1200 太平洋戦争前半において日米の機動部隊は、
日本側は三座機の艦上攻撃機、アメリカ側 複座機の艦上爆撃機
が索敵の主体と思いますが、なぜ日米でこのような違いが起きたのでしょうか

日本の艦上攻撃機が三座である理由は艦上偵察機としての能力も求めたからと思われます。
なら同じようにアメリカも索敵の主体は三座機になりそうに思うのですが、SBD主体であり偵察爆撃機 (Scout Bomber)は複座機です

偵察飛行隊はSBDやSB2U-2など複座の艦上爆撃機で構成されていますが、なぜ日本のように三座機の艦上攻撃機を索敵の主体しなかったのでしょうか
天ヶ崎

  1. 直接の回答になっておりませんで、恐縮です。

    >日本の艦上攻撃機が三座である理由は艦上偵察機としての能力も求めたからと思われます。
    どうなんでしょうか? 艦上偵察機が三座である必要は有るのでしょうか?
    目の玉が6つになること以上の有効性が三座の艦上偵察機にあるのでしょうか?

    偵察はナビゲーターとパイロットの2人で十分だと思います。
    あとは、(爆弾を積んでないときの)航続距離で決まるのではないでしょうか?

    ちょん太

  2. 米海軍はアヴェンジャーも偵察に使ってます。また、日本海軍にも複座の二式艦偵がありますね。
    超音速

  3. ちょん太様
    となると艦上攻撃機が三座である理由は何なのでしょうか
    偵察が2人で十分なら彩雲や九七式艦上偵察機はなぜ三座なのでしょうか

    超音速様
    >米海軍はアヴェンジャーも偵察に使ってます。
    太平洋戦争前半において、TBFも偵察に使っているのでしょうか
    第二次ソロモン海戦も南太平洋海戦もSBDが偵察の主体のように思っていましたが、実際は違っていたのでしょうか。
    天ヶ崎

  4. 私も推測になってしまい申し訳ございませんが……

    日本海軍の場合、艦隊の索敵の主力は水上偵察機で、同じ水偵でも、主にニ座機は弾着観測や短距離の哨戒に使用され、三座機は遠距離に進出し、複数機で扇形に展開して索敵を行います(この役割分担は必ずしも明確ではないかもしれませんが……)
    上記のような水偵の用途の差から、艦上機でも索敵の主力は三座の艦攻とされたのではないでしょうか。ちなみに艦爆には、艦隊の前路哨戒という役割がありました。
    また、新型艦上機において流星とは別に彩雲が専用の艦偵として計画されたのも、索敵には三座機を使用するつもりであったからだと考えます。
    ニ式艦偵については、十三試艦爆が高速だったために偵察機として採用されたに過ぎず、例外として扱うべきかと思います。

    米海軍の場合、索敵機にも爆装させることがありますね。
    南太平洋海戦で瑞鳳を損傷させたのも、索敵機のSBDによる爆撃です。このような運用上、やはり急降下爆撃の可能な機体が求められるのではないでしょうか。
    D4Y

  5. 日本海軍の複座と三座の偵察機の使用目的はD4Yさんのご意見で正解と私も認識しています。

    で、なぜ三座なのかと言いますと航法士用にも三座が必要だったからです。早い話が三座で航法をしっかりやるから帰ってこられる確率が高くなるから三座ということですね。偵察行って索敵に成功したけど自艦に戻れませんでは哀しいですよね。だから、三座の攻撃機には誘導機の役割も持っています。当然、収容も彼らがいないと出来ませんので三座がいないと帰ってこれない確率は高くなりますね。マリアナ海戦ではその様なケースが多々あったとの証言がありますね。


    アメリカ海軍は複座で対応できるために複座です。三座はいらなかったのです。

    Tokyo-Rose

  6. ありがとうございます

    ただ、索敵において
    日本海軍→三座が必要。複座では対応できない。
    アメリカ海軍→複座で対応できる。三座は要らない。
    と日米で異なった理由、要因が解らないのですが、それは何なのでしょうか

    日本が索敵で三座が必要と思ったようにアメリカも同じように三座で航法しっかりやろうと思いそうなものですが、日米で必要不要、対応出来る出来ないを分けた差を教えて下さい
    天ヶ崎

  7. >3
    >となると艦上攻撃機が三座である理由は何なのでしょうか
    推測で申し訳ないですが。。。雷撃時の後方防御に射手が必要だったのでは無いでしょうか。雷撃コースに乗れば前の二人は雷撃に集中しないといけないでしょうし。

