1288 スピットファイアの主脚について質問です。
Bf109と同じ格納方式ですが、着陸時の事故は問題にならなかったので
しょうか。
翼面積荷重の違いもあるでしょうが、シーファイア以外事故の記述が
ありませんでした。
お分かりの方よろしくお願いします。
TOTOTO

  1. スピットファイアにはBf109に顕著な脚柱折損やグラウンドループに陥って転倒するなどの事故が全くなかったとは断言しかねますが、問題視されるほどの事例数でなかったようです。
    おっしゃる通り両者は同様の収納方法ですが、明暗を分けた原因はギアダウンの状態にあります。Bf109はギア取り付け部が胴体なのでトレッドを稼ぐため脚柱を「ハ」に開いており、サスペンション圧縮時には取り付け部を外方向へ折り曲げようとする力が働きます。加えてプロペラシャフトが比較的低い位置にあるので、プロペラブレード先端の最低地上高を確保するため脚柱が長いのも折れやすさを助長しています。またホイールも当然「ハ」の字で、これはネガティブキャンバーといって絶えず内方向への旋回力が働いており、機体が何らかの原因で左右いずれかに傾いき片輪へ多くの荷重がかかると傾きの逆方向へ機首が向いてしまいます。
    対してスピットファイアはギア取り付け部は主翼側にあり脚柱は地面にほぼ垂直です。プロペラシャフトも高めなので脚柱は短めで済んでいます。
    実のところトレッドはスピットファイアのほうが狭いのですが、以上の違いが両者の差となったのだと思われます。
    DDかず

  2. 深刻さはともかく、問題視はされています。
    へたくそが(BoBの頃はへたくそが普通にいました)「パンケーキ着陸」すると脚が折れる、へたくそでなくても悪条件下では「ハリケーンより難しい」等。タービンライトに付き合わされたのはハリケーンですね。

    そしてスパイトフルでは内側引き込みになりました。


  3. >1.

    >明暗を分けた原因はギアダウンの状態にあります。

    そうではなくて、倒立Vで減速歯車軸をエンジン軸より下に置いているからです。

    >サスペンション圧縮時には取り付け部を外方向へ折り曲げようとする力が働きます

    「取り付け部」とは何ですか。

    >機体が何らかの原因で左右いずれかに傾き片輪へ多くの荷重がかかると傾きの逆方向へ機首が向いてしまいます。

    それを目的にネガティブキャンバーをつけているのです。

    ネガティブキャンバーが無ければ、傾いた方に傾き続けてすぐに横転してしまいます。
    兼務

  4. >3
    ギアとはこの場合ランディングギアの意で用いています。「ギアダウンの状態」とはランディングギアを下した状態です。これが「ハ」の字をなす脚柱の傾きがあり、また脚柱が長い(この部分があなたのおっしゃるエンジン形式にかかってきますね)ということです。
    取り付け部とはランディングギアの取り付け部です。
    ネガティブキャンバーがついていると、例えば左に機体が傾いた場合は右に旋回が始まり、多くの荷重がかかっている左車輪は旋回外輪となるので機体は左へ転倒しやすくなります。
    DDかず

  5. F1などのレーシングカーでネガティブキャンバーをつけるのは、コーナーリング時に車体のロールによって旋回外側のタイヤが正立することで、コーナーリング中のトラクションを確保する目的です。
    普通の車はわずかにポジティブキャンバーをつけます。

    飛行機のタイヤはバイクのそれとおなじで接地面が丸くなっており、このようなタイヤは傾けて転がすと傾いた方に旋回していきます。これをキャンバースラストといいます。分かりやすくいうと円錐状の物体を転がすのと同じです。

    Bf109のネガティブキャンバーはかなり大きな角度で、少し傾いてもまだネガティブキャンバーが残ります。
    したがってDDかずさんのいうとおり片方のタイヤが浮くと反対側のタイヤのキャンバースラストによって傾きと逆方向に旋回が始まり、遠心力でさらに傾くことになります。

    超音速

  6. >4.

