1342 ウェルキンについて伺います。
敵高々度爆撃機の脅威がないようだからやーめた、というのは理解できるのですが、それに相前後して、
「仮想敵機たるモスキートに対して主としてロールレートの低さに要因して射撃位置につけなかったこと」をテストし、使わない理由としたことがいまひとつ釈然としません。
モスキートが飛べる高度域ならばモスキートを使えば済むことであり、ウェルキン(やTYPE432は)その上の高度での待機を含めた滞空性能を求められていたわけで、特別な発動機が得られない限りにおいて大翼面積が必須で、待機を考えれば誘導抵抗を減じるために翼幅大は必然、したがってロールレート低も当然であり、性能評価としては同様にロールレート低成らざるを得ない(想定上の)敵高々度爆撃機に対してどうであるか、であるべきのように思われます。
従ってモスキート相手の仮想空戦は関係者を納得させる(するのか?)ための段取りその他、真の性能評価とは別の意図があったようにも思われますが、このあたりについてどなたかご教示いただけないでしょうか。

  1. ロールレートだけでなく、高高度での最大速度と失速速度の差が小さすぎるという問題があったようにいわれてますね。
    たぶん、飛行機として操縦が難しい部類だったのだと思います。


  2. ありがとうございます。するとますます、仮想空戦までやった理由が不思議です。


  3. あまり詳しくはないのですが、ウェルキンのテストと平行してモスキートの高高度型NF Mk. XVのテストも行われており、実用上昇限度、上昇力は同等、ウェルキンは鈍重でモスキートは軽快、とされています。


  4. まあ、まさに、
    >モスキートが飛べる高度域ならばモスキートを使えば済むことであり
    ということなのであり、モスキートはモスキートでも高高度型のモスキートの方がウェルキンよりも見込みがあった、ということだったのでしょう。


  5. ありがとうございます。仮想空戦はモスキートNF Mk. XVが相手だったのでしょうか、また高度はいくらぐらいだったのか等、他の方も含めてご存じでしたらお教えください。

    (BV155も含めて)平面形やスペックを見てみれば、ウェルキンでちゃんと馬力が出たとしてもモスキートのほうが軽快なのは当然でしょうが、一体どのぐらいの高度にまで到達でき、滞空できたのでしょうか。
    スピットの例を見ると、無予圧軽量改造機のほうが実用上昇限度は高く、数年前には予圧服で飛んでいた14000-15000m付近まで達していますよね。この場合、人間が持ちませんから長時間の高々度滞空は不可で、ピンポイントで接的できるかできないか、といった話になりますよね。
    対してウェルキンは鈍重なかわりに一定時間滞空できることを求めており、少なくともカタログデータ的には、NF Mk. XVより2000mぐらい上というタテマエです。
    NF Mk. XVは、何を目指した時にどのぐらい有望だったのでしょうか。
    ウェルキンとは要求が異なる(そしてウェルキンの要求は意味が無くなった)ような感じがしているのです。
    二兎を追わず目的を絞った割り切った設計と打率の高さはD.H.とペッターに共通する(モスキートやキャンベラはむしろ例外で)気がしておりまして・・


  6. >一体どのぐらいの高度にまで到達でき、滞空できたのでしょうか。

    モスキートNF Mk. XVの場合も140000m程度です。

    ウェルキンの「鈍重」というのは操縦したパイロットの印象であり、実際には重量の問題よりも、高アスペクト比から来た操縦性不良が大きかったのではないかと思います。ロッキードU-2なども、超高空で滞空は出来るが運動性がほとんどないように言われているのですが、ウェルキンでも同様なことが起こっていたようです。


  7. U−2もBV155もウェルキンも、機敏でないことは覚悟の上であの高アスペクトだったのではないかと考えています。相手がもっと鈍重なJu86あるいはその後継機ならば機敏でなくてもよく、でも弾が届く高度にいないことにはどうにもならないわけで。
    そして、翼面荷重や馬力荷重をスピットと比べた際、スピットは肝心の与圧装置まで降ろさないと上がれないという皮肉な逆転現象があるのに対して、モスキートNF Mk. XVの場合は140000mまで行けて、かつ、「その高度で」運動性があった、となると、もの凄いことですね。というか何か間尺が合わない気さえいたします。



  8. >機敏でないことは覚悟の上で

    今みたいなミサイリキャリアじゃないのですから、同高度で敵と遭遇できたとしても、射撃可能命中可能なポジションにたどり着くためには相応な操縦性が必要だと思いますよ。「相手がもっと鈍重」であっても、です。


  9. 逆に、攻撃側が鈍重ならば、爆撃機側は鈍重であっても回避は楽なはずです。


  10. 攻撃側としては、回避したら高度を失い、目標に向けて再変針したらさらに若干高度を失い、「普通の」戦闘機に捉まることにならないでしょうか?

    お付き合いいただく中で改めてどこに引っ掛かっているか考えるに、RAFが「想定していた」高々度戦闘のイメージの変異がどうであったか、な気がしてきました。

    Ju86P/Rの侵入高度をRAFはどう捉えていたのでしょうか。後継があるとしたらどんな高度を心配していたのでしょうか。

    30年代高々度飛行競争のための予備的な生理学的研究と実際のトライアルを通じて、12000m前後より高空では、当時の馬力では必須である長時間滞空では、パイロットの生存のために与圧が必要であると考えられ、また、空気漏れその他の事情によりますが、高度と滞空時間がある水準を越えれば与圧のほうが軽くなる「はず」だったのではないか。酸素マスクでは酸素は1回しか肺を通過しませんし、(燃料としての酸素源は純酸素でないことからわかるように)酸素瓶の容器は無駄に重いのですし。
     そしてそのような段階では、侵攻・予め高度をとっての迎撃側ともに滞空は必須であって、超絶なエンジンで高速が得られるわけではないので、与圧、大翼面積、大翼幅で低速で飛ぶ。攻撃側としてはいくら低速でも高度差あればいいし、そういう機体は、普通の機が頑張れば届く高度ではとうぜん鈍重に決まっていますから、たとえば、釣り合い旋回で高度を失うことさえ避けて、方向蛇だけで向きを変え、薄い空気の中、長々と横滑りしながらのんびり進行方向を変えるような飛び方をする。

     というイメージだったのが、普通の機の与圧改造型が上に届くのも判ってきた、与圧なし改造型のほうが点で接触するだけでいいならもっと上まで届くことが判ってきた、そして、今後あり得る高々度侵攻は前記のようないらいらするような超高々度低速ではなく、モスキートが用い始めているそこそこ高々度高速だろうと認識が変わってきた、その高度では「頑張ったミスキート」に対してウェルキンは当然ダメダメ・・・ではなかったのか・・・

    ところが、F.7/41は低高度での機動性を「も」求めていますし、最高速を発揮すべき高度も実用限界も妙に低く、史実として我々が知るJu86P/R迎撃の14000m前後にとうてい届きません。
    対Ju86P/Rとしてはウェルキンは合格にも見え、F.7/41への回答としては不合格に見えます。
    F.4/40、F.16/40があって詰めたはずなのに、F.7/41は何か未整理な気がしつつあります。



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