1411 リアル系のコンバットシュミュレータ(BOS)で遊んでいます。
実機のP-47D-28について3つ質問があります。

まず、機銃のオプションについてですが、このコンバットシムでは、
機銃が取り外しできるオプションが選べるようになっています。
種類としては、50cal×8、×6、×4の3種類が選べますが、
実機にこのようなオプションが存在したのでしょうか?

次に旋回性能ですが、このゲーム上のP-47D-28で、下記諸元で
水平維持旋回(開始高度約1000m、旋回開始速度約400Km/h)を実施しました。
その結果、速度低下とともにフラップを下ろして行き、
最終的にフルフラップで速度160km/hで最小旋回半径となり、
それ以降はエンジンダメージが入るまで比較的に安定して
旋回を続けられましたが、実機はここまでの低速で安定旋回できるほどの性能を持っていたのでしょうか?

<旋回テスト時のテスト機諸元>
機種:P47D-28
機銃:50cal×8
燃料搭載量:50%
弾薬:満載(機銃のみ)
エンジン回転数:2700rpm
排気圧 :47
ペラピッチ:100%
ブースト:無し
ミクスチャ:オートリッチ
オイル、ラジエータフラップ:全開

最後に、エンジンの耐久性についてですが、
ブーストなし、ペラピッチ100%、ミクスチャ オートリッチ、水平直線飛行の条件で、
高度約1000m、エンジン回転数2700rpm 排気圧47 でテストしたところ、
約20分飛び続けてもエンジンに異常は無く、
同条件でブースト時(排気圧 66、排気タービン100%使用)では、6分45秒で
エンジンダメージ(故障)が発生しました。
このデータについて実機と大きく乖離している部分は無いでしょうか。

この掲示版では、各分野での専門知識を持っておられる方がおられると聞きました。
各項目に対する回答において、実在する資料や根拠などがありましたら、お手数ですが併せてよろしくお願いします。
Abience

  1. 機銃について。
    世傑を見ますと6丁か4丁で運用しているらしい写真が見られます。

    最小旋回半径について。
    一般的には、速度を遅くして旋回するほど小さく回れます。
    160q/hはちょうどP-47のフラップダウン失速速度です。
    なお、実戦では低高度で低速まで落とすと非常に危険です。
    P-47の旋回性能はP-38やF4Uとだいたい同じだとされています。

    エンジンについて。
    ふつう、航空機エンジンは出力100%(離昇出力)では5分間の制限時間があり、出力90%(最大連続定格)では制限時間なしとなっています。
    超音速

  2. 該当ゲームをプレイしてないので諸元の書き方を確認したいのですが、
    「ブースト無し/あり」というのは、いわゆる緊急出力(水噴射water injection)のことでしょうか?

    あと、「排気圧」というのはExhaust Back Pressureでいいでしょうか?
    実機のExhaust Back Pressureは30〜35インチHGですが、単位はどうなってますか?

    「排気圧」はもしかしたら吸気圧(Manifold Pressure)のことではないかと思うのです。
    実機のManifold Pressureは緊急出力で56インチ、離昇出力で52インチ、定格まで落とすと40インチ以下となります。
    超音速

  3. 回答ありがとうございます。

    機銃について、最小旋回半径、エンジンについて非常に参考になりました。
    本質問の目的を書いていませんでしたが、このゲームにおけるBF109シリーズとの維持旋回戦(特にBf109-E7)で、どうしても先に失速して負けてしまうため、
    どちらかの性能がおかしいのか、それともどちも間違っているのかを知りたくて質問しました。
    (もちろん、どちらも正しい場合もあります)

    2.のブートあり/なし表記ですが、特にゲーム側では「BOOST」と表示されるだけで、
    種別についてはわかりませんが、「緊急出力(WEP)」で間違い無いと思います。

    また、「排気圧」と書きましたが、おっしゃるとおり「吸気圧」の間違いでした。すみません。
    そうすると、緊急出力で56インチのご指摘のところ、ゲームでは66インチまで上がってますから、
    ゲーム側の仕様が間違っている可能性もありますね。