    「取り付け部」とは何ですか。
    >取り付け部とはランディングギアの取り付け部です。

    取り付け部の、具体的に何の部品ですか。
    そして、その部品に力がかかると、どういった災厄があるのですか。

    >ネガティブキャンバーがついていると、例えば左に機体が傾いた場合は右に旋回が始まり

    このような因果関係はないと思いますよ。

    左に機体が傾くと、機尾から見て右回りのモーメントが働きます。
    モーメントの腕は、主輪接地点から機体重心までの長さです。
    ネガティブキャンバーの有無にかかわらず、です。

    右に旋回するように見えるのは、右回りのモーメントが働いた状態で前進するからです。

    ネガティブキャンバーがついていると、主輪回転軸と主輪接地点を腕の長さにした右回りのモーメントが働くので、さらに右回りのモーメントが大きくなり、機体を水平に戻すモーメントが大きくなります。

    だから、意図的にネガティブキャンバーにしているのです。
    狭い轍間距離への対策だったのです。

    グラウンドループは好ましいものではありませんが、適切に当て舵をとれば直進状態に戻せるので、フェータル・エラーではないのです。

    >5.
    >片方のタイヤが浮くと反対側のタイヤのキャンバースラストによって傾きと逆方向に旋回が始まり、遠心力でさらに傾くことになります。

    反対ではないでしょうか。
    Bf109の場合、キャンバースラストは、傾きに対して抗うモーメントを生み出して機体を水平に戻す方に働くとおもいます。。

    兼務

  7. >6
    >取り付け部の、具体的に何の部品ですか。
    >その部品に力がかかると、どういった災厄があるのですか。
    質問者からの問いがあればお応えすることはやぶさかではありません。
    もしあなたが他者の回答内容が不十分とお考えになられることがあれば、その時は「○○さんの回答に補足として・・・」などの書き出しで回答に補強を加えて差し上げてください。私は15年前からAns.Qを閲覧し今回のようにごくたまに回答しておりますが、これまでAns.Qはそのようなかたちで精度を高めてきた歴史があります。あなたのハンドルネームは私が知る限りここ1〜2年からお見受けするようになったものと思います。過去からのことをご存じないのであれば、今後はそれに倣うことをお勧めします。

    ネガティブキャンバーの付いたホイールは転がっている限り絶えず傾いた方向へ旋回しようとしており、左右両輪が等しく荷重していれば発生するキャンバースラストも拮抗しており直進しますが、何かのきっかけで荷重バランスが崩れれば加重された側のキャンバースラストが強まり、抜重された側は弱まってその方向へ旋回し始めます。仮にオレオを固定してロールを制限しても同じです。その後の経過は>5のおっしゃるとおりとなります。
    逆にポジティブキャンバーであれば全く逆の特性を示し、加重側に旋回しようとしますが遠心力ですぐに抜重側へ戻ろうとします。ネガティブキャンバーをナロートレッド対策であるという意見がありますが、スピットファイアとメッサーシュミットの前作であるBf108のポジティブキャンバーこそがそれであろうと考えます。
    Bf109は意図的にネガティブにしたのではなく、ギア取り付け位置と十分なトレッドを一致させるやむおえない処置であり、ハブの取り付け角度で是正しようにも主翼の厚さに収まる程度のことしかできなかった、それだけのことです。もっともG-3か4型あたりでタイヤサイズが大きくされた結果、主翼内に収まらなくなり主翼上面が一部突出してしまいましたが。
    空力が十分に効く状態ならキャンバースラストなどものともしないでしょう。さりとてゼロキャンバーやポジティブキャンバーに比較して神経質な特性を有していることは事実で、操縦員のスキル程度や修正遅れが原因となりグラウンドループが取り返しのつかない状態になる可能性が高いといえます。
    DDかず

