迎え角がその分小さくなるだけです。
    ごくごく微量のラダーの踏み込みに対しては、如風さんがおっしゃるように横滑りしながら垂直尾翼の揚力ゼロの条件があるかとも思いますが、一般的にラダーを踏めば左右どちらかの力が生じます。横滑りより気速がずっと大きい飛行状態に話ですので。

    垂直尾翼に生じる空気力の合力ベクトルの作用点は、一般に、明らかに重心より上にあります。なのでロール軸周りのモーメントをもちます。

    低翼機の場合には安定性を得るために上反角がついています。右ラダーを踏んで横滑りすると、垂直尾翼のロールモーメントより大きな主翼の逆回りのモーメントが生じます。主翼翼型断面に対する迎角の増大なのですが、横滑りにより左主翼の下から風が当たるので右回りのロールモーメントが生じると考えると分かり易いです。

    エルロンを中立にしていると左主翼が上がって右旋回になります。これがエルロンのない模型飛行機の旋回原理です。「玉が左にとんでいる」滑った旋回ですが、エルロンが要らないので模型飛行機ではコストダウンになります。旋回性を重視するため、普通の三舵の機体より、上反角は大きく取っていると思います。

    上反角をつけると左主翼が受ける合力は真上より右に向き、右主翼のそれは真上より左に向きますので、主翼の全体の揚力としては上反角が無い場合より損をします。しかし、低翼機の場合は安定性を得るために上反角をつけざるを得ません。

    右ラダーを踏んで操縦桿を左に倒して上反角効果の右ロールを打ち消すと水平飛行もできます。この場合、(プロペラ)軸方向より少し左に直進します。いわゆるスリップです。真っ直ぐに飛んでいませんので機体の横からも風が当たるので空気抵抗が大きくなります。ファイナルアプローチで速度を増さずにより降下したい場合に用います。

    ご参考までに。


    ちょん太

  11. ちょん太さん、不注意に書き込んだためフォローさせてしまいました。ありがとうございます。
    ところで、フォワードスリップでロールを打ち消す舵を使う場合、8.項はかなり不正確さが改善され、ロールを打ち消すエルロンを使う量の大きさの説明に使えるようにに思うのですが、如何でしょうか。
    如風

  12. またまた不注意。 エルロンの量は上反角効果を打ち消すのが主ですが、それに加える垂直尾翼関係のロールモーメントの意味での質問です。
    如風

  13. 如風さんがおっしゃる通り「舵角δに比例するラダーによる操舵モーメントと滑り角βに比例する垂直安定板によるモーメント」が釣合いに近づいた状態がフォワードスリップでの定常飛行だと思います。垂直尾翼の揚力が小さくなっている状態なので垂直尾翼のロール軸まわりのモーメントも小さいとおもいます。
    一般の低翼機では、滑り角βで、胴体がヨー軸回りにモーメントを受けますので垂直尾翼が受ける(左右方向の)空気力はゼロにはならないと思いますが。

    いづれにしても、おっしゃる通り、ラダーを踏み込んで定常飛行になっている状態では垂直尾翼の受ける(左右方向の)空気力は小さくなっていますよね。私は踏んだ瞬間のことばかり、昨夜は、考えておりました。失礼しました。

    飛行機の運動を追いかけるには、舵を含めた翼の形状に対する空気の速度(速さと向き)から翼の受ける力を求めて時間で積分するのだと思います。

    ラダーを踏めば、時々刻々垂直尾翼に対する空気流の迎角が小さくなって行きヨー軸周りのモーメントが(胴体への空気力も含めて)釣合うところで定常飛行に落ち着くと考えるべきだと私は思います。

    ちょん太

  14. ちょん太さん、丁寧なお答え有難うございます。
    本来は、10.項のお答えで必要なことは十分尽くされていたのです。
     
    私事で恐縮ですが昨年末に脳出血で入院して以来、突飛なアイデアを自分自身でチェックする能力が不足してしまったようです。
    8項.では舵角をとれば、揚力は全て舵面上に発生するなどととんでもないことを考えていたのですね、みいつさんごめんなさい。
    ちょん太さん、最後の4行のまとめ了解です、有難うございました。 
    如風

  15. ちょん太様、如風様

    ラダー操作がローリングに影響を及ぼす原理について、大変わかりやすく説明して頂きありがとうございます。
    返事が遅れてしまいましたが、感謝申し上げます。

    脳出血の件、以前、入院してしばらく書き込めないと書いてあったのを見て以来気になっておりました。
    復帰されて何よりです。
    みいつ


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