    機銃については、4丁分の弾薬重量が減らせば結構軽くなりますね。
    その上、ゲームですから低速・低空でもリアルに死ぬわけでも無いので、エンジン全開、BOOST ONのままフルフラップダウンで維持旋回戦を挑んで来られると、 パイロットの腕が同じの場合、このゲームにおけるBf109 シリーズだと先にエンジンダメージで負けてしまいます。(もちろん単純旋回の比較で一切ヨーヨーとか空戦機動は使ってません)

    そう考えると、P-47D-28の性能が抜きん出ているのでは無く、BF109シリーズの性能もくわしく調査する必要がある事がわかりましたが、フラップダウン失速速度付近で維持旋回し続けられるのは「問題」と捉えて良いかもしれませんね。

    航空力学的にみて、P-47D-28の機銃4丁、弾薬満載、燃料50%でエンジン全開、WEP OFFで水平維持旋回したとき、160km/hで旋回を維持できるものなのでしょうか?
    Abience

  4. >160km/hで旋回を維持できるものなのでしょうか?
    旋回時のGはどれぐらいでしょうか?バンク角は?1周何秒かかりますか?

    飛行機には揚抗比が最良となる速度があり、大戦中の戦闘機で250km/h前後なのですが、この速度が旋回も上昇も最も効率よくできます。P-47のそれは280km/h付近です(高度1500m)。
    この速度を下回ると誘導抗力が増し、バックサイドといってスピードを落とすためにパワーを足すという矛盾した操作を強いられます。

    P-47の維持旋回での最小半径は990フィート(300m)というデータがあり、280km/hでは2Gの旋回です。1周24秒です。
    160km/hでより小さい半径で旋回しても、1周するのに余計時間がかかっては意味がありません。
    フラップを降ろすと揚力係数は増しますが揚抗比は悪くなるので、160km/hでも2Gで維持旋回はできないと思います。
    P-47は空戦フラップがあり、Bf109は自動前縁スラットが空戦フラップの代わりとなってますが、いずれにしても瞬間的に角速度を稼ぐように使うのであって、維持旋回には使いません。
    超音速

  5. 回答ありがとうございます。

    早速テストしてみました。
    機銃4丁で燃料50%、高度1500mの条件で、以下のようになりました。

    約280km/h で 1周 24.10秒 (バンク角 約70度 フラップ 約20度)
    約230km/h で 1周 24.69秒 (バンク角 約55度 フラップ 約60度)
    約200km/h で 1周 18.47秒 (バンク角 約50度 フルフラップ)
    約180km/h で 1周 18.20秒 (バンク角 約45度 フルフラップ)
    という結果でしたが、残念ながらGメーターはついてないので不明なのと、
    バンク角も大体の角度です。

    この結果からすると、180km/hで1周 約18秒で安定して維持旋回可能なのは、ちょっと素人考えではありえないような気がしますが、どうでしょうか?



    Abience

  6. 速度と1周にかかる時間から旋回半径とGが算出できますね。
    バンク角から三角関数を使って旋回Gも推定できます。
    280km/hではR300m、2G。バンク角から推定、2.6G
    230km/hではR250m、1.66G。バンク角から推定、1.4G
    200km/hではR163m、1.93G。バンク角から推定、1.2G
    180km/hではR145m、1.75G。バンク角から推定、1G

    横滑りせずに旋回しているとすると計算上のGとバンク角がちぐはぐですね。
    フラップダウンでの低速ではパラメータ設定がおかしいように思えます。
    超音速

  7. なお、今まで上げたGの数値は遠心力のみの数値です。
    実際に機体にかかるGは重力と遠心力の合成ですので、重力は1G、遠心力1Gのときバンク角は45度で機体には1.4Gがかかります。

    あとすいませんが、訂正箇所があります。
    4.の「フラップを降ろすと揚力係数は増しますが揚抗比は悪くなる〜」以降の書き込みを取り消させてください。
    フラップダウンでの揚抗曲線をみると、揚抗比自体はかならずしも悪くなるわけではないようです。
    超音速

