1201 例のTAIC実験に使われた四式戦闘機はなぜ100オクタン価以上の燃料が使用されたと言われているのでしょうか?
http://www.wwiiaircraftperformance.org/ このサイトを見ると日本の戦闘機は四式戦を含め、すべて92オクタン価の燃料が使用されていますが…
ぴこ

  1. 私には、誉(ハ45)が「100オクタン価ガソリンの使用を前提に設計された」という資料が根元となっているように思えます。
    ネットや文献に多く見られる「テストには高オクタン価ガソリンが使用された」という記述がTAIC資料を知らない方々の間で「本来の性能を発揮した」と誤解を生み、「100オクタン価のガソリンが使われた」と言われるようになってしまったのでは……と、あくまで推測の域を出ませんが。

    戦時中の誉は燃料事情から回転数等にかなりの制限があったと思いますので、戦後米国で整備の上テストされた時との性能差を前に、「100オクタン価の燃料で飛ばしたデータです」と言われても疑う人は少ないかもしれませんね。
    D4Y

  2. 上記の推測は、100オクタン価の燃料が使われた確たる資料に、私が未だに出会えていない故のものです。始めから「100オクタン価の燃料など使われていない」と決めつけているわけではありませんので、悪しからず……
    D4Y

  3. 回答ではないので恐縮ですが、TAICレポートの92オクタンが日本計測なのか米国計測なのかを明確にする必要があります。米国式計測の92ガソリンを日本式計測すれば100近くになると思います。
    もっともオクタン価が高いガソリンと高い試験結果は無関係です。それは常識として承知の上です。
    DDかず

  4. 何処で計測しようが大きな変化はないですよ。
    BUN

  5. 戦前は日本も米国も同じ測り方でした。失礼しました。
    >4ありがとうございます。
    DDかず

  6.  戦後米軍が出したT2-301の機体機構関係の報告書では、試験に当たっては米軍で訓練用に使用していた91/96グレードのAN-F-26と、水メタ50%溶液のAN-A-24を使用することで、「(水メタ噴射により)140オクタン(グレード)相当の燃料を使用したのと同等の効果を得ている」、という旨の記載があります。これが外部に報じられたとき、試験で100オクタン以上の燃料を使用した、と誤読されて長年そう信じられていた、ということだと考えます。
     ただ戦時中の英米の試験では、100オクタン等のより高品位の燃料を使用して試験した例があるので、より早期に実施されたS17の試験等では、100オクタン以上の高品位の燃料を使っている可能性があるやも知れません(英で捕獲したドイツ機のインストラクションを見ると、指定の92オクタン等の燃料では無く、100オクタン燃料を供給しても良い、と記されています)。

     なお、TAICで示される日本機の92オクタンや92オクタン+水噴という記載は、試験実施の状態では無くて、日本側の運用データを典拠として記載していた筈です。
    大塚好古

  7. 四式戦の指定燃料は離昇100オクタン、常用最大、公称が航空九二揮発油または航空九五揮発油です。

    BUN

  8. 単純な疑問なんですが、米軍のテスト時に日本の92オクタン若しくは同等(性状等)の航空揮発油を入手し使用が可能だったのでしょうか?


  9. 四式戦の指定燃料は離昇100オクタン、常用最大、公称が航空九二揮発油または航空九五揮発油です。

    BUN

  10. >7,9
    こんにちは。この言葉の意味を確認したいと思います。
    *これは実用上最大のオクタン価は100オクタンまで使用可能だが、通常は航空九二揮発油または航空九五揮発油を使用すること(・・・それで通常は設計上の性能保証はされている)と言う意味でしょうか。
    *それともエンジン運転上、離昇出力時は最大100オクタンの燃料を使用してほしいが、1、2速公称出力時は航空九二揮発油または航空九五揮発油を使用して良いと言うことでしょうか(つまり一回の飛行で、燃料タンクごとに複数のオクタン価の燃料を搭載し、切り替え使用しながらエンジンを運転すると言うことでしょうか。)
    飛行機猫

  11. 栄二〇型、火星、誉といった発動機を搭載した飛行機は離昇運転のために燃料を使い分けることが建前になっています。
    まさに複数種の燃料を使い分けるようになっているんです。
    BUN

  12. BUN様、回答ありがとうございます。当時の航空用レシプロ・エンジンは、そういうことまでしていたのかと・・・大変だなと思わされました。
    しかしそうなりますと色々な面で話がややこしくなって来るかなと思います。特に基本的な所では、それではエンジンの点火進角の最適な適合ができない状態で、運転するようなことになるかと。つまりエンジンの圧縮比は、何れかのオクタン価に対応した最適値で決められているはずです。例えば、100オクタンを前提に圧縮比を決めるとします。するとそれに最適な点火時期が決まります。しかしそれに92オクタンの燃料を使用すると、そのままではノッキングが起きますので、点火時期を遅角しなくてはなりません。それに伴って出力(又は燃費)は低下します。それはオクタン価を落としたのだから、出力低下を招くのは当然なのですが、その場合圧縮比を92オクタンに対応した最適値(即ち圧縮比を少し下げる)とした方が、遅角量も少なくでき、出力低下代も少なくなるわけです。ですからそれからすると、このように一つのエンジンで、オクタン価が違う燃料を使うと、どちらかのオクタン価で、点火時期の最適な適合ができず、エンジンの性能を完全には引き出せなくなると言うことになるわけです。だから厳密に言うと同一のエンジンで異なるオクタン価の燃料を使用し、かつエンジンの性能を完全に引き出すには、可変圧縮比エンジンが必要になると言うことになるかと・・・。それからすると誉などの点火時期の適合はかなりラフな(つまりエンジン性能を完全には引き出せていない)ものだったと言うことになるかと思います。そもそもオクタン価切り替え毎に点火時期も切り替える必要があり、その装置も必要になって来ますし、切り替えを誤ると直ちにエンジン損傷に繋がる・・・設計サイドとしてはあまり有り難くない運用の仕方ではなかったのではないでしょうか。
    日本以外でもこういう運用の仕方は一般的だったのでしょうか・・・航空用エンジンは難しいですね。
    飛行機猫

