1241 第二次大戦時の排気タービン(ターボ)について複数質問します。
@P-38で起きた冷却不良によるトラブルは、他の搭載機種P-47、B-17、B-24では余り聞きません。これは空冷エンジンというのは関係するのでしょうか?それとも機器のレイアウトの問題?

Aタービンで圧縮された空気というのは何℃くらいなのでしょうか?その空気はインタークーラーで何℃くらいまで下げるのでしょうか?

B空気を圧縮すると水が発生すると思うのですが、影響はないのでしょうか?
あと排気タービンにマグネシウムが使われてるとのことですが、高熱で燃えるということはないのでしょうか?

まさのり

  1. >B
    水は燃焼室を冷やすから、悪い影響はないのではないでしょうか。

    排気タービンにマグネシウムが使われることはないと思いますが、まちがいありませんかな?
    兼務

  2. ニッケル?
    出たきりのモデラー

  3. >@
    P-38はH型まで中間冷却器を外翼前縁部に組み込んでいて、エンジンパワーの向上に伴い冷却能力不足となったため、J型からナセル下面に移した件のことだと思います。
    したがってエンジンの空冷/液冷は関係有りません。
    超音速

  4. 兼務さん、日本が排気タービンを物に出来なかった理由の一つに、マグネシウム合金があった というのを見たことがあったのですが…
    超音速さん、P38のH型迄の冷却トラブルは排気タービンは関係なく、オイルクーラーの面積不足ということで?
    まさのり

  5. >4.
    排気タービンに使うような耐熱合金ですが、出たきりモデラーさんが仰せですね。
    鉄ベースにニッケル、クロームを加えるのが常道で、モリブデンを入れることもあります。

    日本ではニッケルもクロームも不足しておりました。

    「ネ」エンジンでは、苦しまぎれに代用耐熱鋼としてマンガン鋼を使ったと、中村良夫氏が書いておりましたな。

    マグネシウム合金は、記事を書いたライターさんのかんちがいではございませんかな。
    兼務

  6. http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1474309054
    この中ではマグネシウム合金という記述があります。
    別のサイトではB29搭載のR-3350で火災事故が多発したのは
    エンジンの材料で使用されたマグネシウム合金が原因で…
    という記述もあるので、そのあたりで錯誤が生じたのかもしれません。
    まさのり

  7.  排気タービンにマグネシウム合金が使われることはないということですが、この組合せで検索をかけますといくつかヒットします。
     http://www.kokukagaku.jp/Cafe/a18.htm
     特に、上記、青森県立三沢航空科学館のHPの一部ですが、アリソンJ33ターボ・ジェットのB11排気ターボ過給機の説明として「ただしこれは軽量化優先のマグネシウム合金製で燃えやすい欠点があり、また強度に劣り部品寿命も短く、交換を前提とした消耗品であった」とあります。
     航空関係の知識がないのですが、公立の航空科学館が説明を間違うとも思えないのですが。
     
    hush

  8. >4.
    オイルクーラーじゃなくて中間冷却器、インタークーラーの冷却不足ですけど。
    超音速

  9. Aの何度まで上がるかはブースト圧次第・・・基本的に吸気温度(絶対温度)×圧縮倍率で求められす。
    何度まで下がるかは冷却器の性能次第。

    B水ですが・・・そもそも高空の大気に含まれる水分量は地表に比べてかなり少ないはずです。
    地表に近い高度で水分が多く含まれた大気の中で運転したとしても、一緒にシリンダーの中に送り込まれた空気の総量からすればきわめて少ない量でしかないので、影響はそれほど大きくないと思います。
    あと、マグネシウム合金はタービンではなくコンプレッサ側に使われているはずです。
    タービンは排気ガスの圧力を受けてコンプレッサを回すための羽根車で、コンプレッサはタービンから回転力を受けて空気を圧縮する羽根車です。この二つの羽根車をセットでターボチャージャーと呼ぶのですが、一部の舌足らずな文献にはターボチャージャーのことを指して排気タービンと表現することがあるので、それで勘違いが広まっているのだろうと推測します。
    おうる

  10. 「排気タービンにマグネシウム」の元はあの名作まんがシリーズですね。
    BUN

  11. あぁ、はい、「戦場まんが〜」でしたら「衝撃降下90度」ですが、名作となりますと「イカロスが飛ぶ日」も含めとうございます。
    知ったかぶり

  12. >7.

    この博物館の説明はちょっと混乱しておりますな。

    B-11はGeneral Electric製の排気タービンで、B-29のR-3350エンジンに
    使われていたもので。

    >9.
    >基本的に吸気温度(絶対温度)×圧縮倍率で求め

    圧縮前の温度をTin、圧縮後の温度をTout、としますと、

     Tout=Tin*ρ**(κ-1)/κ

     ここでκは空気の比熱比、ρは圧力比(=圧縮後の圧力÷圧縮前圧力)

     
    兼務

  13. **は冪乗のつもりです。Fortranでプログラム書いていたときの癖が抜けない。
    この式は学生のときの講義ノートですが、
    谷下市松 「大学演習 工業熱力学」に載っています。
    兼務

  14. >12
     アリソンは売却されてGEの一部門になっているので、混乱しているようには思えないのですが。
     それはともかくとして、ここが間違っているから、排気タービンにマグネシウム合金を使っていたというのも違うと仰りたいのでしょうか。
     よく分かりませんでしたので、御教示戴ければ幸いです。
     
    hush

  15. hushさん

    >14.

    >ここが間違っているから、排気タービンにマグネシウム合金を使っていたというのも違うと

    これは謝ります。

    B-11は自転車の車輪ぐらい大きなもので(26インチ)、これを20000rpmで回すとなれば、慣性モーメントを減らしたいのは人情ですね。

    おうるさんが書いていらっしゃるとおり、吸気翼車は温度が低い。

    現代の自動車用ターボチャージャーの吸気側はマグネシウム合金だから、昔もそうだろうと推測する人もいるでしょう。

    それで、大戦機排気タービンの圧力比は、2.0を大きく超えることはない。
    地上で暑いときにテストしても、翼車の温度は、せいぜい150℃でしょう。
    マグネシウムが燃える温度ではない。

    一方、B-11の排気側翼車には"STELLITE21"という商品名の耐熱鋼が使われていて、これはプラチナなみの高価なコバルトの入ったゴージャスなものです。

    現代の軍用エンジンでも、コバルトを使う部分は極力へらしたい。
    自動車エンジンでは絶対ないと思います。

    R-3350のクランクケースが燃える事故が多かったから、巻き添えになったかもしれないが、B-11を「交換を前提とした消耗品」として作るかな?という感じです。

    「左甚五郎作」として展示するには、鑑定して証明してもらわねばならない。

    それが無いなら「伝・左甚五郎作」で我慢しなければならないけど、地方の博物館などを回ってみると、けっこう好い加減でしょう。

    キュレーターをどこまで信用できるかが問題だと思います。


    兼務

  16. 皆さん、色々とご教授頂きありがとうございました。
    まさのり

  17.  御教示多謝。
     
    hush

  18. Aの何度まで下がるかが回答されてない気がするので補足します。
    ttp://www.wwiiaircraftperformance.org/p-38/p-38.html
    P-38の場合ですとこちらにキャブレター吸気温度が記載されてますが、60度以下まで下げるみたいですね。
    超音速


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