1176 四式戦の上昇力について質問です。
四式戦は二式戦二型と同等レベルの5000mまで4分半以内の上昇力を要求されたようですが試作機の記録で5000mまで6分26秒という物が四式戦の上昇力とされているようです。
この数値は要求から見てかなり悪い数値の様に思えますがこれに対する陸軍、中島の評価はどのような物なのでしょうか?
最大速度と同じように発動機が本来の実力を発揮していない段階だから良しとされたのでしょうか?

それと日本機の上昇時間の測定は公称出力で測られると記憶していますがこれは
四式戦や五式戦等の水メタ噴射の発動機を積んだ機体でも変わらず公称出力での測定なのでしょうか?

よろしくお願いします。
krbr

  1. 私もかなり強い疑問を抱いている情報です。

    おそらく、「瞬発的な上昇力(迎角急角で一気に高度を稼ぐ)」において、パワーのある四式戦が有利で、「高高度までの上昇(緩い迎角が一番効率が良いとされる)においては隼が有利なのではないでしょうか。二式は別格として。

    四式戦の上昇力は、悪くないと思います。測定方法が上昇時間なのが判断をややこしくさせていると思うんです。
    F6Fの上昇率は零戦より上とされますが、上昇時間は確か12分/6900mぐらいだったと記憶しています。日本軍の測り方は四式戦に向かない測定の方法だったという事ではないでしょうか。
    まあ、その頃の四式戦は離昇1800馬力で、プロペラピッチ機構の信頼性に懸念も持たれていたので、本当にしょぼかった可能性もおおいにありますが。
    パンジャンドラム

  2. 付け加えると、これは離陸してから指定高度にたどり着くまでのタイムです。迎撃を想定している場合は特に注視される項目ですが、ここで低空低速からの上昇率が大きく効いてきます。

    零戦とP-51の里帰り編隊飛行がyoutubeに上がっていますが、零戦は離陸後、パーっと上昇していきます。P-51はモタモタ…。つまり翼面荷重の低い従来機が有利になるのです。空戦時の上昇においては両者とも隔絶した差は無いにもかかわらず。
    つまり四式戦のそれは特段問題のある数字ではなかったはずです。

    しかし例外的に二式戦はぶっとんでますね。軽荷で測ったかどうかは知りませんが、馬力荷重の優位で覆したのでしょう。
    パンジャンドラム

  3. >5000mまで6分26秒という物が四式戦の上昇力とされているようです。

    これはどうでしょうか? 5分54秒/5000mの方がいわしゅるカタログデータ的に翼使われた数値ではないかと思います。

    4分30秒/5000mというのは、一番最初に、ごく単純にキ四十四IIの発動機のみをハ四十五に換装したらこれくらい期待できるのではないかとして持ち出された数字であり、機体重量もキ四十四IIのものに対し発動機重量増大分だけ上乗せされただけのもので、のちのちのキ八十四実機と比べるとひじょうに軽いです。
    なおかつ、この4分30秒/5000mと同時に提示された最大速度680km/hという要求に対し、中島側では「660km/hなら辛うじて」と回答しているように、理想に傾いた要求でもあったようです。

    こののち航続力など搭載量に関わる要求が積み重なって、結果的には当初の試案よりも1.4倍も機体重量が増えたものとして実機が完成しています。
    平たく述べるなら、最初に要求された時点での想定とはまったく異なる機体としてキ八十四実機が完成しています。



  4. あいかわらずの乱文でごめんなさい。


  5. ki84は、戦後の米国のテスト・レポート(Pilots coments and handling characteristics of Frank 1 16,july 1946)では、5.8min/20000ft、つまり5分48秒/6100mの記録があります。このあたりがki84本来の実力なのではないかと思いますがどうでしょうか。これはki84が水平最大速度687q/hrを記録したテストと同じテストで記録された値で、100オクタン燃料での値と思われます。日本側の値よりも到達高度を合わせれば、おそらく1分くらい良い値が出ているのではないかと思います?この差の原因は、テスト時の荷重状態などの諸条件もありましょうが、一つ考えられるのは、日本側のデータは、ハ45-21に運転制限がかかった状態での値(離昇2000hp→1800hp程度)ではないかと思うのですがどうでしょうか?
    飛行機猫