  13. >11.
    「離昇運転のために燃料を使い分けることが建前」というのは私も初耳です。しかし建前とわざわざ書いてみえるので、実際の運用はまた別ということなのでしょうか。
    >12.
    飛行機猫さんは点火時期ばかりを気にされてますけど、固定進角であってもブースト圧と混合比が任意に変えられればノッキング(デトネーション)に対応できるんじゃないでしょうか?

    私も航空用エンジンは難しいと思っています。
    超音速

  14. >13
    彩雲が同様の運用をしていたと思います。
    DDかず

  15. >13
    おっしゃる通りだと思います。当時の航空機用レシプロエンジンの燃料と点火進角の各運転領域での適合、制御がどのようにされているか良く分からないまま、自動車用エンジンの話をしてしまいました。まあ自動車も飛行機もあまり違わないだろうと言うことで・・・ついでに話しますと・・・自動車の場合一般に全開域は出力が最大になる最適値に空燃比、進角とも適合するわけです。部分負荷時は燃費が最小になる点・・・と言いたいところですが、現在は排気ガス規制で三元触媒を使用しますので、量論空燃比で回します。しかし大戦中の航空機は排気ガス規制がりませんので、燃料消費率が最小になる空燃比と、進角で回しているはずです。それで進角は同時にノックゾーンよりも何度かマージンを持った値で適合されているはずです。
     それで例えば100オクタンで燃料、進角を適合すると、92オクタン燃料を入れると全開域だけではなくて、部分負荷域もノックゾーンが遅角側にシフトして来て、100オクタン時の進角値のままではノックゾーンに入ってしまう可能性が出て来るわけです。それでブースト圧を落としただけでは、部分負荷域はノックを回避できないことになるのではないか・・・まあそういうことです。ならばその領域の燃料を濃くすればよいと言うことになりますが、排気ガス規制の無い航空機の場合は、それもあるかと思います。ただ燃料消費率は、燃料を濃くした場合と、遅角した場合の悪化代はどちらが大きいか、その点を考える必要があるかと・・・部分負荷域の燃料消費率は航続距離にもろにききますからそれも大事な点かと。それと全開域では空燃比の出力ベスト点がもともとかなり濃くエンジンの失火限界に近い値になっています。それで、低オクタン燃料を入れた場合にノッキングを避けるために更に濃くしますと、エンジンが失火してしまう可能性がでてくるかと・・・。それと燃料を制御するよりも、点火時期を制御する方が、システム的にも簡単であると言うこともあると思います。それで一般的にオクタン価が異なる燃料で運転する場合は、点火時期の制御で対処するのが一般的かと・・・自動車の場合はそうなっているわけです。ハイオク車にレギュラーを入れた場合は、本来ノッキングが起こらないはずの運転領域でノッキングが発生した場合、レギュラーを入れたと判断して、エンジン保護のために、ノックセンサーによるF/B制御とは別に、遅角制御をかけるようになっているはずです。
     でも当時の誉などは、自動車用エンジンとは全く違った使い方がされるものですし、現在のようにエンジンの電子制御システムも無かったわけですから、今の目で見れば燃料、進角とも相当荒っぽい適合を行っていたのかもしれません。それでオクタン価切り替えという荒業も逆にできたのかもしれません。
    昔聞きかじった知識で、長々と失礼いたしました。
    飛行機猫

  16. 11のbun氏の説明はホント?
    建前って書いてるのは何かを皮肉ってる?
    どちらでもいいんだけどミスリードしそうなその書き方は感心できないな。
    もっと普通に書けば良いのにといつも思う

    Hamp

  17. 本当です。
    大東亜戦争期の航空燃料の使用状況をまともに調べ始めると各機種の取扱説明書でこうした記述に当たります。
    「建前」と書いているのはその後、高オクタン価燃料の供給に不自由し始める(耐爆剤の供給不足)と、陸攻などの機種では離昇条件での運転を禁じて公称以下での運転の規定が現れるからです。
    指定されたタンクに高オクタン価の燃料を入れ、他は低い運転条件に対応した燃料を入れる、といった事例は取り扱い規定で定めれている上に、聞き取り調査でも肯定されています。

    BUN

  18. >14
    これはあくまで推測ですが、彩雲などの誉21搭載機の場合は、おっしゃるような使い方はあり得るかなと思います。誉21のカタログ(つまり設計)オクタン価は一般に92オクタンと言われているようです。しかし実際には92オクタン燃料では分溜性状(燃料の気化特性)が悪く、燃料の気筒分配不良が発生し、特に希薄気筒でノッキングや筒温上昇の問題が発生し、ブーストと回転数の運転制限(+250ミリ)が課せられていました。しかし100オクタン燃料を使用するならば、多少気筒分配が悪くても、希薄気筒のノッキングは抑え込むことができますので、少なくともブースト制限を解除できる可能性が出て来ます。ですから彩雲などでは戦闘空域だけは100オクタン燃料を使用して、ブースト圧制限解除+350ミリで運転が可能になった可能性があると思います。(何れのブースト圧も2速公称値、つまり最高速度域でのブースト圧)

    飛行機猫


Back