    >偵察が2人で十分なら彩雲や九七式艦上偵察機はなぜ三座なのでしょうか
    偵察の指揮官用の席ではないかと推測します。決まったコースを往き帰りする以外に現場での偵察判断が必要な場合の指揮官用の席ではないでしょうか。


    >5
    (1)>なぜ三座なのかと言いますと航法士用にも三座が必要だったからです
    後ろの2人は、2人とも図版を持って航法計算していたのですか? 航法の初心者で無い限り1人で十分だと思いますが。。。

    (2)>アメリカ海軍は複座で対応できるために複座です。三座はいらなかったのです
    (1)と(2)は論理矛盾では? >6でおっしゃるような疑問にぶつかります。

    ちょん太

  8. すみません。太平洋戦争「前半」の索敵の「主体」だったのですね。アヴェンジャーを索敵の主体に使うようになるのは1943年以降です。
    ただアヴェンジャーは計画要求の段階から偵察任務が入ってまして、そのために偵察航続距離3000マイルが要求されています。偵察爆撃機ではできない長距離偵察ができるように作られたのですね。
    二式艦偵を例に出したのは下の過去ログによるものです。
    http://www.warbirds.jp/ansq/12/A2003638.html
    超音速

  9. 6さん、7さんへ

    三座の内訳は、操縦員、偵察員、電信員となります。このうち偵察員が航法を担当します。後ろの二座が航法を担当するわけではありません。

    あと細かいツッコミで恐縮ですが雷撃の発射をするのは操縦員のお仕事です。

    アメリカ海軍はパイロットが航法を行いますから複座で間に合うのです。

    論理矛盾と書かれていますが別に矛盾していないと思いますよ。

    日本海軍は三人必要と考えた。
    アメリカ海軍はパイロットに兼務させればいいので二人で充分と考えた。

    使用している装置や備品も違いますし、一人当たりの業務量も違うのですから、発想が違ってもおかしいことはありません。逆になぜ日本海軍にアメリカ海軍が発想をあわせなくてはいけないのか…
    Tokyo-Rose

  10. >日本海軍は三人必要と考えた。
    >アメリカ海軍はパイロットに兼務させればいいので二人で充分と考えた。

    そう日米海軍が考えた理由や経緯が知りたいのです
    日本海軍→少なくすむなら二人の方がいいはず。アメリカのように二人に充分とならない理由。
    アメリカ海軍→三人の方が二人より航法能力は高いはず。米艦攻は日本同様に三座機が多いわけで、日本のように艦攻を偵察機の主体とはならなかった理由

    それが知りたいのです
    両者で発想が違う理由は申されているように、使用している装置や備品も違いかと思われますが、そこの部分を詳しく解説お願いできないでしょうか
    天ヶ崎

  11. 日本海軍には当初複座の一〇式艦偵がありましたが、同じく複座の十三式艦攻が偵察を兼任するようになります。
    のちに十三式三号や八九式艦攻は無線機を積むようになったので三座化しました。
    その流れで偵察機は三座が最適という考えで九七式艦偵が作られたのですが、性能が九七式艦攻と変わらないので、そのまま艦攻が偵察に用いられました。
    複座の艦爆は米国のマネにすぎないので開発の歴史が浅く高性能の機を作れなかった為、艦攻のほうが航続距離が長かったので偵察には用いようがなかったのです。
    複座でありながら二式艦偵が採用されたのは高速で足が長いと言う点と、同じく複座で高速を誇る九八式陸偵が好評だったのが背景にあると思います。

    米海軍は急降下爆撃を1930年代になって戦術化し、それまで複座戦闘機/観測機を採用してきた流れで複座急降下爆撃機を開発します。
    いっぽうマーチンT3M/T4Mといった三座雷撃機も当初は偵察を担っていました。しかし航空魚雷の開発不調もあってか雷撃機は開発が長く停滞。新しい急降下爆撃機に航続距離で劣るため、急降下爆撃機の方が偵察を兼任することになったと考えます。
    やっと出た新型のTBDデヴァステイターも、すぐ後に出たSB2Uより低速で足が短くなってしまう。足の長いTBFが出ても低速なのは変わらないため偵察任務にはなかなか出せなかったのでしょう。

    通信能力の高い三座機か、足の速い複座機かどちらが偵察機として正解かというのは答えがなかなか出ないと思います。足の速い三座機があればそれで最適なので日本海軍は彩雲を開発。米海軍は戦闘機でTBFを護衛するという方法で回答としました。

