1398 質問してばかりですみません
翼型についての質問です。
NACA Mシリーズの読み方,違いを教えてください。

翼特性の
c.p. c.p. Cm(下付き)a.c. の意味も教えてください。
ケレス

  1. 航空力学については教科書を見ながらしか説明できない程度の者ですが、回答が付かないようですので取り敢えず質問の後段部分につき回答します。

    NACA Mシリーズは、かなり古い翼型のようですね。 現状私は、Munkが薄翼理論に基づいて系統的に実験を行い1924年頃にM6,M12を作った、程度しか分かりません。

    NACA Mシリーズのc.p.とCm a.c.について回答しますが、これらの実験データは2次元翼のデーターですから、ここでの説明は2次元翼についての説明です

    c.p.は、center of pressureで、風圧中心と呼ばれます。その位置は、「翼断面に作用する空気力によってつくられるモーメントがゼロになる点」と説明されます。実際の計算は翼表面の多くの点の圧力を用いて行いますが、計算は2次元図形の重心を求める計算とほぼ同じです。
    風圧中心の位置は、翼弦(翼の先端と尾端を結ぶ線分)に沿って、翼の先端からの長さで表示します。但し正しくは、翼弦長cの何パーセントの長さかで表示します。(細かくは風圧中心の翼弦線の上下方向のずれも計測されますが、実用上ほとんど無視してよいのでここでは省略)
    ところで風圧中心の位置は、ごく大まかには翼先端から25%附近にありますが翼の迎角を変化させたときに、無視できない程度に位置を変化させます。このため、Cma.c.とa.c.が機体の設計上重要な意味をもつのです。


    Cm a.c.について。先ずは、Cmは翼のモーメント係数です。
    添え字a.c.はaerodynamic centerであり空力中心と言い、その位置は(風圧中心と同様に)翼先端からの長さを%表示したものです。
    Cm a.c.の意味については、翼の風洞実験を想像するのが解りやすい。翼型の空力中心位置に軸を取り付けてその軸を利用して翼に働く空力モーメントを計測できるようにしたときに、計測された空力モーメントの無次元モーメント係数がCma.c.です。
    空力中心の一般的な位置は22〜26%程度と言われていますがまだ空力中心の説明が不足しており、その説明を以下にします。

    上記の説明で翼に取り付けた軸の位置を例えば15%の位置に固定して、翼の迎角を失速しない範囲で増やしながらモーメント係数を計測します。その結果を横軸を二次元翼の揚力係数、縦軸をモーメント係数としたグラフにプロットすれば右下がりの直線が得られる。
    次に今度は軸の位置を30%にした場合、右上がりの直宣が得られる。
    そうであるなら、軸の位置をうまく調整すればモーメント係数をプロットした直線が水平になる(=モーメント係数が一定になる)軸の取付け位置がある訳で、そのような軸位置が空力中心の位置と定義されるわけです。
    従って空力中心に軸を固定して、翼の迎角を変化させながら計測した空力モーメント係数がCma.c.です。

    ところで、上記の仮想風洞実験では翼が失速しない範囲に限定しましたが、実際の風洞実験は翼が失速しない範囲も含まれます。その場合にはCma.c.は一定値ではなくなりますが、迎角が大きく失速しているときの一定値から外れた空力モーメント係数もやはりCma.c.とされます。
    一方で、ある文章のなかで「Cma.c.の値は・・・」などと使われる場合は、一定値のCma.c.が想定されているようです。

    一定値のCma.c.は機体の初期設計において、水平尾翼を主翼のどの程度後方に配置するかとか、どの程度の取付け角にするかなどの見積りに非常に便利に使える数値になるはずです。 使い道がないと、こんなややこしいCma.c.なんてものをつかいませんよね。
    如風

  2. 誤記訂正

    終わりの行から5行目あたりの、

    誤:「風洞実験は翼が失速しない範囲」→ 正「風洞実験は翼が失速する範囲」
    如風

  3. 如風さん ありがとうございます

    ケレス

  4.  http://kaidan2.hatenablog.com/entry/20061024/p1
     念のために書いておきますが、この程度のことはお探しではないですよね?
     
    hush


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