  6. >5
    「Pilots coments and handling characteristics of Frank 1 16,july 1946)」と題する文書は下記で参照できますが、
    http://www.wwiiaircraftperformance.org/japan/Ki-84-TSFTE-2001.pdf

    >5.8min/20000ft、つまり5分48秒/6100mの記録があります。

    このような記述はありますでしょうか。
    めきのめちか

  7. めきのめちか様
    すみません私の間違いです。出典は、WW2 Aircrafut performanceと言うHPのJapan ki84 Frank1 performance and characteristicsという資料です。よく知られた資料だと思いますので、すみませんが再検索してみてください。
    飛行機猫

  8. http://www.wwiiaircraftperformance.org/japan/Ki-84-156A.pdf

    海面上昇率(戦時出力)は4250フィート/分強です。
    零戦二一型は海面上昇率1331m/minですので、低空低速で圧倒的な上昇率を誇る零戦に迫る程度であり、翼面過重が大きい割には健闘しています。
    パンジャンドラム

  9. あと、上昇時間は気にしない方が良いとアドバイスします。
    F6Fの上昇時間が確か12分/6900mとかその程度だったと記憶していますが、F6Fの上昇率は実際は零戦と互角以上です。上昇時間ですと、@離陸直後の低空低速時に稼ぐセコい奴がいるA過給機の関係で出力の「間隙」が生まれ、高い高度まで全体的に見た上昇性能の判断を歪ませます。機体によって上昇時間の測り方に向いているやつといないやつがいます。なので、極論ですが上昇時間は忘れましょう。
    パンジャンドラム

  10. >7
    コメントありがとうございます。私は資料の位置づけのみ確認させていただきます。
    >8に挙げられている資料ですね。この資料はTAIC発行の識別帳の一部ですが、このサイトで紹介されている 156A のFRANK の項は 1945 年 3 月付けとなっているので、少なくとも「戦後の米国のテスト・レポート」では無いということでよろしいでしょうか。

    また、同じ性能数値は下記にも見られますが、
    http://www.wwiiaircraftperformance.org/japan/japfighters-comp.jpg
    両文書あわせて「Documents state」「Plobably」「to revision」などの表現から、また、燃料搭載量など、戦後同じ機体に対してなされた実測値と異なる部分もあり、これら諸元の数値が推定値である可能性はないでしょうか。
    TAIC の識別帳そのものについては、各機体の性能情報は基本的に各種情報収集・分析による推定値であると前書きに説明されています。

    クラークでは1月に鹵獲されたキ84が5月までには飛行している記録がありますが、私見としては3月付のこの文書に実測結果を反映させることはタイミングとしてかなり微妙か、と考えています。(丸2011年8月号の大塚さんの記事のように、実測値説もあることも承知しています)
    めきのめちか

  11. >10
    コメント有り難うございます。
    1、御指摘のように出典とした資料は1945年3月付けTAIC発行識別表のものだと思います。その点では上昇時間等の数値は推定値である可能性があると思います。5.8minと言うように有効数字二桁ですので、推定値の可能性もあるかもしれません。
    2、ただ分からないのは、wikiで調べてみましたら、「アメリカ軍はフィリピンの戦いで鹵獲した飛行第11戦隊所属であった第1446号機(1944年12月に製造された量産機)を使い、戦後の1946年(昭和21年)4月2日から5月10日にかけて、ペンシルベニア州のミドルタウン航空兵站部(Middletown Air Depot)で性能テストを行った。」と言う記載があることです。この時に計測されたのが、427mile/hr(20000ft)即ち687q/hr(6096m)の水平最大速度のデータです。しかしそれと同じ数値のデータが、すでに1945年3月付けのTAIC資料に記載されていることです。これはこの資料の数値は1945年3月以後計測されたデータで修正されているものも含んでいる可能性があるということではないでしょうか。特にki84関係は戦後上記のように改めて性能試験を構えているわけでして、その結果を反映している可能性もあるかもしれません。
    3、ですから本当はその1946年に航空兵站部が行った試験結果の一次資料が出て来れば良いわけでして、見れるものならば見てみたいものです。ご存じないでしょうか。
    4、何れにしてもキ84の上昇性能のデータは今のところ日本側で5分54秒/5000mと6分26秒/5000m、米国側で5分48秒/6100m(4分40秒/5000m程度、グラフからの読み取り値)などがあり、かなりバラツキがあります。運転制限の問題もあって複雑ですが、今の所その実力はまだ十分に把握できていないということになるかもしれません。
    飛行機猫