    超音速

  12. TBFはそんなに低速ではありませんでしたので「鈍重」と書くべきでしたね。
    TBFが当初索敵に使われなかったのは対応するカタパルトがなかったからかもしれません。エセックス級のH4カタパルトになってようやく過荷重のTBFに対応しますが、それまでの米空母は大戦前半まで能力不足からカタパルトを撤去してしまっていたのです。過荷重のTBFを滑走発艦させるには露天係止機の多くを空中に上げなければなりませんから、索敵に使うには滑走距離の短いSBDのほうが都合が良かったという可能性があります。

    超音速

  13. 米海軍で当初アヴェンジャーが積極的に使用されなかったのは、VS(偵察飛行隊)に配備されていなかったのが理由ではないでしょうか。
    VSは基本的に艦爆が配備されており、索敵にはVSの機体が用いられますので必然的にSBDとなります。大戦末期にはVSそのものが消えてしまうので、SB2CやTBMだけでなくF6Fまでもが索敵に用いられるようになります。
    「単座戦闘機で索敵!?」と思うかもしれませんが、洋上飛行において必要不可欠である航法は、米海軍の場合操縦員が行いますので、ある程度の経験者であれば可能です(この辺の話も過去ログにあったような気がします)

    いっぽう日本海軍の場合、航法は偵察員の仕事であるため操縦員は操縦に専念します。三座機であれば後席に電信員がいるので偵察員は偵察と航法だけを行えば良いのですが、これがニ座になると偵察員は偵察、航法、電信、そして後部機銃の操作を一人でこなさねばなりません。
    また、大戦末期は空母からもまとまった数の索敵機を出すようになりましたが、翼面荷重の高いニ式艦偵を燃料満載で多数発艦させられる空母は極僅かでした。

    このように、搭乗員の教育や航空機運用の違いを踏まえて考えると、米海軍でニ座機、日本海軍で三座機が索敵の主力となったのは「自然な流れ」ではないかと思います。
    D4Y

  14. 私的な推測ですが…上記の方の回答の補足という感じで…

    フライトコンピュータすなわち航法計算盤の出来が左右している面もありますね。日本の航法計算盤も操縦と兼務して出来なくもないですが、かなり困難ですね。それよりはアメリカの航法計算盤の方が簡単です。アメリカが作ったE−6Bなんか未だに現役というか小型飛行機に乗る方の必需品ですからね。1930年代に作られたものが現在でも使われているくらいなのです。取り回しの良さが分かるかと思います。

    それとSBシリーズは索敵の際に250ポンドを積んでいくことも多々あります。確かそれで損害受けた空母がいたと記憶しています。で、乗員一人分というのが機材とか色々考えると250ポンドぐらいになりますのでね。ただこれはアメリカ海軍がSBシリーズの計画当初からそこまで盛り込んでいたのかが私は掴んでいませんので一つの意見です。

    SBシリーズと日本海軍の複座の単発艦爆の用途として代用戦闘機ということも考えられています。日本海軍の艦爆の仕様には空戦に言及していることはご存知かと思います。SBシリーズも同じ様に代用戦闘機として大戦の前半では艦隊の直掩を行っています。その様なことからもSBは三座にする必要がなかったと思いますね。

    索敵任務で重要なのは索敵もさることながら索敵機が帰還するということが非常に重要なんですね。無線や電信だけでは伝えられないものを報告することも大事なわけです。それ以前に搭載機が減るということは戦力減になるということもありますが…アメリカ海軍はもしかしたら敵機に撃墜される確率が低くなる戦闘能力が高いSBシリーズを索敵に持っていこうと考えたのかもしれませんね。完全に私の思いつきですけど…で、その反面日本海軍はそれより煩雑な航法を分けることにより、確実な帰還を目指したとも考えられます。大戦前半では艦隊上空に常に直掩機がいるとは想定されていませんからね。
     もっとも直掩のお話になるとアメリカ海軍もそのことは承知となりますので、前述の私の考えはちょっと矛盾してしまうかなとも思いますが、索敵ついで攻撃もちょっとしてきてねというアメリカ海軍の発想ならばあながち矛盾していないとも思っています。

    そもそも日本海軍の偵察機という名称がおかしい(笑)偵察機ではなく爆撃機ですから…あれは…(笑)そういう類の偵察機と専従の偵察機がごっちゃになっているのも分かり難い要因の一つだと思いますね。

    なお、さらにF6Fが索敵にでたのは有名なお話ですが…これはマリアナ海戦となりますので大戦の前半という括りからは外れます。大戦前半から索敵にでていたと混同されるといけませんので書いておきます。でも、書きたい気持ちは凄く分かります。

