1203 よくネットや本で言われる、紫電改vsF8Fやら橘花vsP-80やら、これら実戦を経験してない機体性能の優劣って彼らはどうやって決めるんですかね?たとえば、旋回性能も速度と遠心力によりいくらでも変化しますから、これらの性能を比べる場合なんらかのグラフで旋回性能を表して比較する必要があるのではないでしょうか?
航空初心者

  1. 私より適切な方がおいでになると思いますが、取り敢えず3つの点について書いてみましょう。

    1) 機体の優劣比較のまえに

     例に挙げられた時期の機体の比較をする場合、その前に一方の操縦者は耐Gスーツを着ているがもう一方は耐Gスーツを着ていないことを考慮しなければなりません。
     おおまかにいえば耐Gスーツを着ていない場合、10秒程度ブラックアウトせずに操縦を続られる加速度は5G程度で、耐Gスーツを着ていればそれが7G程度になります。
     具体的な場面を想定すれば、F8Fに追われた紫電改が、コイルばねの様な軌道で降下旋回しながらF8Fを振り切ろうとした場合、機体性能を云々する前に耐Gスーツの有無のためにF8Fに喰われると考えられます。
     実戦で学習を積めばこんなバカな逃げ方をしないでしょうが、耐GスーツがあるF8Fが追われる立場にたったとき降下旋回逃げ切れることとの差はかなりのハンディになります。

    2)旋回のやり方はいろいろあれど、代表的な旋回性能の指標と言えば定常旋回

     ある一定高度に於ける水平旋回で、エンジン全開、操縦桿を失速限界まで引くと言う条件で飛んでやれば、定常速度、旋回半径、旋回時間(旋回角速度)が得られる。 なお、日本軍では旋回時間は、180°旋回時間ですからご注意。米軍については私はよく知りません。ごめんなさい。
    もう一つ操縦上の注意ですが、上記の水平旋回と言う条件から補助翼を使う量が決まり、滑らせて飛ばないという暗黙の条件から方向舵を使う量が決まり、結果としてバンク角が決まりますから、上記の得られる量に加えてバンク角も得られます。

    3) 何らかのグラフで表すなら、思いつくのは「エネルギー機動性理論」のグラフ

     前以て「エネルギー機動性理論」で検索したときのWikipediaの記載内容程度しか理解していないことをお断りした上で若干のお話をしてみたい。
     当該記事で1枚のグラフを使ってF-86とMig-15であればMig-15が強いと判定する迫力は原文に当たって頂くとして、ここでのお話はF-86のグラフの青い曲線群を零戦21型において高度4500mの場合について簡易的に描くのに最小限のデータはどの程度かについてです。
     おおまかにいえば、堀越武宮の『零戦』が1冊あれば十分だ。
     F-86の青線の内の左端の風にそよぐ笹竹のような曲線には、第2部最終ページの表13のデータ(但し180°急旋回のデータは不要)があれば十分。但し最大速度のデータと定常旋回のデータから、任意の揚力係数に対して抗力係数を求める式を作っておく必要がある、
     F-86の青線の内の上端の曲線は、零戦の実機強度試験を改修しつつギリギリ満足させた経緯から7Gの緑色の補助線カーブ相当と見做せる。
     F-86の青線の内の右端の鉛直線は、下川大尉の殉職事故後に、航空廠の松平精技師が開発したフラッター試験法から得られた計器速度360ktと見做せる。
     残るPs=0の曲線も表13のデータを使えば十分である。なお、定常旋回データは、Ps=0の曲線の極大値にプロットされ、最大速度のデータはPs=0の曲線の右下端にプロットされる。
     このように旋回特性の良し悪しを考えるときに、最大速度(当然水平最大速度です)はかなり重要な要素だということには十分ご留意ください。 
     最後に、このグラフをいろんな高度について作る場合、特に高空においては過給機の性能が悪いとエンジン出力が小さくなり、Ps=0の曲線が悲惨なことになるはずですので、この点も心に留めておいてください。
    如風

  2. 機体の優劣というよりまあ大半の人はおそらく伝聞で決めてるんじゃないでしょうかね?米誌のポーピュラメカニックにおいては紫電改は米軍機に劣らない性能(勝ってるとは言ってない)で火力は米軍機以上だと評されてますね。まあ実際に紫電改が好調な状態、地上支援や物量など考えないならF8FやP-51Hを相手にするには少なくとも零戦で戦うよりかは遥かに対抗できたんじゃないでしょうか
    蛾人

  3. 前者は推測や想像でしょう。後者は願望や妄想じゃないでしょうか。
    暇人

  4. そうですか。まあ実際に戦ったこと無いからやはりどうしても米軍での試験や、推測や想像で語るしかないのでしょうかね。ところで、如風さん。確か訓練を積んでいない人間がずっと失神せず耐えれる限度が6Gで、対Gスーツの場合10Gはイケたのではありませんでしたか?勘違いしていたらすみません。
    航空初心者

  5. 過去ログ
    http://www.warbirds.jp/ansq/12/A2003670.html
    超音速

  6. 個人差がある耐G特性について、説明なしに数値化してしまったのは軽率でした。
    当時の耐Gスーツのデータを使いたかったのがあり、後述する資料の次のようなデータ「調査に答えた118人の内5Gに82%耐え、6Gに57%、P51の強度限界7.1Gに31%が耐えた。」を使ったものです。
    なおこのデータは、ブラックアウト前のGメータの読み取り記憶によるもののはずですから、やや低めになっていると判断し、少し大きめになる数値7Gと表現したものです。軽率でした。 
    引用資料は次の通り。http://www.sasappa.co.jp/online/abstract/jsasem/1/049/html/1110490101.html
    如風


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