  12. 学研の太平洋戦争シリーズ46四式戦疾風p49では戦後米国で687q/hrを記録した機体は、2366号機とされており、wikiの1446号機の記載と異なりますね。それにwikiの1446号機は1146号機の誤記ではないかと思うのですが…情報が錯綜しています。
    1946,4/2〜5/10に航空兵站部が行ったキ84のテスト・データが直接知りたいですね。特に上昇性能に関するもの…。どこかに良い記事はないものでしょうか。
    飛行機猫

  13. TAIC 資料(文書名は「Japanese AirCraft Performance & Characteristics TAIC Manual No.1」)の 156A については、上記技術報告で仔細に調べられている機体情報が反映されていない点で、前述の通り、個人的には、推定値のままなのではないかと考えています。
    また、1945.4 版の識別表 FM30-30/BUAER3 の第三版にも、1945 年 4 月付けで「427mph at 20,000 ft」との記述があり、「400mph class」とも記されています。
    ただいずれにしても、1946 年春のテスト結果を反映させるのであれば、やはり文書の改版日をそのままにしておくということもなさそうに思えます。

    wikipedia にも出展として記載されているRene J Francillon の「Japanese AirCraft of the Pacific War」(1970, 1979)では、1946 年春にペンシルバニアの Middletown Air Depot でレストアされたキ84が、 7,490lb(ママ)の状態でWEPを用い 20,000 フィートにて 427mph を記録したとしています。
    7,490lb が 7,940lb の誤記とすれば、TAIC の 156A に記載された数値と一致します。

    「世界の傑作機」の古い版、1971年10月号の「四式戦闘機 疾風」では、「米軍のテストした疾風」という記事にて、1946年7月発行の「日本航空機の性能と特性」をひいて、戦闘状態 6100m で 687km/h と紹介しています。
    「日本航空機の性能と特性」とは「Japanese AirCraft Performance & Characteristics」でしょうし、「巡航75%」という記述はじめ各状態とその数値も、TAIC 156A と一致します。

    つまるところ、これらはTAIC の識別表記載の(おそらく)推定値が出所なのではないか・・・?
    と思えなくもありません。
    資料はまだありそうですので、私も引き続き入手を試みています。入手できたら、またお知らせしますね。
    めきのめちか

  14. >13
    1、TAIC 資料(文書名は「Japanese AirCraft Performance & Characteristics TAIC Manual No.1」)の 156A 記載の上昇時間5.8min/20000ftは実測値である根拠が無いと言うことですね。
    2、めきのめちか様によると1946 年春にペンシルバニアの Middletown Air Depot でレストアされたキ84が記録したとされる427mph(200000ft)
    のデータも、45年3月付けの上記資料に既に記載されている数値と同じであることから、その数値を流用した可能性がある・・・従って推定値の可能性があると言うことですね。これは427mph(20000ft)が実測値と言うこれまでの定説が覆る可能性のある話ですね。面白くなってきましたね。調査結果を楽しみにしたいと思います。
    飛行機猫

  15. そういえば、軽荷か満載かでも大きく異なります。
    三式戦闘機において、テスト時は軽荷で測ったものの、武装と防弾を搭載した量産機では重量増加で飛行性能が低下し、以降は満載で測る様にしたといった話を聞いたことがあります。一式戦闘機が二型から三型においてカタログ上の上昇力が低下している様に見受けられるのもそのせいではないかと疑っております。
    パンジャンドラム


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