  8. Me109のホイールのネガティブキャンバーの問題は、内側引込のMe209でもネガティブキャンバーが採用されていることも含めて考えたほうがよさそうですね。


  9. >7.
    けんかを売るような書き方をしてすみませんでした。
    それでは。

    >他者の回答内容が不十分とお考えになられることがあれば

    不十分なのではなく、おまちがいになられているのです。 

    ttp://www5a.biglobe.ne.jp/~t_miyama/109mlg3.html

    このHPも誤りがあるのですが、図は正しいので引き合いに出します。
    DDかずさんが漠然と想像している「取り付け部」の肝心なところは、ここの図にある主脚の回転ピンではないかと思います。

    Bf109の主脚は三次元運動ををします。
    だからこれは三次元運動するリンクの一端をどう支えるかという設計問題です。

    回転ピンは単純なラジアルベアリングではだめですが、スラスト方向にも回転できるボールジョイントかアンギュラーベアリングで支えればよいです。
    とくに問題はないと思いますよ。

    DDかずさんの「折り曲げるような力」とは何でしょうか。


    >加重された側のキャンバースラストが強まり、抜重された側は弱まってその方向へ旋回し始めます

    これはまちがい。
    左に機体が傾くと、機体重心から鉛直下方に働く重力と機体重心と主輪接地点の長さを掛け算した右回りのモーメントが働くので、機体は水平に戻ろうとする。
    モーメントの軸は加重された車輪の接地点です。

    このとき、機体は左側に傾いて、左主輪では、キャンバースラストが減少しますが、ネガティブキャンバーがついていると車輪は正立に近い状態になる。

    超音速さんが書いていますが、レーシングカーと同様に、旋回外側の車輪は正立に近づいて依然トラクションは確保され、踏んばることができる。

    >ハブの取り付け角度で是正しようにも主翼の厚さに収まる程度のことしかできなかった、それだけのこと

    いいえ、バルジを設けてまで、ネガティブキャンバーを確保したかったのですよ。

    >空力が十分に効く状態ならキャンバースラストなどものともしないでしょう

    舵面に空気が当たる力に期待しているのではありません。

    Bf109の尾輪は方向舵とリンクしていて、主輪には各々ブレーキが効きます。

    前進できれば、自在にドライブできるのです。

    兼務

  10. >8
    Me209のネガティブキャンバーは収容部のスペース的なものではないかと考えています。透視図などが手元にないのであくまで推測ですが。また優秀な操縦員が前提の飛行機なので、ミスもないだろうということで許容されているのではないでしょうか。

    >9
    初めの一文をいただき、改めて兼務さんの記述を読み返すと逆に誠実さが伝わってきました。これまでのAns.Qでのあなたと他者とのやり取りから多少あなたを誤解していたようで、反省しております。今後はお仲間としてよろしくお願いします。
    >主脚の回転ピンではないかと思います。
    >「折り曲げるような力」
    いえ、私はロック機構の崩壊の意で記述しました。ただ回答として質問者がロック機構の構造をご理解されているか不安でしたので、大きな言葉に置き換えたのです。質問者が構造をご存じであったなら失礼なことです。
    2日間家を空けており夜遅く帰宅して回答しましたのでネガティブキャンバーに関して変なことを記述しておりました。またそもそも離着陸滑走中のグラウンドループに主題を置かねばならなかったところを、機体の傾きから始めたためにおかしなことにお付き合いさせることになり申し訳なかったです。
    本来私がネガティブキャンバーの悪癖としたかったのは、尾輪式が離着陸滑走中に陥りやすい修正舵の当てすぎなどに起因するグラウンドループが、ネガティブキャンバーではそれを助長する方向へ働くということです。ポジティブキャンバーなら修正方向へ働きます。これもスピットファイアとBf109の差であろうということです。
    >いいえ、バルジを設けてまで、ネガティブキャンバーを確保したかったのですよ。
    ネガティブキャンバーをより強くつければ主翼上面バルジはよっぽどのところまで不要でしょう。ポジティブ方向へ戻そうとすれば上下にバルジが突出します。
    DDかず