  8. 超音速様、回答ありがとうございます。

    やはりフルフラップの効力計算がおかしいという結論ですね。
    ただ、ゲーム開発側への実測データ提供としては、機銃4丁では正確な重量がわからず、説得力を増すために機銃8丁で燃料100%の全備重量による検証を実施してみたいと思います。

    ※機体諸元は世傑No37から以下として、検証したいと思います。
    全備重量 6577kg
    翼面積 27.87u
    馬力 2300ps

    Abience

  9. そもそも、失速直前の速度というのは少しでもGがかかると失速します。
    失速速度はGの平方根に比例しますので、2G旋回したければ失速速度×1.4以上で飛ばなければなりません。

    たぶんゲームのパラメーターは、このあたりを反映してない気がします。
    ここまで長文になってしまいすいません。
    超音速

  10. 一部訂正させて頂きます。
    誤:フルフラップの効力
    正:フルフラップの抗力

    実際に検証した結果を動画にしました。

    https://www.youtube.com/watch?v=rHGfVD5pmOQ&feature=youtu.be

    テスト時の諸元は以下の通りですが、結果として、フルフラップ状態では120mph前後でもバンク角は維持でき、さらにラダーで沈み込む機体を上手く吊ることで、100mphまで下げる事も可能でした。

    <諸元>
    機種:P47D-28
    機銃:50cal×8
    燃料搭載量:100%
    弾薬:満載(機銃のみ)
    エンジン回転数:2700rpm
    吸気圧 :47
    ペラピッチ:100%
    ブースト:無し
    ミクスチャ:オートリッチ
    オイル、ラジエータフラップ:全開

    最終的に実戦可能な速度として、110〜120mphで1周 約22.3秒で水平維持旋回が可能でした。4丁機銃を下ろして燃料を半分にすれば、ヘロヘロですが、約100mphで1周 約19秒で維持旋回が可能となる事がわかりました。

    これらのデータで十分かどうかはわかりませんが、開発元に情報提供をしてみます。
    Abience

  11. 揚力の計算式は
    L=Cl*0.5p*V^2*S
    揚力は速度の二乗に比例するので、荷重倍数2G、つまり2倍の揚力が必要になると(揚力係数=迎え角が一定では)速度が1.4倍必要なわけです。

    私の計算ですと、
    120mph(193km/h)だとフラップダウン失速速度の1.2倍ですから1.44Gまで可能、
    ということはバンク角は約45度、遠心力は約1G、
    したがって、旋回半径280mで一周33秒かかるはずなのです。
    単なる素人の推定にすぎませんが。

    フラップの抗力というより揚力係数が過大なのでは、あるいは失速速度が過小でないかという点が、実機と違うと思われるとこですね。
    超音速

  12. ありがとうこざいます。
    もしかするとフラップ以前に機体そのもののフライトモデルが間違っている可能性もあるので検証してみたところ、フラップ無しでも60度バンク角で245km/h(152mph)まで速度を落として旋回可能でした。

    素人ながら流体力学に詳しい友人の力を借り、単純に60度バンク角で高度を維持できる為には、どれだけの速度が必要かを計算してみましたが、どう計算してみても、やはり元からおかしいようです。

    <諸元>
    speed:152mph
    Bank angle:60°
    Flap:no use
    Loaded weight:6577kg(wiki)
    Power:2300hp(wiki)
    Wing area:27.87m2(wiki)
    Coefficient of lift(CL):1.18( Reynolds 500,000 α=11.0)
    http://airfoiltools.com/polar/details?polar=xf-s3-il-500000
    wing section :Republic S-3
    http://airfoiltools.com/airfoil/details?airfoil=s3-il
    Air density:1.293
    Armed: 50 cal × 8
    Fuel: 100%
    Throttle: 100%
    Boost: OFF
    Start Alt: 4000 ft ~

    以上の条件て揚力を計算すると、60度バンクで5028.73Nとなり、
    計算が合っているとすると、すでに機体重量を支える事ができませんから、
    旋回を維持できないはずです。

    やはり元からの揚力過大か失速速度過小など、なんからのパラメータが
    おかしいのかもしれませんね。




    Abience


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