1172 制空権と航空優勢はどう違うのでしょうか?
那珂ちゃん

  1. ほぼ同義語だそうです。もともと制海権から派生した言葉なんですが、飛行機は船と比べて短時間しか連続して稼働できない上に、寿命も短いです。作戦時に味方の被護衛対象の機体の安全が一応は確保されていれば制空権と呼んでいたんですが、やっぱり適切な語に言い換えた方が良いんじゃないか、という事で、航空優勢と呼び始めたんです。
    パンジャンドラム

  2. 大事な要素が抜け落ちてました。
    護衛対象の安全だけでなく、敵航空兵力の行動を制限する、です。

    パンジャンドラム

  3. 制海権も制空権も元々はかなり大げさな言葉で、たとえば「東亜の制空権を確保する」くらいの規模で空想的に用いられていたのですが、制海権にしても制空権にしてもそのような絶対的な状態が持続的に確立され得るものではないことが明らかになってきたために、それが相対的な状態であることを示す海上優勢、航空優勢という言葉に言い換えられるようになってきた、ということです。


  4. ドーエの著作「Command of the Air」から広まった用語が「制空権」、現代でそれに代わって多用されるようになったものが「Air superiority」=「航空優勢」です。
    Air superiorityというからには航空戦力が拮抗するAir parityもあれば、文字通りの完全制空権であるAir supremacyといった言葉も使われます。
    航空戦の現実に対応して段階的に表現したものが「Air superiority」=「航空優勢」だということで制空権という言葉よりも適用範囲が広く意味的にも便利です。

    敵の航空作戦を完全に阻止することは難しいから制空権という言葉が半ば廃れたという説明は十分なものではありません。
    「制空権」で表される状況が最初に出現したのは1916年のベルダン戦で、大規模集中投入された独軍武装複座機によって仏軍の航空偵察が長期かつ完全に阻止されたことが始まりですが、第一次大戦中、両軍ともこれを再現しようと試みますが、一度も上手く行きません。
    こうした傾向があるために制空権というものは完全に実現できないもので・・といった説明がなされてしまいます。
    けれども、その後の戦史には完全制空権下の戦いが何度もありますし、洋上航空戦ではそうした状況が比較的容易に出現しています。
    こんな具合ですから一般向けの解説では、後付けの説明が独り歩きしているのが現状と言っても良いでしょう。

    どちらも同じ意味で使って大きな不都合はありません。

    BUN


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