  11. DDかず様、六様、兼務様、超音速様、片様、ありがとうございます。
    出張先ではネットが使えずお礼が遅れてしまいました。
    見た目でオレオがフリクションを受け、伸縮しにくそうなので
    力を受けると潰れるように主脚が折れてしまいそうなのと、
    人間が走っている時に体が左に傾いたら、左方向へ走って転倒を防ぐと
    思うので、同様にトレッドは広いほうが良く、主脚のキャンバーは、
    ポジティブキャンバーがついていた方が、スピンしても横転は避けられるのかと
    思っていました。
    改めて勉強します。
    片様、お聞きしたいのですがMe209はウィキペディアで見ると強めの
    ポジティブキャンバーに見えますが、イラストのまちがいでしょうか。



    TOTOTO

  12. ネガティブキャンバー(以下ネガキャンと表記)について、兼務さんの回答だけ読むといいことずくめでネガキャンは必須のように思えますが、他機種にざっと目を通したところ、ほとんどの飛行機のタイヤは正立かポジティブキャンバです。
    しかしBf109含め数機種でネガキャンを採用してます。
    Me209とMe210/410・Me262はネガキャン。しかしMe209IIでは正立、Bf110・Me309はポジティブですのでメッサーシュミット各機で一貫してはいないです。
    ハインケルはHe280・He163でネガキャン。
    フォッケウルフはFw190V1がネガキャンだったものがA-0で正立に変更。
    意外にハリケーンはBf109同様にナロートレッドでネガキャンですね。ホーカーは以後タイフーン・テンペスト・シーフューリーに至るまでネガキャンが続きます。
    ソ連ではラヴォチキンがLa-11までネガキャン。ポリカルポフI-15は正立、I-153でネガキャン、I-16で再び正立。
    米国のF4Fは静荷重で正立だがオレオが伸びるとネガキャンになります。グラマンは以後F6F・アヴェンジャーでポジティブキャンバ。

    各機の設計者がどのような考えで降着装置にネガキャンを採用したかはもう少し考察が必要のようです。
    質問者様には申し訳ありませんが今しばらく見守っていてください。
    超音速

  13. 訂正
    He163じゃなくてHe162
    Me209IIは正立ではなくポジティブでした。
    超音速

  14. 戦後の機体では、ヴォートF-8とLTV A-7がネガキャン。
    超音速

  15. 兼務さん、9.の
    >Bf109の尾輪は方向舵とリンクしていて

    この点ですが世傑を確認したところ、左右にフリーに動くが方向舵とのリンクはなくロック機構があるだけ、という一般的な尾輪式航空機の尾輪と同じだと思うのですが違いますか?
    超音速

  16. >11
    ご覧になっているウィキペディアの図面はMe209IIだと思います。片さんがおっしゃるのはMe209V1〜4までのことです。

    >13~14
    ボギー式はどちらでもいいのではないでしょうか?
    DDかず

  17. >10.
    >ネガティブキャンバーをより強くつければ主翼上面バルジはよっぽどのところまで不要

    そうですね。すみませんでした。

    >12.
    >いいことずくめでネガキャンは必須のように思えますが

    DDかずさんが書いていますが、左主輪が直進するには右主輪が押す必要があり、逆もまたそうなりますね。
    つまり、回頭しやすいかわり、直進性が悪い。
    車いすバスケの車いすみたい。

    ネガティブキャンバーも功罪半ばするところがありますね。

    >15.
    G型以降でラダー連動を止めたのは東部戦線の草地の飛行場ではないでしょうか。
    E、F型では連動していたと思います。
    BOBの頃の舗装された飛行場では連動していないとタキシングが。


    兼務

  18. >G型以降でラダー連動を止めたのは東部戦線の草地の飛行場ではないでしょうか。
    E、F型では連動していたと思います。

    そうだったのですか。教えて頂きありがとうございます。

    超音速


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