    書き忘れたことがあったらあとで書いておきますけど…こんなところでしょうかね…推察できるのは…
    Tokyo-Rose

  15. SBシリーズが索敵時に積む爆弾を250ポンドと書いていますが訂正。爆弾をしょっていきますが何ポンドかまでは分かりません。ま〜それを三座の連中でやってしまうとさらに足が短くなりから索敵には使えなくなるという意味なのでま〜本文の意図が変わるものではないです。
    Tokyo-Rose

  16. これですね
    http://www.warbirds.jp/ansq/11/A2002283.html
    VSのVB化は1943年5月頃からですね。
    http://www.warbirds.jp/truth/cvg1943/cvg1943.html
    超音速

  17. 偵察爆撃隊の件、質問者様も分かっておられるのに余計な説明をしてしまったようです。申し訳ございません。

    >14,15
    失礼いたしました、ヘルキャット大好きなもので書きたくなってしまいました。お気持ち分かっていただけて嬉しいです。あと、航法について私より先に分かりやすく説明してくださっていたのに、見逃してしまい申し訳ございません……

    >16
    まさにそれです、大分前に読んだ記憶があったのです。

    米軍の場合、戦記などを読んでいてもやはり陸海軍ともに索敵機には爆装をさせ、隙あらば爆撃する事が多いように思われます。索敵機による水平爆撃は高度の関係から命中率がかなり低いです。仮に上記のような運用法が明確に存在したとして、索敵・攻撃双方の目的にを果たし得るにはSBDのような急降下爆撃機が適任とされたのではないかと考えています。

    日本海軍では母艦の攻撃機数を減らさないため、艦攻が索敵を兼ねるようになりました。索敵任務が複座の一○式艦偵から三座の一三式艦攻に代わってから、しばらくこの体制が続きます。十三試艦爆(ニ式艦偵)には高速を利しての偵察機としての運用思想が開発段階で生まれていたそうですが、登場が戦争中盤以降であるためやはり艦攻が索敵の主力でした。ニ式艦偵の登場後も、13で説明したように運用可能な空母が限られていたため結局機動部隊壊滅まで艦攻による索敵が続いていたのです。
    D4Y

  18. 米の場合、単座に移行しますね
    機材の進歩により省力化できたとはおもいますが、そうなる過程も知りたいです

    ヤンマ.

  19. 米海軍艦攻が単座化する経緯はスレッド番号1091番をご覧ください。
    超音速

  20. 超音速さん、D4Yさん フォローありがとうございます。
    Tokyo-Rose

  21. 私は推測航法の教育者でした。電波や機械式航法装置などを使用しない推測航法は計算記録を取りながら、図板上に連続して綿密な作図をしなければ成り立ちません。操縦しながら航法する場合、精密な作図ができませんので概略位置をプロットするのがせいぜいで誤差は拡大します。すなわち、3座では航法専従者がおり精度が高い。一方、2座で操縦しながらでは推測航法精度が落ちます。しかし、地理上の緯度経度飛行ではなく、扇形捜索で母艦から指定方位に高度○○で2時間飛んで、次は右90度に変針して20分、その後○○度で帰投せよ程度の飛行であればコンパスを見て飛ぶだけなので単座でも可能なのです。その場合、目標発見位置誤差を許容できるのか、そして、着投時の誤差を修復して着艦まで持っていけるのかが問題となります。米軍はそういった誤差を許容しえる機材を持っていたと思います。例えば、TBD艦攻やSBD艦爆の翼にはレーダーが搭載され、空母にはADFなど帰還誘導用の電波航法装置とレーダーを保有していました。また、米海軍の偵察で艦爆が多く使われた理由の一つには搭載機の主力が艦爆であったことが大きいと思います。
    つっち

  22. つっち様、TBDにレーダーが搭載されていたんですか?

    SBDのコックピット画像を探してみましたが、風防上に大型のコンパスがぶら下がっていたり、引き出し式のテーブルを備えていたり、後席に副操縦装置があったりとパイロット自身による航法がちゃんとできるよう作られているみたいです。
    でも偏流測定だけはできなさそうですね。
    超音速

  23. 超音速様、TBDは記入誤りでアベンジャーが正解です。航法精度ついては21項のとおりです。
    つっち

  24. 見た物に判断を下せる士官が偵察員として乗り、発見後も触接しつつ敵情を報告できるよう電信員が別に乗っているのが三座偵察機です。
    BUN

  25. BUNさん、フォローありがとうございます。これにて、クローズですかね。
    Tokyo-Rose

  26. 22.に追記。
    SBDは操縦席下に下方監視窓が開いていました。これで偏流測定するのかもしれません。
    SBD-4あたりから無線航法機器が充実して下方監視窓もふさがれるみたいですけど。
    超音速


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